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[西武]岸の抜けた穴を埋められるか

 2016年は優勝した日本ハムに23ゲームもの大差をつけられ、3位のロッテには8ゲーム差の4位に終わってしまった西武。それでも打線は調子の良さを見せ、チーム打率.264と総得点619はともにリーグ2位。本塁打数128はリーグトップであった。規定打席到達打者は、打率.309で3位の浅村栄斗、.296の7位でWBCに出場した秋山翔吾、.279で13位の栗山巧、.265の18位で盗塁王のタイトルを獲得した金子侑司、.252で24位のメヒアの5人だった。

 昨年の交流戦で故障し、一時戦線を離れて規定に届かなかったものの、過去に6度のホームラン王となっている中村剛也を中心に、24本塁打の浅村、35本塁打のメヒアで構成するクリーンアップは強力である。216本のシーズン最多安打記録保持者である秋山の出塁率が高いだけに、走者を置いて主軸に回したときの得点力は、相手チームにとって脅威となる。今季もリーグトップクラスの破壊力ある打線と言っていいだろう。また開幕時において、ドラフト3位ルーキーの源田壮亮がショートを任されそうである。どんなプレーを見せてくれるか注目しよう。

 その一方で、チーム防御率は3.85の4位、失点も4位の618点だった投手陣。規定投球回に到達したのは、菊池雄星ただ一人。二桁勝利を挙げたのも、12勝をマークした菊池のみだった。菊池に次ぐチーム2位の勝ち星を挙げたのは9勝した岸孝之だったが、その岸はFAで移籍してしまった。過去に7シーズンで二桁勝利をマークしたエースだっただけに、強力とはいえない西武先発陣から岸が抜けた穴は大きい。開幕時の先発ローテーションは菊池、昨年7勝の多和田真三郎、4勝のウルフと高橋光成、3勝の野上亮磨で構成されそうである。ローテの谷間で先発しそうな十亀剣を含めて、岸の穴を埋め、さらに上乗せして上位争いをしたい。

 リリーフは昨年28セーブを挙げた増田達至をクローザーに、WBC代表だった牧田和久がセットアッパー。そこに繋ぐ小石博孝、武隈祥太、大石達也らとともに、新外国人のシュリッターが勝ちゲームの継投に加わる活躍ができれば、シーズンを通してリードした終盤に逃げ切れる形が作れそうだ。

[楽天]ペゲーロとウィーラ―の爆発に期待

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 昨年は借金を16抱え、優勝した日本ハムとは25ゲームもの差をつけられて5位に終わった楽天。チーム打率は.リーグ4位の.257だったが、総得点は5位の544点であった。特に盗塁がリーグ最少の56個しか記録されておらず、起動力が使えなかった。規定打席に到達したのは5人いるが、打率ベスト10には1人もいない。チームトップは1年目ながら.278で14位に入った茂木栄五郎で、以下は.274で15位の銀次、.265で19位のウィーラ―、.265で20位の藤田一也、.252で25位の岡島豪郎だった。

 昨年の後半に加入して、51試合の出場ながら.279、10本塁打、26打点をマークしたペゲーロと、27本塁打、88打点を挙げたウィーラ―の主軸は迫力がある。昨季は11盗塁だった2年目の茂木が、起動力をアップしてより得点圏に進み、この助っ人2人が昨年以上の活躍を見せてくれれば破壊力が増す。島内宏明、今江年晶、聖澤諒らも3割近い打率を残しているだけに、それぞれが機能すれば上位争いができる打線となる。

 投手陣を見ると、チーム防御率は4.11の5位なのだが、失点はリーグ最多の654点もあった。規定投球回に到達したのは、防御率4位の2.91だった則本昂大、11位の3.89だった塩見貴洋、13位の4.30だった美馬学の3人。しかし則本はチーム唯一の二桁勝利となる11勝を挙げたが、負け数も11。塩見は8勝10敗、美馬は9勝9敗で、この主力投手3人で貯金を作った者がいなかったのだ。だが今季はFAで岸孝之が移籍してきた。プロ10年で103勝を挙げた実績があり、先発陣にとって大きな戦力の加入となった。インフルエンザを発症して開幕時のローテには入らないようなので、最初は則本、美馬、昨年7勝の釜田佳直、3勝の辛島航、それに森雄大と古川侑利で回す見込みである。ローテ入りが決まっていた期待の安樂智大が右足を故障したのは残念だが、早い復帰を待ちたい。

 リリーフ陣は、昨年30セーブの松井裕樹を抑えに、セットアッパーが福山博之。その前を新外国人のハーマン、移籍してきた小山雄輝、それに菅原秀、森原康平、高梨雄平の新人3人が当初は担いそうである。新顔が多いだけに、どこまでやれるか注目だ。

[オリックス]吉田正のブレイクでチームに勢いを

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 昨シーズンはオープン戦、交流戦、パ・リーグ公式戦、ファームとすべてが振るわず、完全最下位を記録してしまったオリックス。優勝した日本ハムには、30ゲームもの大差をつけられてしまった。チーム打率はリーグワーストの.253しかなく、総得点も最少の499点だった。規定打席に到達したのは.306で打率4位だった糸井嘉男、.284で11位のT-岡田、.273で16位の安達了一、それに.264で21位だった西野真弘の4人。しかしただでさえ打率も得点もリーグワーストだった打線から、盗塁王にもなった主力の糸井がFAで移籍してしまった。この穴を埋め、さらに上乗せしないと戦いは厳しくなる。

 期待は腰痛のため開幕時は欠場となったものの、ルーキーイヤーの昨年は63試合の出場で.290、10本塁打、34打点を記録した吉田正尚だ。2010年のホームラン王で昨年は20本塁打を放ったT-岡田や、96試合の出場で規定には届いていないが.290の打率を残した中島宏之、新外国人のロメロらとともに活躍できれば、上位争いができる打線になり得る。

 総失点こそリーグ5位の635点だったが、チーム防御率はワーストの4.18だったオリックス投手陣。二桁勝利を挙げたのは、10勝をマークした西勇輝のみだった。だがその西も12敗しており、ディクソンは9勝11敗、金子千尋と松葉貴大は7勝9敗で、先発陣は軒並み負け越してしまった。今季の開幕時の先発ローテーションはこの4人に加えて、新外国人左腕のコークと、ドラフト1位ルーキーの山岡泰輔で回すようである。新顔の2人が刺激を与える活躍ができるかどうか注目したい。この先発投手で昨年のように貯金を作れないと、今季も厳しい戦いとなってしまいそうだ。

 リリーフ陣は、WBC代表で昨年31セーブを挙げた平野佳寿をクローザーにして、その前を吉田一将と佐藤達也、左の海田智行らが待機する。ここに2年目の赤間謙、ルーキーの黒木優太と澤田圭佑、新外国人のヘルメンが開幕時には名を連ねた。先発陣同様、リリーフでもフレッシュな彼らがどこまでやれるか注目しよう。なんとかうまく継投して、平野へ繋ぐ形を作りたい。


BBCrix編集部