ゲッティイメージズは、世界中のニュースメディアや企業に向けて写真や映像を提供する世界有数のビジュアルメディア企業。毎年16万件以上のニュース、スポーツ、エンターテインメントの現場を取材し、その瞬間を世界へ届けているという。スポーツの分野では、数々の歴史的瞬間を撮影してきたトップフォトグラファーが在籍し、MLBをはじめ世界128の主要スポーツ団体やリーグ、クラブの公式フォトグラファー、または写真パートナーを務めている。ゲッティイメージズとMLBは、20年以上パートナーシップを結んでおり、シーズン中に行われる全2,430試合を撮影している。
ゲッティイメージズは世界最大級のビジュアルアーカイブを有しており、MLBの数十年にわたる歴史をはじめ、世界中のスポーツの歴史的瞬間を記録した膨大な写真資産を保有している。イベントでは、今に続く日本人メジャーリーガー隆盛の礎を築いた野茂英雄(元ドジャース他)をはじめ、ノーラン・ライアン(元レンジャーズ他、通算324勝)、ペドロ・マルティネス(元レッドソックス他。通算219勝)、ロジャー・クレメンス(元ヤンキース他、通算354勝)といった、かつて自身が憧れた選手の写真が場内のスクリーンに登場。五十嵐氏は食い入るように見つめながら「まだYouTubeもなかった時代、海外でやっている人の投げ方とか、どういった軸の移動をしてるのかというのを、僕らは静止画を見て自分で想像していたんです。写真って本当にいいですね」などと話した。
ロサンゼルス・ドジャース時代の野茂英雄氏 (237585,Jed Jacobsohn,GettyImages)2010年にヤクルトからニューヨーク・メッツへFA移籍した時の話に水を向けられると「(メッツは)2009年の成績があまり良くなかったんです。だからその2010年の開幕セレモニーが、いきなりブーイングから始まったんですよ。年が変わってこれから頑張ろうっていう瞬間にブーイングから始めるんだって…すごい厳しいですよね、ニューヨークって」と、ファンの熱心さで知られる都市の球団ならではのエピソードを披露。この年のメッツには同じくFAで移籍してきた高橋尚成(元巨人)も在籍していたことに触れ「日本語が話せるっていうだけでやっぱりリラックスできるし、今までと全然違った環境の中で、日本人がいる安心感っていうのはありましたね。高橋さんと僕は(投球)スタイルが全然違うんですけど、アメリカに行って力だけでは(抑えるのは)難しいということもあって、高橋さんから変化球の投げ方とか配球も含めていろいろと話しながら学びました」と、当時を懐かしんだ。
ニューヨーク・メッツ時代の五十嵐亮太氏 (109249700,Marc Serota,GettyImages)また、同じニューヨークを本拠地とするヤンキースに移籍した2012年の写真が写し出された際には「さっきも言ったとおりニューヨークってすごくプレッシャーがかかる。(デレク・)ジーター(当時のヤンキースのキャプテン、通算3465安打)とかもチームのリーダーとして引っ張り続けるんですけれども、普通の精神力じゃやっていけないなと思いましたね。僕はロッカー(ルーム)に行ってこのチームじゃ無理だと思いました(笑)。だって横にAロッド(通算696本塁打のアレックス・ロドリゲス)やジーターがいる。イチローさんがストレッチをやっていて、黒田(博樹)さんが先発の日とかすごい雰囲気でしたよ。これで結果がついてこなかったら精神的に壊れちゃうんじゃないかっていうぐらいの中だったから『みんなすごいな』という感じで見てました」と、MLBきっての名門球団で“レジェンド”たちと共にプレーした日々を振り返った。
ニューヨーク・ヤンキース時代のイチロー氏(152800016,Rob Tringali,GettyImages)その五十嵐氏が「野球の歴史的瞬間」として選んだのが、2023年ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の侍ジャパン優勝と、翌2024年の大谷翔平(ドジャース)のMLB史上初となる「50-50」(シーズン50本塁打&50盗塁)達成。歴史のワンシーンを切り取ったショットの数々に「写真だとその瞬間が綺麗に写っている。選手の表情などもハッキリ分かっていいですね」と語り、19世紀から現在に至るMLB史を彩ってきた写真を集めたゲッティイメージズの「イチ押しのコレクション」には「あ、ベーブ・ルースだ。あれは(日本人メジャーリーガー第1号の)村上(雅則)さん? 僕、サイ・ヤング(の写真)を見るのは初めてかもしれないです」と目を輝かせた。
「2023 WORLD BASEBALL CLASSICTM」侍ジャパン優勝の瞬間(1475179723,Megan Briggs,GettyImages) さらに2025年にゲッティイメージズのサイトで「写真が世界で最もダウンロードされたMLB選手」のトップ20が発表されると、1位が大谷、2位は2年連続3度目のア・リーグMVPに輝いたアーロン・ジャッジ(ヤンキース)だったことに納得の表情を浮かべ、一方で3位山本由伸(ドジャース)、9位鈴木誠也(カブス)、12位佐々木朗希(ドジャース)、20位今永昇太(カブス)と、大谷も含め5人の日本人選手が名を連ねていたことには「世界で日本人がこんなにランクインしているのはすごくないですか?」と、驚きを隠せない様子だった。
トークの最後に五十嵐氏が「今シーズン注目の選手」として名前を挙げたのが、まず1人目は「スタートからあんなにホームランを打つというのは想像をかなり超えてきた」というシカゴ・ホワイトソックスの村上宗隆。「20代半ばでチームを引っ張る存在にもなっているし、去年、一昨年と最下位のチームの状態がこんなに良くなるというのは、村上の影響もあるのかなっていうのは見ていて感じますね」と、海を渡って1年目にして開幕からわずか2カ月で20本塁打を放ったヤクルトの後輩が、新天地でもたらした影響力の大きさにも言及した。
トークショーに参加した五十嵐亮太氏(GettyImages) もう1人は昨年MLBデビューを果たしたばかりのメッツの投手、ノーラン・マクリーン。こちらは五十嵐氏にとってはメッツの後輩で「顔もカッコいいっていうのもあるんですけど、ゆくゆくはサイ・ヤング賞投手になってもらいたい。順調にいけばそれぐらいの力はあると思うんですよね。ものすごいスライダーを投げるし、スイーパーもあってチェンジアップもあるっていうところなので。ハマった時のピッチングは本当にすごいので、皆さんにも注目してもらいたいなと思います」と期待を寄せた。
なお、この日のセミナーにはおよそ50名が参加。投手として日米球界で長年にわたって活躍を続け、現在は野球解説者やコメンテーターとして人気の五十嵐氏の話にこぞって熱心に耳を傾けた。トークセッション終了後には主催者から五十嵐氏へメジャー初登板時の写真が贈呈され、会場中からは一斉に大きな拍手が送られるなどセミナーは盛況のうちに幕を下ろした。
記念品として現役時代の写真を贈呈(GettyImages)