R・マドリードを不安にさせるC・ロナウドの気になるデータ
執筆者 Felip Muñoz De Casacuberta C・ロナウドが、現代サッカー最高の選手のひとりであることに疑いの余地はない。しかしそんなC・ロナウドでも、年齢の魔の手から逃れることはできないのだ。 32歳にして人々の羨望の的となる肉体美を誇るR・マドリードのエースは、徐々に全盛期の鋭さを失っており、それは数字の上にもはっきりと表れ始めている。 2009年の入団以来、トップアスリートの身体能力を武器にゴールを量産し、今シーズンもすでに19ゴールを記録しているC・ロナド。 一方で、得意の高速ドリブルで相手を抜き去る場面を目の当たりにする機会は少なくなりつつある。 統計に目を向けるとC・ロナウドのドリブル成功率が年齢を重ねるごとに減少傾向にあることがわかる。今シーズンのC・ロナウドは、1試合につき約2回のドリブル突破を試みている。 入団初年度となる2009年には1試合につき約5回のドリブル突破を試みていたことを考えれば、半分以下の数字である。 そして今シーズンの国内リーグにおいて、C・ロナウドがドリブル突破を1回成功させるには、なんと2試合も必要な計算となってしまうのだ。 C・ロナウドは今シーズンここまで、合計61回のドリブル突破を図り、その成功率はわずか44%に留まっている。この数字は当然ながら、同じくドリブルを持ち味とするFCバルセロナのレオ(リオネル)・メッシやネイマールの成功率に遠く及ばない。 そもそも、バルサのエース2人は、60%のドリブル成功率を誇る以前に、C・ロナウドよりも2倍以上の回数でドリブル突破(メッシ177回、ネイマール247回)を図っているのだ。 これらの数字の中でR・マドリード、そしてサポーターが抱いている不安材料は、ゴール数の減少でもドリブル成功率の低下でもなく、ドリブル突破を図る回数の少なさにあることは間違いないだろう。 直近の4シーズンを比較してみると、今シーズンのC・ロナウドはこれまでの約半分の確立(約41%)でドリブル突破を選択している。つまりドリブル突破を成功させることが難しくなっている以前に、そもそも相手を抜き去る方法にドリブルを選ぶ機会そのものが極端に少なくなってきているのだ。 苦し紛れともいえる無理のあるコンバート R・マドリードのジネディーヌ・ジダン監督は、この状況を改善すべく今シーズン、数回に渡ってC・ロナウドのポジション変更を試みている。 C・ロナウドは数多くの試合で本来のポジションである右サイドを離れ、よりゴールに近い中央へと移動する場面が頻繁に確認されている。 ここには、サイドにくらべドリブルの必要性が低い中央にポジションを移すことでゴールだけに集中できる状況をつくり出そうとする思惑が見て取れる。 とはいえ、C・ロナウドのゴールへの嗅覚と決定力も以前にくらべると確実に衰えを見せているのだが…。 C・ロナウドのトップへのコンバートは、現在考え得る中でもっとも現実的な解決方法といえる。 同時に、これまで定位置として長年守り続けてきたウイングのポジションをガレス・ベイルやカリム・ベンゼマに受け渡してしまうことも意味している。