eスポーツとは?
eスポーツとはelectric Sportsの略称で、テレビゲームやデジタルゲームを使った競技のことです。eスポーツと一括りにされていますが、eスポーツと言う競技はありません。デジタルゲームを使用した競技全般を指す言葉で、言ってみればスポーツや音楽、美術と言うくらいざっくりとした言葉です。なので、eスポーツプレイヤーなる呼び方をリアルスポーツに当てはめてみるとスポーツマンと言うのが良いくらいの意味合いです。
スポーツが球技や格闘技、陸上競技などのジャンル分けされており、それらのジャンルの中に、サッカーや野球、マラソン、柔道などの競技分けがされています。
eスポーツでも同様で、eスポーツにはパズルゲーム、対戦格闘ゲーム、FPS(First person shooting)、MOBA(Multi Player Online Battle arena)などのジャンルに、『ストリートファイターV』や『ぷよぷよ』、『PUBG』『リーグ・オブ・レジェンド』などのタイトル分けがされています。
eスポーツとテレビゲームの違いは?
次にeスポーツとテレビゲームの違いは何かと言うことを考えていきます。eスポーツは大きな括りで考えるとテレビゲームの要素のひとつであり、テレビゲームであることは間違いありません。テレビゲームの中でも競技性のあるものを便宜上eスポーツと呼んでいます。それはタイトルで分けられるものではなく、どうやってプレイしているのか、目的によって変わります。例えば、『スーパーマリオブラザーズ』をただプレイしているだけでは、eスポーツとは言えませんが、最終面のクッパを倒し、ピーチ姫を助けるまでの時間をタイムアタックで他のプレイヤーと競い合うとなるとeスポーツになるわけです。
eスポーツという言葉はここ数年に発生した言葉ですが、ゲームで競い合う大会自体はすでに25年以上前から存在しています。日本人初のプロゲーマーであるウメハラ(梅原大吾)選手は、『ストリートファイターII』の時代からゲーム大会に出場しており、世界大会で優勝もしています。当時はゲーム大会であったものが現在、eスポーツ大会と変わっただけで、本質的には変わりません。
eスポーツ大会とゲーム大会の違いは?
eスポーツとゲーム大会の違いと言うものがあるのだとしたら、それは興行性の有無でしょうか。ゲーム大会は基本的にその大会で使用されるゲームタイトルのファンやプレイヤーが集まり、仲間うちで競い合うものでした。それに対してeスポーツ大会は、会場に観客を入れ、動画配信により多くの人に視聴してもらうようになっています。言ってみれば仲間うちでやっていた草野球大会と甲子園で行われる高校野球大会のような違いがあるわけです。さらに、技術を磨いたプレイヤーのみが参加できるプロ大会により、プロ野球を観戦するような状態になっているわけです。
とは言っても、前述した『ストリートファイターII』の世界大会や『ぷよぷよ』の全国大会など、興行性のあるゲーム大会自体が20年以上前から行われたということもあり、この定義自体も曖昧なものになっています。したがって、この差異については、eスポーツが発生した時に差別化する為の便宜上の仕分けみたいなもので、今となっては、個人で行うゲーム大会も含め、競技性のあるものすべてをeスポーツとして包括してしまっています。なので、メジャーリーグなのか、大リーグなのか程度の違いと思って頂ければ良いかと思われます。
大会自体の差異のひとつとして興行性の有無を説いてきましたが、選手側、出場する側としては、お金が稼げるかどうかと言うのが重要となります。草野球大会ではお金を稼ぐどころか、球場使用料を払わなくてはなりません。それと同様にゲームセンターで行われたゲーム大会もゲームをプレイする毎に普通にプレイ料金を払う必要がありました。それに対して、eスポーツイベントだと好成績を残すと賞金が貰える場合があります。さらに継続的に大会で優秀な成績を残していると、スポンサーが付くことがあり、年間契約でお金が支払われるようになります。
大会における最高賞金総額は、なんと27億円!
以前は賞金額も少なく、大会も頻繁に行われていなかったので、賞金やスポンサー料だけで生計をたてていくのは困難でしたが、現在では専業でプロ活動している人も多くなっています。海外に目を向けると賞金総額27億円の大会があったり、年収が億を超えているプレイヤーもいます。つまり、趣味から職業へ転換したことがeスポーツの一面だと言えます。
eスポーツに興行性があり、プロスポーツとしての位置づけだとすると、それを観ること、応援することがひとつの関わり方となります。しかしがながら、eスポーツに詳しくない人にとっては、eスポーツ自体を見たことも参加したこともなく、どこで見られたり、参加できたりするのかわからないと思います。
一番、手っ取り早くeスポーツを体験するには、動画配信サービスを利用することです。動画配信サービスのTwitchやOPENREC.tvはゲームの動画配信をメインコンテンツにしているサービスです。ストリーマーによる配信が多いですが、大きな大会の配信も行っています。他にもAbemaTVでは数多くのeスポーツ関連の番組を制作、配信しております。
大会自体を観に行く場合は、自分がプレイしているゲームがeスポーツとして活動をしているか公式サイトでチェックするのがオススメです。多くのeスポーツイベントは、プロ選手による大会が多いですが、中にはオープン参加の大会もあります。9月に開催された東京ゲームショウの『ストリートファイターV』の大会「CAPCOM Pro Tour ジャパンプレミア」はオープン大会となっており、700人を超える参加者を集めています。当然、プロ選手も参加するので、イメージ的にはプロもアマも素人も参加できるマラソン大会「東京マラソン」に近いかも知れません。
12月からは毎日新聞社主催のeスポーツ大会「全国高校生eスポーツ選手権」が開催され、現時点で80校以上が参加を表明しています。毎日新聞社と言えば、春の選抜高校野球大会や全国高校ラグビー大会、全日本吹奏楽コンクールなど、高校生、中学生を対象としたスポーツ、文化の全国大会を開いているので、eスポーツもそれらの大会と肩を並べる大会になる可能性はあります。
まずはeスポーツに触れてみて
eスポーツという言葉に困惑されてしまうことも多いですが、基本的にはゲームの腕を競い合ったり、腕の立つ選手のプレイを見ると言う程度の認識でも十分です。ゲームは自分で遊んでこそと言う意見もありつつ、うまい人のプレイを見ているのも楽しかったりします。『太鼓の達人』で鬼モードをパーフェクトでクリアする人や『ぷよぷよ』で13連鎖をしているところなど、自分では到底及ばないプレイを見られるのは、まさにeスポーツと言えるわけです。
eスポーツへの関わり方は、さまざまあるので、とりあえず一度触れてみるのが理解するのに一番良いと思います。まずは、配信動画などを見てみることから始めてはいかがでしょうか。また、渋谷にはよしもとが運営する劇場∞ホールがあるビルの7階にeスポーツが行える劇場∞ドームがオープンしています。コアなゲームファン以外が入りやすいeスポーツ施設なので、こういった場所から訪れるのもオススメです。
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