その一環として、11月2日に「LIVE STOCK – KAWASAKI MUSIC JOURNEY -」をスタート。このイベントは、市内外から10万人以上が集まる「みんなの川崎祭」をはじめ、「Colors,Future!Summit」、「かわさき市民祭り」、「川崎夜市」などの大型イベントと同日に開催される。出演するのは、DeNA体制になって以来、川崎ブレイブサンダースで8年にわたってホームゲームの音楽プロデュースをしているスチャダラパー。メンバーのANIとSHINCOが川崎市出身であり、BoseはNBAの番組でコメンテーターをつとめるほどのバスケ通。そんな川崎とバスケにゆかりのある三人が、川崎ブレイブサンダースと、新アリーナについて語ってくれた。

――Bリーグでは全国各地にアリーナが建設されていて、バスケットボールはプロスポーツの中でもっとも未来が明るいとさえいわれています。「LIVE STOCK」は、その準備期間から街を巻き込んでいこうという主旨のイベントですが、みなさんはどのように捉えていますか?

Bose:そうですね。新しい川崎のアリーナができる2030年頃に向けてですから。
ANI:まだだいぶ先って感じもするけど。
Bose:我々、何気にもう8年も川崎ブレイブサンダースの音楽をやらせてもらっているから、そこから考えるとここまでの間も結構長いんですよ。
ANI:ありがたい。
Bose:そう!だから、新アリーナに向けてスタートラインの意味を持つイベントに出られるというのはね。
ANI:ありがたい!
Bose:そう、ありがたいですよ。本当はもう少し早くできるという計画もあったみたいだけど、さっき(篠山)竜青選手とも話したけど、いろんな要素が重なって、まずは5年後の2030年を目指すということで。
SHINCO:うん、いいんじゃない? できるんだから。
Bose:そうそう、タイミングが大事なんですよ。こういうのは早すぎてもよくないし、いろんなことを積み重ねて、それらがだんだんと盛り上がって一番いいところでドカンとやるってことが大事。
ANI:成長曲線ね。
Bose:成長曲線のピークでやるっていう。それで、今回我々はそのだいぶ手前のところで出演するっていう(笑)。
ANI:ピークのだいぶ手前!
Bose:まだ(下の方を示して)このあたりだから(笑)。でも、今回の「LIVE STOCK」はSTUTSくんも出るからね。というか、今回我々は彼に呼んでもらったみたいなものだから。
SHINCO:いやー、ありがたい!
Bose:若くて才能溢れたSTUTSくんですから。若いといっても僕らに比べたらってだけで、もうベテランの領域に入ってるのかもだけど(笑)。とにかく勢いもあるしね。バスケと一緒で勢いも大事だから。一緒に曲もつくってもらったし、ライブも一緒にやってもらってるから、そういう自分たちのことをわかってくれている安心感は大事だよね。
ANI:そう、こいつらここはこうしとけばいいや、っていうね。
Bose:そう、STUTSくんの操り(人形)ですよ、我々は。プレーイングマネージャーみたいな。でも、一緒にやったら良い物が出来るし、観に来てくれた皆さんにも喜んで貰えると思います。

スチャダラパーが川崎新!アリーナシティ・プロジェクトを語る

――ANIさんとSHINCOさんは川崎生まれ川崎育ち。Boseさんも学生時代からお二人の家に行って音楽制作をされていたと伺っています。川崎は、みなさんにとってどんな街ですか?

