第2戦のアイルランド戦は9月28日(土)16時15分キックオフで、決勝トーナメント進出への試金石と見られていたが、19-12で大金星。平均視聴率22.5%、瞬間最高視聴率28.9%を記録した。

第3戦のサモア戦は10月5日(土)19時30分キックオフと絶好の時間帯だったため、平均視聴率32.8%、瞬間最高視聴率46.1%をマーク。試合も38-19と快勝した。

そして決勝トーナメント進出をかけた10月13日(日)19時45分キックオフの第4戦スコットランド戦は、平均視聴率39.2%、瞬間最高視聴率53.7%と注目度がさらに増した。結果は周知のとおり28-21で日本が勝利し、プールAの1位で決勝トーナメント進出を果たした。

10月20日(日)19時15分キックオフの決勝トーナメント初戦、南アフリカ戦は残念ながら3-26で敗れたが、平均視聴率41.6%、瞬間最高視聴率49.1%と、驚異的な数字をたたき出した。

【参考】スポーツイベントテレビ放送 視聴率比較

これらの試合をテレビ放送したのは、第1戦のロシア戦、第3戦のサモア戦、第4戦のスコットランド戦が日本テレビ、第2戦のアイルランド戦、決勝トーナメント初戦の南アフリカ戦がNHKだった。

さらに、ラグビーワールドカップ2019日本大会のテレビ放送は、日本戦以外の試合でも高視聴率を連発している。

9月21日(土)18時45分キックオフのニュージーランド×南アフリカが平均視聴率12.3%(日本テレビ)。9月29日(日)16時45分キックオフのオーストラリア×ウェールズが平均視聴率10.2%(日本テレビ)。9月30日(月)19時15分キックオフのスコットランド×サモアが平均視聴率11.8%(日本テレビ)。10月5日(土)17時キックオフのイングランド×アルゼンチンが平均視聴率12.7%(日本テレビ)。予選ラウンド4試合で10%超えを記録した。

この期間にテレビ放送されていたスポーツイベントは、ラグビーワールドカップ2019日本大会だけではない。

フジテレビは9月14日(土)から10月15日(火)にかけて、FIVBワールドカップバレーボール2019の男女全22試合を生中継。最も高い平均視聴率を獲得したのは、女子が9月16日(月)19時20分試合開始の韓国戦で12.3%。男子が10月11日(金)19時20分試合開始のエジプト戦で11.5%。

TBSは9月27日(金)から10月6日(日)にかけて、世界陸上ドーハを生中継。最も高い平均視聴率を獲得したのは、9月29日(日)9時15分~9時54分の12.1%。

テレビ朝日は10月10日(木)19時35分キックオフの2022FIFAワールドカップカタールアジア2次予選の日本×モンゴルを生中継。この試合の平均視聴率は10.1%。

また、10月5日(土)から10月13日(日)にかけて、プロ野球クライマックスシリーズのファーストステージおよびファイナルステージが開催された。最も高い平均視聴率を獲得したのは、10月13日(日)15時30分試合開始のセ・リーグ・ファイナルステージ第4戦・巨人×阪神の11.3%(NHK総合)。

このように比較してみると、ラグビーワールドカップ2019日本大会がどれだけ多くの注目を集めているかがわかるだろう。

前回のワールドカップ イングランド大会より日本テレビが放映権を所持し、NHKと分け合う形でラグビーを放映してきた。今でこそ日本テレビの独占放送のように見えるが、ワールドカップが来るとは言え、マイナー競技であり、直前まで盛り上がりの無さを嘆かれていたラグビーをこの4年間支えてきたのだ。
ラグビーワールドカップ2019日本大会は開幕直前では、日本テレビのコンテンツのように扱われていたため、日テレ以外のキー局はほとんど扱ってこなかった。開催権の各局は、日テレの放送網以外の番組以外も地元の盛り上がりを取り上げ続けてきたものの、日テレは孤軍奮闘してきた。
ところが、ロシア戦の勝利を皮切りに日本代表の快進撃が続く中、各局もニュース番組や特集でここぞとばかり、扱わざるを得なくなった。しかし、各局の遅すぎた対応は、日本テレビをアシストする形になっていった。

TBSは唯一、ラグビーを題材にしたドラマ「ノーサイド・ゲーム」で人気を上手に利用していたが、これもラグビー視聴を助長する結果になった。

SNSの反響も絶大で、ラグビーワールドカップ日本語版公式アカウントはフォロワー26.5万人。インスタグラムの公式オンラインストアも26千人のフォロワーを集めている。ツイッターでは「ラグビーを見た後にサッカーを見ると、何か物足りない」というつぶやきも数多く見られた。

日本代表は4強に残ることはできなかったが、この機会にラグビーの魅力に触れた人は、準決勝と決勝もテレビ視聴する可能性が高い。準決勝は10月26日(土)17時キックオフでイングランド×ニュージーランド(NHK)、10月27日(日)18時キックオフでウェールズ×南アフリカ(日本テレビ)。

そして準決勝の敗者が11月1日(金)18時キックオフで3位決定戦(NHK)、準決勝の勝者が11月2日(土)18時キックオフで決勝戦を戦うことになっている(日本テレビ、NHK)。

ちなみに、10月19日(土)からプロ野球のSMBC日本シリーズ2019も開催されているが、日本×南アフリカと同じ時間帯に放送された第2戦の平均視聴率は7.3%だった(TBS)。

そしてソフトバンクが連勝の勢いそのままに、驚きのないまま3連覇を果たしてしまう結果となった。巨人が、リーグ屈指の人気チームであるソフトバンク(当時はダイエー)との対決は2000年以来19年ぶりにも関わらず、本来は盛り上げる立場の日本テレビの放送は10月22日(火)~24日(木)の東京ドーム開催だったが、日本テレビはラグビー残り試合に全力を注ぐであろう。

ここから巨人が巻き返して第6戦~第7戦までもつれた場合、ラグビーの準決勝が待ち構えていたが、試合自体は盛り上がっても、盛り上がらない日本シリーズを迎える事には幸いならなかった。
ラグビーのムーブメントは落ち着きを見せるも、結果的に日テレが一人勝ちしたスポーツの秋となった。


保井友秀

1974年生まれ。出版社勤務、ゴルフ雑誌編集部勤務を経て、2015年にフリーランスとして活動を始める。2015年から2018年までPGAツアー日本語版サイトの原稿執筆および編集を担当。その他、ゴルフ雑誌や経済誌などで連載記事を執筆している。