「リセットしよう」オフシーズンの過ごし方

―オフシーズンはどう過ごされていましたか。
田口:今年はずっと沖縄でゆっくり過ごしました。練習もないので、12月20日くらいにシーズンが終わってからはサッカーから離れてリラックスしようと思い、やったのはストレッチくらいで、走ったり、ボールを蹴ったりすることもなく休みましたね。昨年は過酷で連戦も多くて、疲労も溜まっていましたし、精神的にも疲れたところが多少あったので、リセットしようと思い、家の中でテレビを見たり、Netflixを見たりしていました。

―昨シーズンは難しいシーズンでしたか。
田口:5連戦は初めての経験ですし、僕らは沖縄のチームなので、アウェイの試合になると、必ず飛行機移動があり、僕はそれが初めてだったので、多少移動の疲労があって、コンディションを作るのが簡単ではありませんでした。でも、難しいシーズンでも、怪我なく、ずっと試合に関わり続けることで、精神的にもタフになりましたし、どれだけ厳しい状況でも、いかにゲームでは自分の持っているものを発揮するかということを考えながらやっていたので、とても勉強になる年でした。

―終わった後、今まで以上の疲労を感じましたか。
田口:最後の方は続けて試合に出させていただいていたので、最後1,2ヶ月くらいはあっという間に感じました。試合に出て、自分がプレーできる喜びや幸せを噛み締めながらやっていたので、疲労というよりもとても充実した濃い1年だったという印象です。

―オフに入ったらやることはありますか。
田口:シーズン中は揚げ物やお菓子は食べませんが、オフに入ったら好きなタイミングで好きなものを食べます。

―絶対食べるものはありますか。
田口:ジャンクフードですね。身体に悪いので、シーズン中は食べませんが、オフになるとおいしくて好きなので食べます。普段できないことをするのが、オフシーズンならではですね。

―オフシーズンで思い出に残っていることはありますか。
田口:オフ入ってすぐに、沖縄県の北部のリゾートホテルに奥さんと泊まりに行って、ロケーションが良い場所だったので、コーヒー飲みながらゆっくり話したり、だらだら過ごしたりしたことが思い出に残っていますね。

―どんな生活スタイルで過ごしていましたか。
田口:オフ入って10日間くらいはだらだら過ごして、年明けてからは少しずつジムに通ったり、ランニングしたり、軽い運動をしていました。今までのオフシーズンは、自分を追い込むような筋力トレーニングをしていましたが、それが「サッカー選手としての向上に繋がっているか」と考えた時に、「繋がっているかわからない」と思ったので、アプローチの仕方を変えようと思いました。1年中プレーし続けて、筋肉が固まったり、疲労が溜まったりして、自分の身体のバランスが崩れているのを感じていたので、昨シーズンの蓄積した疲れを12月でリフレッシュさせたいと思い、エクササイズ中心のメニューをしていましたね。例えば、左右の肋骨の位置のズレを治す筋肉のエクササイズや、骨盤の位置を治すなど、トレーナーの方と相談しながらトレーニングを積んで、1月20日の始動日には身体も心もリセットしていきました。

―実際、それを取り入れていかがでしたか。
田口:身体が整うと、気持ち的にもリセットされた気持ちになりますし、自分が気づかないところで、身体が固まっていたり、肩が上がって緊張していたりすることがあることに気づいたので、気持ちをリラックスさせるという言葉ではなく、身体の歪みから治すことによって、心がスッキリして次のシーズンに向かうことができました。

―新しい取り組みや準備をやってみようと思うきっかけはありましたか。
田口:昨年の途中から、自分のプレーのちょっとした感覚で、「このプレーができなくなっている」とか、「身体の伸びが悪いな」、「キックが定まらない」などうまくいかないことがありました。僕はうまくいかない時に、「身体のどこかに不調があるかもしれない」とか、「身体のズレがあるのではないか」と考えるのですが、試合が迫っている中で、なかなか細かくトレーニングをする時間がなくて、細かく治すのではなく、「次の試合に向けてやるべきことをやって試合に向かう」という意識でやっていましたが、やはりどこかパフォーマンスが納得いかなかったり、「もっと身体が良かったらもっと良いプレーができるのではないか」と思ったりしたので、オフシーズンはそこを重点的に見つめ直して、よりよくしようと思っていました。そして、結果としてよりよいアプローチができたのではないかと思っています。

「良いチャレンジ、手応えがある」チームの始動

―今シーズンはどのような感じで始動していきましたか。
田口:1月20日に集合して、そこで、チームとしての目標やコンセプトを共有するミーティングをしました。その後、1週間は身体を戻すことを目的に、体力的な練習を中心にやって、次の週からはキャンプに行きました。キャンプでは、フィジカルを上げるためにきつい練習や、チームとしての戦術練習も入ってきて、「どうやって攻めるか」、「どうやって守るか」などの確認を中心にやっていました。

