フィギュアスケートでの金メダルや、スノーボードでの9個のメダルなど数々の名シーンが生まれた中で、スウェーデン代表が着用するウェアにあしらわれた「赤いロゴ」が日本で大きな注目を集めた。

 同国は合計18個のメダルを獲得。金8、銀6、銅4。金メダル8個は、22年北京五輪に並ぶ最多の個数をマークした。カーリングでは女子、混合ダブルスの2種目で頂点に立った。女子代表Team Hasselborg(ハッセルボリ)は2大会ぶりに金メダルを獲得し、国旗を掲げて喜んだ。

スウェーデン女子カーリング代表「Team Hasselborg」

 その右胸、左太ももには、赤い四角に白い文字。日本でおなじみの「UNIQLO」のロゴがおどっていた。

 他種目も同様に、クロスカントリースキー女子スプリント・クラシカルではスウェーデン勢が表彰台を独占という歴史的快挙のシーンで、並んだ3人の右胸と左足には、またも「UNIQLO」の赤いロゴが入っていた。

7年目のパートナーシップ 五輪4大会連続でウェア提供

 なぜ、日本発祥のアパレルブランドが、スウェーデンにウェアを提供しているのか。出会いは2019年にさかのぼる。

 18年8月、同社はスウェーデン1号店を首都ストックホルムにオープン。シンプルで高品質なLifeWearがスウェーデンオリンピック委員会の目にとまった。直々にオファーを受け、19年1月にパートナーシップ契約を締結した。

 21年東京に始まり、22年北京、24年パリと夏冬の五輪・パラリンピックで、開閉会式やメダルセレモニー、移動時などに着用できる公式ウェアや競技ウェアを提供。4大会目となるミラノ・コルティナでも、フリースタイルスキー、スノーボード、カーリングの競技ウェアを提供し、サポートした。

 さらに、21年10月には同国スキー連盟と、23年11月には同国カーリング協会とオフィシャルサプライヤー契約を締結。カーリング女子代表スキップのアンナ・ハッセルボリは「ユニクロに感謝と敬意を表したい。着心地が良くて、普段着でも着用しているくらい大好き。特にパンツは、しゃがむ動作の多いカーリングの特性に合わせて股上を深く、股下を長くデザインしてもらい、プレー中もストレスがない。質の高いウェアを提供してくれていることに感謝したい」と金メダルに導いてくれた相棒への思いを明かした。

未来のアスリートを育てる、「ドリームプロジェクト」を実施

 ウェア提供にとどまらず、子どもたちのための次世代育成活動「ユニクロドリームプロジェクト」を展開しており、支援の幅は年々広がりを見せる。フリースタイルスキーモーグルでは、2月末のモーグルW杯富山なんと大会でイベントを開催した。26年五輪でデュアルモーグル銀、モーグル銅メダルを獲得した堀島行真やスウェーデン選手らが講師を務め、小中学生に指導を行った。

ユニクロドリームプロジェクト

 カーリングにおいても、3月13日から15日に長野県軽井沢アイスパークで開催された「軽井沢国際カーリング選手権」でユニクロはプレミアムパートナーを務め、競技の発展に貢献した。

 開幕前日の12日には「カーリングクリニック」を行い、ハッセルボリらが小中学生にカーリングを教えた。金メダリストの来日に、会場は大いに盛り上がった。

 小学1年から中学2年までの48人がグループに分かれ、投球練習などを行った。ハッセルボリはブラシを立てて「受け止めるから全力で来て!」と呼びかけた。ナイスショットには「ベリーグッド」「グッジョブ」「ビューティフル」と声をかけ、笑顔でハイタッチ。真剣な表情を見せて「下を向いたらダメ。前を向いて」と身ぶり手ぶりでアドバイスを送る場面もあった。もちろん、ウェアには「UNIQLO」の文字が入っていた。

カーリング女子ハッセルボリ「子どもたちの力になれたらうれしい」

 3季連続のイベントを終え、同社の小笠原一郎氏は「モーグルも含めて、何年も続けることに意味がある。イベントを始めてからまだ短いが、子どもたちがカーリングやモーグルに興味を持つきっかけになってほしい。トップアスリートと触れ合う機会は、子どもたちに夢を与えられる。これからも次世代育成にフォーカスしていきたい」と意気込んだ。

 ハッセルボリは「カーリング界に何かを返したいと強く思っている。私が少しでも子どもたちの力になれたらうれしい」と思いを明かした。さらに「とにかくカーリングを楽しんでほしいのが一番。そして一緒に切磋琢磨できる仲間をともに練習して、たくさんプレーすることが大事」とエールを送った。

ユニクロドリームプロジェクト ジュニアカーリングクリニック

 その気持ちに応えるように、小学6年の永井創世さんは「初めて参加したけど、とても楽しかった。将来は五輪に出場したい」と意欲を見せた。

 子どもたちは、スウェーデンチームが持参した五輪金メダルを手にして、笑みがはじけた。いつか、このイベントからオリンピアン、さらには金メダリストが誕生する日が来るかもしれない。

 ユニクロのスポーツ支援は、トップアスリートの挑戦を支えるだけでなく、次の世代へと競技の魅力をつないでいく取り組みでもある。スウェーデンとのパートナーシップを通じて、その思いはこれからも着実に広がっていく。


飯岡大暉

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