文=河合拓

フットサルで才能を磨いた世界の名手たち

 ジーコ、ロナウド、ロナウジーニョ、カカ、ロビーニョ、ジエゴ、フッキ、ネイマールら、歴代のブラジル代表選手、スペイン代表のカルロス・プジョル、シャビ、イニエスタ、アルゼンチン代表のリオネル・メッシ、ポルトガル代表のデコ、クリスティアーノ・ロナウドといった世界的に名を馳せるサッカーのスター選手たち。彼らが幼少の頃にフットサルをプレーし、フットボールの才能を磨いていった。日本でも幼少の頃にフットサルをプレーすることが、サッカー選手の育成に役立つという認識が、徐々に広まりつつある。

  フットサルとサッカーは、共通点の多いスポーツだ。ともにフィールドプレーヤーはボールを足で扱い、相手のゴールにボールを入れることを目指し、その回数で勝敗を決定する。この2つのスポーツの最大の違いはサイズだ。フットサルのピッチは、サッカーの約9分の1の大きさであり、ゴールの大きさもフットサルはハンドボールと同じ幅3メートル×高さ2メートル、サッカーは幅7.32メートル×高さ2.44メートルとなっている。また、ボールもサッカーは5号球が使用されるが、フットサルは4号球でサッカーボールよりも重くて弾みにくいローバウンドボールが使われる。さらに、サッカーが11人対11人で行われるのに対し、フットサルは5対5で行われる。

  2016年10月にフットサル日本代表監督の監督に就任したブルーノ・ガルシア氏は、このサイズの違いが子どもたちの能力を伸ばすために、非常に有効だと力説する。
 「フットサルは、サッカーの能力を伸ばすための重要なメソッドの一つに成り得ます。特に8歳以下のサッカー選手は、フットサルで能力を磨くことが重要です。フットサルではピッチが狭いため、判断をするスピードを早くしなければいけません。これが最も重要なことです」

©Getty Images

フットサルの狭いピッチがもたらすメリット

 そう話すとブルーノ監督は、1つの質問を投げかけてきた。
 「サッカークラブが最も多くの給料を支払うのは、どのポジションの選手だと思いますか?」

  アメリカの「Forbes」が2016年6月に発表したランキングによると、1位はレアル・マドリード所属のポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド、2位は、バルセロナのアルゼンチン代表FWリオネル・メッシ、3位にはバルセロナのブラジル代表FWネイマール、4位には元スウェーデン代表でマンチェスター・ユナイテッドのFWズラタン・イブラヒモビッチ、5位にはレアル・マドリードのウェールズ代表FWガレス・ベイルが入っている。その後も6位から8位までは、FWの選手が名を連ねている。

 「ストライカー」という答えに、ブルーノ氏は満足そうにうなずき、なぜ彼らが多くの給料を受け取れるかを説明する。

ニューヨークに本社を構える経済誌「Forbes(フォーブス)」が毎年発表しているスポーツ選手の年収ランキング。2016年は8800万ドル(約102億円)でクリスティアーノ・ロナウドが全スポーツ選手の中でトップだった
The World's Highest-Paid Athletes

「ストライカーに最も求められる能力は、得点を取る能力です。彼らは共通して得点を取る能力に長けており、フィナリゼーションゾーン(ゴール前のシュートを打つエリア)で決定的な仕事ができます。これはどういうことかと言うと、ゴール前でいい判断ができているということです」
 「子どもたちがサッカーをプレーするとき、一方のゴールからもう一方のゴールまでの距離は非常に遠くなっています。1本のシュートを打つまでに長い時間がかかるでしょう。ゴールは遠くにあるわけですからね。そして、その回数も少なくなります。しかし、フットサルは2つのゴール間の距離が短く、ボールがすぐにフィナリゼーションゾーンに入ります。フィナリゼーションゾーンでは、どのエリアよりも素早く判断することが求められますから、子どもたちの判断力は磨かれるでしょう」

  ゴール前の局面以外でも、狭いピッチが子どもたちにもたらす好材料があると、ブルーノ氏は言葉を続ける。
 「子どもたちはより多くボールに触れなければいけません。サッカーではフィールドプレーヤーが自分の他に9人いますから、一度ボールを離してしまうと2分くらいは自分のところに戻ってこないということが当たり前のようにあります。しかし、フットサルはフィールドプレーヤーが4人しかいません。ボールは同じ1つです。大人の、プロのサッカー選手は別ですが、子どもたちはボールを多く触り、コントロールし、ドリブルして、パスを出すことが必要です」

  冒頭でも書いたように、日本でもフットサルを幼少期にプレーした選手は増えている。その中で小野伸二、興梠慎三、森本貴幸、原口元気、金崎夢生、中島翔哉らは、日の丸をつけて戦うサッカー選手となった。子どもをどこのサッカースクールに通わせようか悩んでいる方々には、ぜひフットサルスクールやフットサルの指導も行っているサッカースクールも選択肢に入れてみてはいかがだろうか。

河合拓

著者プロフィール 河合拓

2002年からフットサル専門誌での仕事を始め、2006年のドイツワールドカップを前にサッカー専門誌に転職。その後、『ゲキサカ』編集部を経て、フリーランスとして活動を開始する。現在はサッカーとフットサルの取材を精力的に続ける。