文=池田敏明

Bリーグ元年、NIKEの契約チームはゼロ

 2016年9月にBリーグがスタートし、新たな時代に突入した日本のバスケットボール界。北は北海道から南は沖縄まで、B1、B2合わせて36ものチームがあり、それぞれがホームタウンを持っているので、近隣にチームがある方々にとっては今後、少しずつ馴染み深い存在になっていくのではないだろうか。興味が湧き、観戦してファンになれば、次はグッズが欲しくなるもの。そこで気になるのがユニフォームのサプライヤーだ。

 バスケットボールのブランドといえば、多くの人がNIKEやCONVERSE、Reebokをイメージするのではないだろうか。マイケル・ジョーダンのシグニチャーモデルであるNIKEの「エアジョーダン」や、CONVERSEの不朽の名作「オールスター」、Reebokのバスケットシューズに搭載された「The Pumpテクノロジー」などに憧れた方も数多くいるはずだ。

 ただし、Bリーグではこれらのブランドのユニフォーム・サプライヤーとしての存在感はそれほど高くない。B1リーグ、B2リーグ各チームのユニフォーム・サプライヤーを下記にまとめたが、目立つのはアメリカ本国で続々とシェアを広げているUNDER ARMOURだ。秋田ノーザンハピネッツ、リンク栃木ブレックス、千葉ジェッツ、サンロッカーズ渋谷、琉球ゴールデンキングスと、B1の18チーム中5チーム、そしてB2の熊本ヴォルターズが同社と契約を結んでいる。また、バスケットボール日本代表のオフィシャル・サプライヤーもUNDER ARMOURとなっている。野球では読売ジャイアンツや四国アイランドリーグPlus、サッカーでは大宮アルディージャやグルージャ盛岡と契約するなど、日本でも着々とシェアを伸ばしているだけに、Bリーグの今後の盛り上がり次第では、さらに多くのチームと契約を結ぶ可能性がある。

 その他では、MIZUNOやasicsといった国内有名ブランド、NBAの公式球サプライヤーであるSPALDING、老舗ブランドであるCONVERSEの名前も目立つ。アルバルク東京はBリーグで唯一、adidasと契約を結んでいる。一方で、NIKEとサプライヤー契約を結んでいるチームが1つもなかったことは意外だった。ちなみに、NBAでは2006年からadidasが公式オンコートアパレルプロバイダーを務めていたが、17-18シーズンからはNIKEが8年契約でこれを引き継ぐことが決まっている。

【NBAとナイキは6月10日(日本時間11日)、2017-18シーズンから始まる8年間のグローバル・マーチャンダイジング及びマーケティング・パートナーシップ契約を結んだことを発表した。ナイキは2017-18シーズンからNBAの公式オンコートアパレルプロバイダーとなる。 (中略) 加えて、このパートナーシップ契約は、NBAオールスターゲーム、NBAグローバルゲームズ、NBAドラフト presented by State Farm、Samsung NBAサマーリーグ、NBA 3XといったNBA関連イベントにも有効化される。またナイキは引き続き、バスケットボール・ウィズアウト・ボーダーズの公式パートナー兼アパレルプロバイダーも務める予定だ。】
ナイキがNBA、WNBA、Dリーグの公式オンコートアパレルプロバイダーに

 多くの選手がシューズを履き、圧倒的知名度を誇るNIKEのユニフォームを望むファンも多いはず。こちらもリーグや各チームの魅力や商品的価値が上昇していけば、実現する可能性は大きくなるだろう。

新興勢力も高品質、高性能なユニフォームを提供

©Getty Images

 その他のサプライヤーを見ると、バスケットボールファン以外には馴染みが薄いであろうブランド名が並んでいる。HOOP STAR、IN THE PAINT、ON THE COURT、AKTR、BULL FIGHT、VAYoreLA、MUNTER、SQUADRA、UPSET。これらはすべて、バスケットボール関連グッズを主に扱っている国産のブランドだ。新興勢力ではあるが、高品質、高性能でデザイン性にも優れたユニフォームを提供している。

 興味深いのは、PENALTYがB2の東京エクセレンスのユニフォーム・サプライヤーを務めている点だ。PENALTYはブラジルで生まれたサッカー・フットサルブランドだが、日本での製造・販売を手掛ける株式会社ウインスポーツが東京エクセレンスのオフィシャルトップパートナーを務めている関係でサプライヤー契約が実現した。サッカーJ2リーグの湘南ベルマーレやファジアーノ岡山など、複数のJクラブにもユニフォームを提供しているだけに、今後はサッカーグッズで培ったノウハウを生かし、バスケットボール界に新たな潮流を巻き起こす可能性もある。

 Bリーグの歴史は始まったばかり。各ブランドもこれから試行錯誤を繰り返し、ユニフォームだけでなく、様々なグッズを開発していくはずだ。バスケットボールのユニフォームをタウンユースで着こなすのは難しいが、いつかはストリートでもBリーグのユニフォームが一般的なファッションになるかもしれない。


池田敏明

大学院でインカ帝国史を専攻していたが、”師匠” の敷いたレールに果てしない魅力を感じ転身。専門誌で編集を務めた後にフリーランスとなり、ライター、エディター、スベイ ン語の通訳&翻訳家、カメラマンと幅広くこなす。