ここまで8試合を終えて6勝2敗とし、2位につける日本。オマーンとの前戦に引き分けた3位・オーストラリアとの勝ち点差を「3」に広げた。そして、迎えるのが3月24日のオーストラリアとの直接対決だ。

 まず、はじめにアジア予選の現状、ルール・方式などを改めて見てみる。

【アジア最終予選・グループB順位表】(勝ち点/得点/失点/得失)
1.サウジアラビア(19/10/5/5)
2.日本(18/9/3/6)
3.オーストラリア(15/15/6/9)
4.オマーン(8/8/10/-2)
5.中国(5/8/16/-8)
6.ベトナム(3/7/17/-10)

【アジア最終予選の方式】
12チームを2組に分け、ホーム&アウェーの総当たり戦を行う。各組2位までの4チームが出場権獲得。3位の両チームによるプレーオフ(6月7日、カタール)を経て、その勝者が大陸間プレーオフ(6月13か14日)に進出。南米5位との勝者が出場権を獲得する。


 南米予選はブラジル、アルゼンチンが突破を決めており、大陸間プレーオフでは3位以下のエクアドル、ウルグアイ、ペルー、チリなどと対戦する可能性がある。いずれも強豪で、グループAの3位(第8節終了時点ではUAE)と戦うアジア予選のプレーオフも含めた2試合はかなりの激戦となることが予想される。プレーオフを回避し、何としてでも、アジア予選の残る2試合で2位以上を確定させることが、日本にとって至上命題なのは言うまでもない。

 では、2位以上を確保するにはどうすれば良いのか。最も単純明快な方法が3月24日の次節・オーストラリア戦に勝利することだ。ここで勝てばオーストラリアとの勝ち点差が「6」に開いて他の試合の結果に関わらず2位以内が確定。7大会連続のW杯出場が決まる。

 ただ、敵地でオーストラリアに勝利するのは、簡単なことではない。昨年10月12日のホーム戦(埼玉スタジアム)は2-1で勝ったが、後半41分にFW浅野のシュートが相手のオウンゴールを誘って、これが決勝点になるという辛勝だった。日本の“天敵”といわれたFWティム・ケイヒルは随分前に引退したが、ヘルタ・ベルリンで活躍した左サイドのマシュー・レッキー(現メルボルン・シティ)らタレントもおり、チーム力はほぼ同じレベルにあると言っても異論はないだろう。首位・サウジアラビアを含めた上位3チームの試合で、ここまでアウェーチームが勝った試合は一つもなく、3強の力が拮抗しているのは明らかだ。

 では、日本がオーストラリアに勝てなかった場合は、どうなるのか。引き分け、負け、それぞれのパターンでの突破条件は以下の通り。

(1)日本がオーストラリアと引き分けた場合

最終節・ベトナム戦に勝利 →他の試合に関わらず出場権獲得
最終節・ベトナム戦に引き分け →他の試合に関わらず出場権獲得
最終節・ベトナム戦に敗戦 →オーストラリア、サウジアラビアの結果次第(詳細は以下)

 日本がベトナムに負けた場合は、3月24日の中国-サウジアラビアの結果で行方が変わる。

■サウジアラビアが中国に敗戦
最終節・サウジアラビア-オーストラリアでオーストラリアが引き分けか負けると日本の突破が決定。オーストラリアが勝つと上位3チームが勝ち点「19」で並ぶ。勝ち点が並んだ場合、「得失点差」「総得点」「当該チーム間の勝ち点」「当該チーム間の得失点差」「当該チーム間の総得点」の順番で順位を決めるため、第8節終了時点で得失点差で上回るオーストラリアの突破が決定。日本はサウジアラビアとの得失点差の勝負となり、日本がベトナム戦で1点差負けならサウジアラビアを上回り突破が決まる。

■サウジアラビアが中国に勝つか引き分け
最終節・サウジアラビア-オーストラリアでオーストラリアが引き分けか負けると日本の突破が決定。

(2)日本がオーストラリアに敗れた場合

■サウジアラビアが中国に敗戦
日本はベトナム戦勝利で出場権獲得。引き分けか負けなら得失点差次第。

■サウジアラビアが中国と引き分け
日本はベトナム戦勝利で出場権獲得。引き分けなら、オーストラリアが最終節でサウジアラビアに負けると出場権獲得。負けなら3位でプレーオフ。

■サウジアラビアが中国に勝利
サウジアラビアの突破が決定。日本の自力突破が消滅し、オーストラリアとは勝ち点「18」で並ばれて得失点差で3位に転落。最終節は最低でも勝利が求められ、勝ってもオーストラリアが最終節でサウジアラビアに勝てば得失点差勝負になる。


 サウジアラビアは3月24日の中国戦に勝てば予選突破が決まるため、最終節のオーストラリア戦は消化試合になっている可能性が高い。もし、日本がオーストラリアとの直接対決に敗れれば、得失点差で既に上回られていることもあり、ベトナム戦で大量得点を要求される厳しい立場に追い込まれる。それを考慮すると、やはり3月24日の直接対決でオーストラリアに最低でも引き分けることが、W杯出場の“必要条件”と考えておくのが無難だろう。

 2017年8月31日のロシア大会アジア最終予選。日本はオーストラリアを2-0で下し、ロシア行きを決めた。これがW杯予選でオーストラリアに勝った初めての試合だった。06年ドイツ大会なども含めて、これまで数々の激闘の歴史を刻んできた日本とオーストラリア。今回も、その一戦の行方が、日本のサッカー史にとって大きな“節目”となる。


VictorySportsNews編集部