“ストロングスタイル”を貫くことで、池田氏はどのような未来を見ているのか。幕末の志士の名前を挙げ、現代社会への憂いを口にした。

 「このままだと、この国から二度と坂本龍馬は出てこないですよ」

日本には常に変革、パラダイムシフトを続けることで成長を遂げてきた歴史がある。池田氏は「明治維新に代表されるように、この国は変わって成長してきたのに、いつしか変わることを知らない日本人になってしまった。日本には言論・表現の自由があるはずなのに、戦うことは悪だと言論を封殺しようとし、干渉してくる時代になってしまった」と嘆き、「それは日本自体が一定の成功を収めて、もう変わりたくなくなっているからでしょう。これは、まさに“日本の病”です」と分析した。

連載第2回で、池田氏は「戦うことは嫌い」と吐露したが、一方で「戦わなければいけない時がある」とも強調した。「病」と戦い、新たな時代を切り開く。そんな気概のある“同志”が一人でも増えてほしいからこそ、本著を世に出し、声を上げる。

「“ストロングスタイル”は今後も貫きますし、言っていかないと、そういう面白い人がいなくなってしまいますよね。会社などの多くの組織は、成功体験ができ始めると守りに入りだして、前年踏襲に終始して駄目になっていく。戦いを避けていると、どんどん目線が低くなっていきます。変わるということは、常に波風が立つんです。新しいことは、理解できない人がたくさんいるのですから当然です」

では、そんな“ストロングスタイル”で目指す「ベイスターズの次」の夢とは。現在は、行政と連携し、スポーツによる地域活性化・地方創生を図る一般社団法人さいたまスポーツコミッションの会長を務める池田氏だが、この新たな取り組みを成功させるために求めているのが「武器」となるもの。1万人規模の新アリーナ建設などハードと目玉になるコンテンツを使って、さいたまをスポーツ都市のパイオニアにしようと、ここでも戦っている。

「何か経営主体を手に入れることで、大胆に、奔放にやれる。好き勝手にやりたいわけではなく、社会で意味のあることを為すためには“武器”が必要になる。それは、忖度や保身ばかりの無意味な権力争いに巻き込まれた2年半を振り返っても明らかです。私がやりたいのは、とにかく世の中を楽しませること。私には、承認欲求が全くないんですよ。全ては、世の中を楽しませているのが自分だという自己満足を得たいだけなんです」

ベイスターズの球団社長時代には、閑古鳥が鳴いていた本拠地・横浜スタジアムをさまざまな取り組み、仕掛けで連日満員とし、横浜の街に大きな賑わいをもたらした。「世の中を楽しませることで、自分が楽しくなれる。いろいろな人を、ある意味“踊らせる“ことで『実はこれ、俺がやっているんだ』という気持ちを一人ひそかに味わえていれば、それでいいんです。そのために、私は日々いろいろな糧を得ているつもりだし、経験しているつもりです。そして、それを実現するためには経営主体となることが必要だと感じています」

最後に池田氏は、本著に記されている自家用車にGPS発信機を取り付けられるという、まるでドラマや漫画のような出来事を引き合いに、強い調子で提言した。

「この話をすると『すごいな』と驚かれます。ただ、今後は『池田はGPSを付けられたから、けしからん』などと筋違いのことを言ってくる人が出てくるような気がしているんです。もちろん取り付けた人が悪いのですが、『取り付けられる側にも問題がある』みたいな発想が、最近の社会に蔓延しているように感じます。ものの言い方で善し悪しを変えてしまう、揚げ足取りや嫉妬にまみれ、出る杭は打つという風潮。それでは、本当につまらない世の中になってしまいます。とにかく、しっかりと物事を正面から捉えてほしい。嫉妬している暇があったら、正々堂々と戦えばいい。人を蹴落とすことは、戦いではありません。一番正々堂々としなければいけないスポーツ界がこの有様。だから、心配なんです」

坂本龍馬の名言に「世の既成概念を破るというのが、真の仕事である」(司馬遼太郎著「竜馬がゆく」より)というものがある。「どんなことがあっても、あきらめない」「挑戦し続けることの大切さと意味」など、熱い言葉が記されている『横浜ストロングスタイル』。それは、より良い世の中をつくりたいと願う“変革の士“の生き方であり、「真の仕事」への決意表明でもある。




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『横浜ストロングスタイル』
<本体1,400円+税/池田純・著/文藝春秋>

~ベイスターズを改革した僕が、その後スポーツ界で経験した2年半のすべて~

横浜DeNAベイスターズの初代球団社長として大きな実績を残したあと、「改革を一緒にしてほしい」と頼まれ、さまざまなスポーツに関わった彼を待ち受けていたのは、そこに渦巻く保身と忖度、変わりたくない人との陰湿な権力争いだった。 それらに翻弄され、絶望しながらも真っ向勝負を挑んだ2年半。 彼は、その生き方を決して曲げることはなかった。
挑戦しつづけること。 あきらめなければ必ず道が拓けること。 この本は、この国のすべてのビジネスマンに送る、 組織の中であなたがもっと自由に楽しく強く生きていくための「戦い方の教科書」だ!

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横浜ストロングスタイル制作秘話。第二回「私が戦う時」

横浜DeNAベイスターズ初代球団社長で一般社団法人さいたまスポーツコミッション会長を務める池田純氏が上梓した新刊『横浜ストロングスタイル』(文藝春秋刊)が話題を呼んでいる。その制作秘話に迫る全3回シリーズの第2回。「タイトルに込めた思い」を取り上げた前回に続き、今回は「私が戦う時」をテーマに掘り下げる。

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横浜ストロングスタイル制作秘話。第一回「タイトルに込めた思い」

ベイスターズの球団社長を退任してからの2年半を総活する今回の著書を世に出した理由と意味を探るべく、池田氏を直撃。全3回にわたるシリーズの第1回は「タイトルに込めた思い」に迫る。

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VictorySportsNews編集部