文=池田敏明

低迷するオランダ。今予選中の立て直しは厳しいか……

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 2018年ロシア・ワールドカップのヨーロッパ予選は当初、開催国ロシアを除く52の国と地域で争われる予定だった。しかし、16年5月13日のFIFA総会でジブラルタルとコソボのFIFA加盟が承認され、54の国と地域を6つずつ9グループに分けて行われることとなった。

国際サッカー連盟(FIFA)は13日、年次総会でコソボとジブラルタルの加盟を認めた。これにより両地域は、2018年のロシアW杯(2018 World Cup)予選に出場することが可能になった。
FIFAがコソボとジブラルタルの加盟を承認、W杯予選出場可能に 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

 各グループ1位が本大会にストレートインし、2位になった9チームのうち、成績上位8チームがプレーオフを行い、勝利した4チームにも出場権が与えられる。果たしてロシア行きの切符を手にするのはどこになるのか。

 グループAはフランス、オランダ、スウェーデンの三つ巴になると見られていたが、ユーロ2016準優勝のフランスが盤石の戦いぶりを見せている。若手、中堅、ベテランと陣容のバランスも良く、ライバルたちとの直接対決でもしっかり勝利を収めている。2位スウェーデンは、2位の確保とプレーオフ進出に注力したほうがよさそうだ。一方、オランダは5試合で2勝1分け2敗と不振を極め、3月にダニー・ブリント監督を解任。後任人事も難航しており、今予選中にチームを立て直すのは難しい。ユーロ2020、そして22年カタールW杯に向けたチーム作りに着手するのが得策だろう。

 グループBはスイスとユーロ2016王者ポルトガルの首位争いが熾烈だ。昨年9月の開幕節で実現した直接対決ではスイスが勝利し、現在も勝ち点3差で首位をキープしているが、得失点差ではポルトガルがスイスを大きく上回っている。両者ともにこのペースで勝ち星を積み重ね、最終節での再戦でポルトガルが勝利すれば、得失点差で両者の順位が逆転することになる。この試合をホームで戦えるポルトガルに分があると見る。

 グループCはドイツが5戦全勝、20得点1失点と圧倒的。北アイルランドとチェコが2位争いを演じているが、チェコはこれまでのホームゲーム3試合で1勝しかできなかったのが後々、響いてくるだろう。一方、混戦も予想されたグループDはセルビアとアイルランドが順調に勝ち点を伸ばしている。ウェールズはギャレス・ベイルが奮闘しているものの勝ちきれない試合が続いており、6月の試合でセルビアに敗れるようだと悲願のW杯出場は厳しくなる。

スペインvsイタリアの頂上決戦の行方は……?

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 グループEはポーランドが2位モンテネグロに6ポイント差をつけ独走中。12得点中8ゴールを決めている絶対的エース、ロベルト・レヴァンドフスキへの依存度の高さは気になるところだが、本大会出場は間違いないだろう。グループFではイングランドが4勝1分け、ここまで無失点とバランスの良さを発揮している。イングランドは予選を危なげなく突破し、期待をさせておいて本大会で失態を演じることが多い。順当に予選突破を果たしても、まずは気を抜かないことだ。

 グループGは今予選の最注目組。W杯優勝経験を持つスペインとイタリアが同居し、激しい首位争いを演じている。もはや他国が付け入る隙はなく、9月2日に予定されている直接対決が文字通りの頂上決戦となるだろう。普通に考えればホームのスペインが優勢だが、こういった難しい局面でこそ力を発揮するのがイタリア。粘り強く勝利して順位を逆転させ、そのまま最後まで乗り切ると見ている。

 グループHはベルギー、グループIはクロアチアがリードしている。両チームとも得点が多く、失点が少ないという理想的な戦い方を貫いており、選手層も厚いため、今後、大崩れする可能性は低い。2位争いは両グループとも熾烈だが、グループHで2位のギリシャにはサッカー連盟による選手やコーチングスタッフへの盗聴が発覚。今後の先行きが不透明となり、ボスニア・ヘルツェゴビナに逆転される可能性もある。グループIはアイスランド、ウクライナ、トルコの争いだが、攻守のバランスを見るとウクライナが2位に滑り込む可能性が高そうだ。

 ヨーロッパ予選からストレートインするのはフランス、ポルトガル、ドイツ、セルビア、ポーランド、イングランド、イタリア、ベルギー、クロアチアの9チーム。プレーオフにはスウェーデン、スイス、北アイルランド、アイルランド、スロバキア、スペイン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ウクライナが進むと見る。プレーオフの組み合わせ抽選会は予選終了後に行われるため、強豪同士が激突する可能性もあるが、この面子であればスペイン、スイス、スウェーデンが勝ち上がる可能性が高く、組み合わせによってはスロバキアやボスニア・ヘルツェゴビナにもチャンスがあるはずだ。


池田敏明

大学院でインカ帝国史を専攻していたが、”師匠” の敷いたレールに果てしない魅力を感じ転身。専門誌で編集を務めた後にフリーランスとなり、ライター、エディター、スベイ ン語の通訳&翻訳家、カメラマンと幅広くこなす。