文=池田敏明
“2強”の争いが最も熾烈なのはスペインか
サッカーのユニフォームと聞くと、NIKEやadidas、PUMAといった知名度の高いスポーツブランドをイメージする方は多いだろう。各国トップディビジョンのクラブへのユニフォーム・サプライヤーとしても、これらのブランドが大きなシェアを占めているイメージがあるのだが、実際のところはどうなのだろうか。欧州4大リーグとされるリーガ・エスパニョーラ、プレミアリーグ、セリエA、ブンデスリーガ、そして南米からブラジル全国選手権とアルゼンチン1部リーグ、中米からメキシコ1部リーグの、16-17シーズン(ブラジルは2017年)のユニフォーム・サプライヤーを調べてみた。
まずはリーガ・エスパニョーラを見てみよう。adidasはレアル・マドリーを始めバレンシア、セルタなど6チームと契約。NIKEもバルセロナやアトレティコ・マドリー、アスレティック・ビルバオなど5チームのサプライヤーを務めている。PUMAは乾貴士が所属するエイバルだけで、国内メーカーであるJomaがビジャレアルなど3チームのサプライヤーになっているのが印象深い。ただ、R・マドリーとadidasの現行契約は今シーズンまでとなっており、各ブランドによって激しい争奪戦が繰り広げられている模様だ。
今シーズン一杯でアディダス社とのサプライヤー契約が満了となるレアル・マドリードには大きな注目が集まっている。そして、同クラブの新契約を巡っては、フットボール界で双璧を成してきたアディダス社とナイキ社に、スポーツ界で勢力を急拡大しているアンダーアーマー社が加わり、3社による熾烈な戦いが繰り広げているという。レアルの来季ユニフォームはどこのメーカーに? サプライヤー契約を巡り争奪戦が激化 | サッカーキング
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“母国”で存在感を発揮できないPUMA
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プレミアリーグもadidasが多く、チェルシーやマンチェスター・ユナイテッドが同社のユニフォームを着用している。NIKEは意外なことにマンチェスター・シティのみだが、来シーズンからはチェルシーがadidasから“鞍替え”することが決まっている。国産ブランドであるUMBROはエヴァートンなど3チーム。60年にわたってイングランド代表のサプライヤーを務めてきた同ブランドだが、今では国外メーカーの勢いに押されている。イタリアのMacron、カナダのDryworldもサプライヤーに名を連ねている。
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セリエAではNIKEやadidasのシェアはそれほど大きくはないが、NIKEはインテルやローマ、adidasはユヴェントスにミランと、国際的に知名度の高いクラブはしっかり手中に収めている。KappaやLotto、Erreaといったイタリア国内ブランドが多いのが特徴で、四大リーグでは唯一、PUMAを着用しているチームがない。
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ブンデスリーガではadidasがバイエルンなど4クラブと契約している。adidasはドイツのブランドなのでこれは納得の結果だが、同じくドイツ産のPUMAがドルトムントとしか契約を結んでいないのは意外と言える。最多はNIKEの6クラブで、レヴァークーゼン、ダルムシュタットにユニフォームを提供するJakoは国内の新興ブランドだ。
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ブラジルで勢力を拡大するUMBRO
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ブラジルではNIKEやadidasではなく、UMBROが最大のシェアを占めているのが興味深い。昨年12月、飛行機墜落事故で多くの選手を失ったシャペコエンセも、UMBROと契約を結ぶクラブの一つだ。アルゼンチンではKappaやブラジルのPENALTYがそれぞれ4チームと契約。アルセナルら3チームと契約するSport Lyonはアルゼンチンのブランドだ。メキシコではPUMAがチーバスやモンテレイといった人気クラブと契約を結んでいるが、プーマスはPUMAではなく、NIKEなのが面白い。プーマスのユニフォームにはピューマの顔が大きく描かれている。その横にPUMAのロゴマークがあると、何かとややこしいのかもしれない。
サッカー界における2大ブランドはNIKEとadidasだが、ユニフォームサプライヤーとしてのシェアは意外と大きくはない。2強以外のブランドも、ドイツのJakoやアルゼンチンのSport Lyonといった新興ブランドとともに、世界のマーケットで一種の“棲み分け”をしつつ勢力拡大を狙っている様子がわかる。
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