[日本ハム]陽岱鋼が移籍も、強力な布陣は揺るがない
2016年はソフトバンクに最大11.5ゲーム差をつけられながら、逆転優勝を成し遂げた日本ハム。そのチーム打率は.266と、リーグトップを記録した。規定打席に到達した個人の打率を見ると、西川遥輝が.314でリーグ2位、陽岱鋼が.293で8位、田中賢介が.272で17位、レアードが.263で22位、中田翔が.250で26位、そして中島卓也が.243で最下位の28位という結果だった。このように昨年の日本ハム打線は、規定到達打者が6人もいた。いかにレギュラーを固定して戦ったかがわかる。
しかし今季は打撃ベスト10入りしていた陽岱鋼が、FAで移籍してしまった。陽岱鋼は広い守備範囲をカバーできるなど、昨季を含めて4度もゴールデングラブ賞を受ける能力があった。打撃面だけでなく守備面でも、なんとかこの穴を埋めなければならないのだ。候補の1人だった谷口雄也は、右膝の怪我のため今季は絶望となった。大田泰示は左腹を痛めて開幕に間に合わない。岡大海や杉谷拳士、淺間大基らが競争し合ってレベルを上げ、補っていくしかない。とはいえ大谷翔平、中田、ホームラン王のレアードという長距離砲がいて、出塁率の高い西川や田中賢、近藤健介、さらに小技の使える中島が並ぶ打線は相手チームにとって脅威である。今季も破壊力は十分だ。
チーム防御率も3.06でリーグトップだった日本ハム。先発は11勝の有原航平をはじめ、10勝の大谷、高梨裕稔、増井浩俊と4人の二桁勝利投手がいた。ただし増井は8月から先発となり、10勝のうちの4勝は救援で挙げたものだ。今季の増井は再びリリーフへと転向することが決まっている。また二刀流の大谷は足を痛めて、シーズン当初は打者メインでいきそうである。このため開幕時の先発ローテーションは、有原、高梨に加えて、昨年7勝を挙げたメンドーサと加藤貴之、それにかつての巨人ドラ1で米インディアンス傘下の3Aから移ってきた村田透、新外国人のエスコバーで回すことになるだろう。
リリーフ陣は、2017WBC日本代表の宮西尚生と増井、それに谷元圭介とマーティンという強力な布陣で、リードして終盤を迎えればしっかりと逃げ切る形が作れるだろう。今季も日本ハムが優勝争いを繰り広げるのは間違いなさそうだ。
[ソフトバンク]デスパイネの加入で打線の破壊力が大幅アップ
©共同通信 昨年は開幕から順調に勝ち続け、6月には日本ハムとの差を最大11.5ゲームまで開きながら、逆転されて優勝を逃してしまったソフトバンク。最終的には日本ハムと2.5ゲーム差の2位であった。チーム打率は.261で、これは日本ハム、西武に次いでリーグ3位の成績である。しかしながら総得点は637点で、リーグ最多の得点を挙げていた。規定打席到達打者は5人で、打率.306の5位に一昨年のトリプルスリー達成者である柳田悠岐、.304の6位が2017WBC日本代表メンバーの内川聖一、.287で9位に中村晃、.259の23位にこちらもWBC代表の松田宣浩、そして.245の27位に今宮健太となっている。
今季のレギュラーはこの5人に加えて、ロッテからデスパイネが移籍し、DHを任されることになる。昨年は.280、24本塁打、92打点を記録しており、2017WBCではキューバの4番として活躍した長距離砲である。柳田、内川、デスパイネが並ぶ主軸は、驚異的な破壊力を持つだろう。外野の一角は、プロ4年目の21歳である上林誠知がポジションを手にしそうだ。チームの成長株だけに、実戦で結果が出せるか注目である。二塁手は明石健志なのか本多雄一なのか牧原大成なのかといったところだったが、川崎宗則がアメリカから復帰するかもしれないとのニュースもあり、実現すれば今宮のショートとともに流動的となる。
昨年のチーム防御率は3.09で、リーグ2位だったソフトバンク。二桁勝利投手は、15勝で最多勝利のタイトルを獲得した和田毅、14勝でWBC代表の武田翔太、12勝で同じくWBCに出た千賀滉大の3人だ。先発ローテーションはこの3人に加えて、昨年9勝の東浜巨、昨年7勝の中田賢一、それにWBCにオランダ代表として出場した昨年7勝のバンデンハークで回すことになりそうである。松坂大輔はオープン戦の最後に好投したが、開幕ローテからは外れた。
リリーフ陣は、2年連続セーブ王のサファテが抑えとして盤石で、五十嵐亮太、森唯斗、岩嵜翔がその前を務めることになる。しっかり勝ちゲームを逃げ切れる力があり、優勝争いをするのは間違いないだろう。不安点を挙げるなら、ここに入るべきスアレスがベネズエラ代表としてWBC参加中に腕を痛めたので、復帰には時間がかかるかもしれないことである。さらに左の森福允彦が移籍して左投手不足となっている。飯田優也、嘉弥真新也らがその穴を埋められるかにも注目だ。
[ロッテ]新外国人が長距離砲として機能するかどうか
©共同通信 昨年のロッテは4つの貯金を作ったが、優勝した日本ハムには15ゲーム差、2位のソフトバンクには12.5ゲーム差をつけられ、上位2チームに大きく引き離された3位であった。チーム防御率も日本ハム、ソフトバンクに次ぐ3位の3.66だった。先発投手はWBCにも出場したエースの石川歩が14勝を挙げて、2.16で防御率1位のタイトルを獲得。涌井秀章も10勝をマークし、この2人が二桁勝利を挙げている。今季の先発ローテーションは、彼らに加えて昨年8勝のスタンリッジ、昨年6勝の唐川侑己、昨季までのクローザーから今季は先発へと転向した西野勇士、それにドラフト1位ルーキーの佐々木千隼で回すことになりそうだ。
リリーフ陣はクローザーを務めていた西野が先発へ転向したため、抑えを益田直也と内竜也で争っていたが、2013年にセーブ王のタイトルを獲った経験のある益田が担いそうである。その前に投げるのは内、南昌輝、大谷智久、松永昂大、藤岡貴裕らがいて、駒はしっかり揃っている。投手陣に関しては、上位争いができる布陣と言えるであろう。
問題は攻撃陣である。昨年のチーム打率はリーグ5位の.256だった。規定打席に到達したのは、打率.339で見事に首位打者のタイトルを獲得した角中勝也、.285で10位だった鈴木大地、それに.280で12位だったデスパイネの3人しかいない。しかもチーム本塁打はリーグ最少の80本しか記録できなかったのに、ホームラン24本と打点92はともにチームトップだったデスパイネが移籍してしまったのだ。さらにチーム2位の10本塁打を放ったナバーロも退団。これで昨年二桁ホームランを記録した選手がいなくなったのである。この穴はあまりにも大きい。
DHのパラデスと三塁を守ることになりそうなダフィーの新外国人2人が、果たしてどこまで活躍できるだろうか。彼らが大きな一発を放ってこの穴を埋めることができれば、上位争いも見えてくるだろう。しかし角中、鈴木をはじめ、ショートの中村奨吾、外野の清田育宏らのレギュラー陣はみんな中距離打者なだけに、相手投手はそれほどの脅威を感じないのではないか。そんな思いを打ち破る活躍ができるかどうか、両外国人のバッティングには特に注目しよう。