―田口選手自身の入りはいかがでしたか。
田口:個人的には身体の準備をしていたので、身体も軽く感じましたし、調子の良さを感じました。チーム的にも昨年からプレーしている選手が多くて、昨年から続けているディフェンスラインとの、「こうやって守ってほしい」という共有は、常に話して摺り合わせるようにしています。

―キャンプの後はいかがですか。
田口:キャンプの後は、練習試合が週に2回くらい入ってくるので、その練習試合に向けて調整していく中で、練習も負荷をかけながらやっていきます。この段階では完成を目指すというより、チャレンジとエラーを繰り返しながら、ベストを開幕に持っていくことが大事です。うまくいかないこともありますし、良いチャレンジや手応えもあるので、チーム全体で共有して、「どうやったらより良くしていけるか」ということを、選手同士、スタッフも含めて話しながらうまく進められていると思います。

―今(2月16日)はどういう形で調整していますか。
田口:これからの1週間は開幕を想定した流れで、練習を4,5日やって、週末はゲームというサイクルでやっています。それも、次週の開幕の流れを意識した練習や、週末の試合に向けたコンディショニングを想定して過ごした1週間で、来週は開幕があるので、今は公式戦に向けた準備という形で練習が組み立てられています。

―ファンサポーターの方に向けて、今シーズンの注目ポイントはありますか。
田口:琉球は攻撃的なサッカーで、得点もたくさん取れて、失点数が減れば、確実に勝ち点が取れたし、もっと上の順位に入れたという反省があります。僕はゴールキーパーという最後の守備者として、ディフェンスを統率しながら失点を減らして勝ち点を増やすのが役目なので、自分の仕事を全うして、チームの勝利と上位進出に貢献できるように、昨年の悔しさを生かしてプレーしたいです。

―2年目の意気込みを教えてください。
田口:琉球はアグレッシブに攻撃や守備を仕掛けて、見ていて楽しめるサッカーを目指しているので、自分たちからアクションを起こして、どんどん相手に向かって行くという姿勢や、僕としてはゴールキーパーという守備のポジションですが、ゴールキーパーから始まる攻撃のところも注目して見てくれると嬉しいです。

―新シーズンも難しいシーズンですよね。
田口:そうですね。去年ほどではありませんが、連戦もありますし、レギュレーションが違うので、今年も厳しくタフなシーズンになることは間違いないと思います。

「身体を整える」トレーニングの考え方

―オフシーズンにやっていたトレーニングは誰に教えてもらいましたか。
田口:今シーズンは離れてしまったのですが、昨年のFC琉球のトレーナーの方に、昨年から指導してもらっていて、その方に連絡して、「自分の身体のこと」を聞いたり、「どんなエクササイズが良いのか」を聞いたりして、自分で取り入れてやっていました。

―そのトレーニングを取り入れようと強く決心したきっかけはありますか。
田口:例えば、肋骨の話で言うと、人によって、上がっている人や閉じている人、左右どちらかが下がっている人もいるのですが、僕は左の肋骨が上がっていて、左手を伸ばして右上のボールをセービングする時はやりやすいです。でも、右手を伸ばして左上のボールをセービングする時は、右の肋骨が下がっているので、やりにくくて、「何で左右差があるのかな」と考えていました。「脇が固いのかな」とか「背中が固いから」と思っていたのですが、そのトレーナーさんに見てもらった時に、「肋骨がちゃんとした場所にないから伸びないんだよ」と教えてもらい、一気に謎が解けました。「だからどれだけストレッチしても変わらないんだ」と思いましたね。それで、身体の歪みがプレーに影響することを知り、肋骨のズレだけではなく、骨盤のズレで股関節の動きが悪くなり、キックの時に後ろに足がしなって蹴れなくなってしまうなど、いろいろ考えるようになりました。筋力トレーニングもやりますが、身体を整えるというところに比重を置いて、トレーニングやエクササイズを考えるようになりましたね。

―ウエイトトレーニングより整えるトレーニングに重きを置いたのですね。
田口:歪んだ状態でトレーニングをしても意味がないので、良いトレーニングをするための土台作りとして身体のリセットをするというイメージですね。

―プロだけではなく、学生の人たちにも知ってほしいですね。
田口:ぜひ知ってほしいですね。あまりこういうアプローチは耳にする機会がないと思っていて、僕が高校生に時に知ることができたなら、「もっと身長が伸びていたかな」とか、「もっとパフォーマンスが良くなったかな」と思います。だからこそ、この話を聞いた人が、「そういうこともあるんだ」と気づいてもらって、それが勉強するきっかけや、誰かに聞くきっかけになると良いなと思います。

―気軽にできるトレーニングはありますか。
田口:僕の場合は、左の肋骨が上がっているので、左の肋骨を左手で抑えて、右手を左方向に呼吸と共に上げて、吐く時に縮めることを意識しています。

―それも取り入れてほしいですね。
田口:そうですね。もし自分が指導者になったら、スキルもそうですが、身体のことも指導できたらいいなと思いながらやっています。

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VictorySportsNews編集部