Bose:そうですね。アルバムも何枚かつくったし、「今夜はブギー・バック」も二人の実家でつくってるから、手前味噌ですが、ヒット曲まで出してるんですよ(笑)。この川崎から。
SHINCO:確かにね。
Bose:そうだ、小沢(健二)くんも川崎だからね!そうか、我々はもしかしたらあと5年かけていろんな人を呼んできてくれるんじゃないかってことでオファーされたんじゃないの?もしかして。
ANI:かもしんない。
SHINCO:それでもいいけど。
Bose:でもさ、ANIとSHINCOが住んでたのは、ほぼ東京みたいな気分だよね。
ANI:そんなことない。なんか、ちょいダサみたいな感じ。
Bose:そもそも川崎って東京として認識されるようなエリアでしょ。地方出身の目線見たら「もうほぼ東京です」みたいな。
ANI:いやいや田舎っすよ。あと当時は圧倒的に川崎球場のイメージかな。それと競馬場。
Bose:ちょっとガラ悪い感じがね、当時は。
ANI:今もイメージだけは残ってるけどね。
Bose:そんなことないって、いまは見え方が全然違うよ。だいぶ前だけど、アゼリア(※)とチッタ(※)ができたのがでかかった気がする。チッタは三人でもいろんなライブに行ったし、出演したこともあったしね。
SHINCO:川崎のカルチャー感をつくった感じはある。実は川崎って結構広いし、地域毎でいろんな色でわかれてるんだよ。
Bose:駅周辺もあればね、梶が谷の向こうの緑深いというか木の感じもあれば、港の方もあるし。
ANI:川崎大師の方もあるし。
Bose:そういえば、 溝の口はブレイクダンスの聖地らしいよ。Shigekixもいるし。記念碑とか立ってる。
ANI:ダンサーはメダリスト含めていっぱい出てるから。全国から集まってくるからね。
SHINCO:それでいうと武蔵小杉も変わったよ。東京と神奈川のハブだから。
Bose:そこからさらに新アリーナで激変するっていう。ここまで変わってきてまだ変われる要素がある街。
ANI:楽しみでしかないでしょ。川崎は、ずっと成長曲線だから(笑)。

スチャダラパーが川崎新!アリーナシティ・プロジェクトを語る

――みなさんが川崎で制作活動されていた1995年にいまの川崎ブレイブサンダースのホームである川崎とどろきアリーナが完成しました。その時のこけら落としのライブをみなさんで観に行ったと聞きました。

ANI:そうそう!
Bose:ビースティー・ボーイズ!とどろきアリーナ最初のライブにして、最後っていう。「あれ?こんなにやっちゃっていいの?」ってくらい音が出てたからね。
SHINCO:出てた、出てた。すごかったから。
Bose:そしたら案の定出禁っていう(笑)。まあ、ダメだよね、あれは。
ANI:でも、それくらいやりきったのがかっこいいんだけど。
今度の新しいアリーナは、そういうのも万全になってるらしいから、思いっきりできるでしょう。
SHINCO:出禁になんないように。
Bose:だから、思い切りやっていいのをつくるのよ。

スチャダラパーが川崎新!アリーナシティ・プロジェクトを語る

――いまの川崎ブレイブサンダースというチームについてはどう思いますか?

Bose:それも竜青選手と話したけど、去年あたりから苦戦してるじゃないですか。でも、言ってたよ。とにかくいろんなことをしっかり準備してる、と。
ANI:おー。さっきのピークの持っていきどころ。アリーナと一緒で。
SHINCO:どこに合わせて盛り上げていくのか。
Bose: そもそもね、もちろん強豪だし、コロナ禍と重なっちゃったけどめちゃくちゃ強かったシーズンもあるし、いまみたいな苦戦する時期もあるんだけど、こうやってかかわらせてもらって応援するチームがあること自体がうれしいじゃん。
ANI:そうだね。俺、結構普通に応援しに来てるよ。
SHNCO:こういうチームが地元にあるってのは、川崎フロンターレもそうだけどうれしいよね。
Bose:なかなか堂々と「僕たちこのチーム応援してます」ってならないじゃない?しかも、サンダースの試合って、いつもお客さん入ってるから、それもいいんだよね。いいときも悪いときも。盛り上がっているところでスポーツが観られるっていうのがまず楽しいから。
ANI:そういうことができる街になったよね。スポーツチームで変わっていくという。
Bose:そもそも僕はバスケ超好きで、NBAの番組にも出させてもらうこともあって、目指すべき雰囲気はわかるのよ。最近は年齢的にももはや経営的な視点から見ちゃってるから。本来我々の年齢になったらNBAだとGMとかスポーツディレクターとかそういうレベルだから(笑)。
ANI:長期的で戦略的な目線で応援(笑)。
Bose:それも楽しみ方のひとつ。だから新しいアリーナに向けてっていうのも、やっぱりいまのチーム状況をそのまま受けるんじゃなくて、柱である篠山選手がいて、長谷川選手がいて、そこにどういう選手を入れて、どうつくっていくのかとか。
SHINCO:さっきのタイムラインの話ね。ピークをどこに。
Bose:もってくるか。若手も入れなきゃいけないし、同時に強い外国籍選手で補強もしないといけない。それから、川崎(ブレイブサンダース)もサッカーみたいにユースとかあるから、中学生くらいからちゃんとチェックしておいてチームに入るまで育成したり。場合によっては世界に羽ばたかせたり。そういうことの積み重ねからの新アリーナだから、2030年は大変なことになってるんじゃない?
ANI:まあ、そうなったら俺も、「俺が昔からやってた!」ってみんなに言うよね。
SHINCO:「俺らの街だって」ってね。
Bose:さっき田舎って言ってのに、急にそうなんのかよ(笑)。

