「旧街道を巡る自然と歴史・文化に満ち溢れた自転車旅の道」を四県合同で取り組むプロジェクトが始動

 会見には、花角英世新潟県知事、山梨県知事代理の小泉嘉透東京事務所長、静岡県県知事代理、スポーツ・文化観光部 大石哲也参事、長野県知事代理、観光スポーツ部 北島孝秀参事などが出席し、各県の見どころを含めたルートの詳細を発表した。

黄金街道プロジェクトとは

 中央日本四県が集まり、共通のテーマについて意見交換を行う「中央日本四県サミット」を平成26年度から開催し、四県連携でさまざまな施策を行っている。その中のひとつが黄金KAIDOプロジェクトだ。四県には徳川家康公が開発に力を注いだ佐渡金山(新潟)と土肥金山(静岡)、そして両者を結ぶ道中には湯之奥金山(山梨)、金鶏金山(長野)があり、これらを結ぶルートを「黄金KAIDO」と名づけた。“黄金”をキーワードとした2日間~4日間のツアーが各県で作られ、日本人観光客のみならず外国人観光客にも利用されている。昨今、外国人観光客の間で人気なのがサイクリング。そこで、黄金KAIDOプロジェクトの一環として新たに設置したのが「サイクルルート」だ。コンセプトは「旧街道を巡る自然と歴史・文化に満ち溢れた自転車旅の道」。4つの金山を結ぶ新たなサイクルルートとは一体どんなものだろうか。

自転車冒険家の小口良平さんがアドバイザー

 本プロジェクトは令和3年に開催された「中央日本四県サミット」で「新潟・静岡を結ぶ太平洋と日本海を横断するサイクルルート」が提案され、そこから約3年の月日をかけて今回の黄金KAIDOサイクルルートの発表となった。その際に助言をもらったのが長野県岡谷市出身で現在、長野県在住の自転車冒険家・小口良平さん。日本を含み約8年半をかけて、157カ国155,502キロを走破した経験をもとに、ルートの助言をうけ、各県のサイクリストが実際に走り検証を重ねた。

 その距離約550km。各県の距離は静岡県71km、山梨県100km、長野県154km、新潟県225kmで、佐渡の小木港から新潟の直江津港そして、静岡の駿河湾のフェリー、長野と新潟の間の一部は電車利用、いわゆる自転車を載せて移動する「輪行」の区間となる。ルート沿いにはコンセプトにもあるように、各県の自然と歴史、文化に触れられるルートとなっている。新潟県は、日本海の沈む夕日や紅ズワイガニ、長野県は北アルプスや信州そば、山梨県は一面に広がるぶどう畑やさくらんぼ、静岡県は富士山を望む茶畑やしらすなど、自転車でゆっくり景色を堪能し、おなかがすいたらご当地グルメをいただく。日常を忘れ、疲れた心と体を癒やす旅、いわゆるリトリートな旅が叶うはずだ。

自転車冒険家の小口良平さんの自転車が展示された

すでにある各県のサイクルルートとともに認知度拡大を図る

 今回整備された黄金KAIDOサイクルルートはすでに各県で整備されているサイクリングロードの一部となっているルートもある。長野県一周サイクリングJapan Alps Cycling Roadは獲得標高15000m、総延長878kmもあり、世界のサイクリストも憧れる山岳コースを有する。静岡県では、県が推進する5つのモデルコースをSHIZUOKA CYCLING MAPとして作成。富士山や浜名湖一周ルート、東京2020オリンピック・パラリンピックコースなど魅力あふれるものとなっている。

中央日本四県 黄金KAIDO サイクルルート(20240827発表)

 まずは各県のサイクルルートで開催される大会などで黄金KAIDOサイクルルートの認知度向上を図りつつ、自転車の安全な通行を促すための矢羽根型路面表示(やばね)や自転車ラックの設置を進めていく。

 黄金KAIDOサイクルルートはサイクリストへの周知はもちろん、地元の飲食店や観光スポット、フェリー会社との連携による観光体験の充実にもつながる。ルートの走破には中級レベルのサイクリストで5日かかるという。具体的なコース詳細は今後順次発表になる。各県の歴史的価値や魅力あふれる観光資源をサイクリングを通して認知度向上を図り、地域復興のカギとなることに期待したい。


VictorySportsNews編集部