 日本バスケットボール界の中心的存在だった東芝の川崎ブレイブサンダースが、Bリーグへの発展を受けてDeNAがオーナーとなった2018年、すでに川崎の街には、多種多様な人と文化で織りなされた地域が点在しており、新しいプロバスケットボールクラブを運営していくために必要な豊かな土壌ができていた。東京と神奈川のハブ的な役割を果たし、羽田空港からのアクセスの良さも考慮すると、今後インバウンドも含めたさらなる街の発展が見込める全国でも稀有なエリアといえる。

 多くのBリーグのクラブが次々にアリーナを完成させているなか、川崎のアリーナ計画はスロースタートとなった。しかし、スチャダラパーの三人が言うように、あえて「満を持して」と期待感が伴うのは、これまでに培われてきた川崎のカルチャーの土壌と、そこに向けて街の人や企業、行政をも絡めて新アリーナをみんなでつくりあげていくという、まったく新しい発想のプロジェクトとなっているからではないだろうか。これから5年、川崎の歴史的な幕開けへ向けて、街全体がうごめきはじめるのを、楽しみながら川崎ブレイブサンダースに注目したい。

※川崎アゼリア:JR川崎駅と京急川崎駅に直結した、神奈川県川崎市川崎区にある日本最大級の地下街)
※クラブチッタ:川崎市にある複合エンターテイメント施設「ラ チッタデッラ」の中核をなす大型ライブハウス「CLUB CITTA'(クラブチッタ)」。1988年にオープンし、国内外の有名アーティストが出演する歴史あるライブハウス。オールスタンディングの先駆け。

スチャダラパー

スチャダラパー
1990年にデビューし、1994年に小沢健二と共作した『今夜はブギー・バック』が話題となる。デビュー30周年を迎える2020年にアルバム『シン・スチャダラ大作戦』を発売。2024年5月にスチャダラパー & STUTS名義で『Pointless 5 (feat. PUNPEE)』をリリースし、2024年11月に『今夜はブギー・バック (LUVRAW REMIX)』を配信、アナログでリリース。 デビュー35周年となる2025年5月には東京、大阪で記念公演を行い、2025年9月にLINE CUBE SHIBUYAで『5th WHEEL 2 the COACH 30th LIVE』を開催。Bリーグ2018-19シーズンより川崎ブレイブサンダースの音楽プロデュースを担当。
「NAGAKEN EXTREME FUND」 第三弾として、NAGAKENのサポートを受け制作した、スチャダラパーの新曲『ビート道 feat.ロボ宙』のMV公開中。
また、「NAGAKEN EXTREME FUND」特設サイトでは、MV撮影の舞台裏を映したWEB CM、メイキング映像を公開中。

スチャダラパー オフィシャルサイト『ビート道 feat.ロボ宙』MV「NAGAKEN EXTREME FUND」特設サイト

イベント開催概要

LIVE STOCK - KAWASAKI MUSIC JOURNEY -
スチャダラパー、STUTSが出演する音楽ライブをSUPERNOVA KAWASAKIにて、マーケットイベントをデルタプラザで開催し、多様性や創造性といった川崎市の魅力を体感できる新たな賑わいづくりを図ります。

<開催日時>
・音楽ライブ:令和7年11月2日(日)  15:00開場 / 15:45開演
・マーケットイベント:令和7年11月2日(日)  13:00〜19:00
<開催場所>
・音楽ライブ:SUPERNOVA KAWASAKI(スペルノーヴァカワサキ)
・マーケットイベント:デルタプラザ (KAWASAKI DELTA内 中央広場) 


VictorySportsNews編集部

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