横浜の右腕・織田翔希投手は最速152キロを誇る本格派右腕で、今秋のドラフト上位候補としても高い評価を受けている。1年生の秋から頭角を現し、当時のエース・奥村頼人投手(現ロッテ)とともに二本柱としてチームを支えた。同年秋の神宮大会でも、初戦・明徳義塾(高知)戦で先発マウンドに上がると、9回2安打無失点で強豪相手に完封勝利を挙げ、広島商(広島)との決勝戦でも8回途中2失点(自責1)と圧巻の投球を披露。接戦の試合を制し、平成の怪物・松坂大輔氏を擁した、1997年以来2度目の神宮大会Vを果たし、全国にその名を知らしめた。
その実力は甲子園でも証明済みだ。昨年、2年春の選抜大会では市和歌山との初戦で甲子園デビューを果たすと、自己最速となる152キロをマーク。威力のある直球を軸に大会を通じて全5試合に先発し、23年春王者・健大高崎高(群馬)相手に7回無失点と好投し、連覇を目指す強豪校を撃破。智弁和歌山との決勝戦でも本領を発揮し、チームの秋春連覇に大きく貢献した。同年夏の甲子園でも2試合に先発し、いずれも完封勝利をマークするなど、存在感をアピール。27回1/3を投げて、許した自責はわずか2と2年生ながらエース級の活躍を披露した。だが県岐阜商高(岐阜)との準々決勝、タイブレークの末に敗戦。春夏連覇とはならなかったが、右腕は春に続いて全国の舞台でエース級の投球を見せ続けてきた。
自身にとって3季連続の甲子園となる今大会はエースナンバーを受け継ぎ、初めて「1」を背負って聖地に挑む。初戦は大会2日目の第1試合、神村学園(鹿児島)と対戦する。横浜にとっては史上4校目となる春連覇がかかる大会でもあり、その期待を背負うエースが、昨夏の悔しさを胸にどこまでチームを導けるか注目される。
山梨学院の二刀流からも目が離せない。身長194センチ、体重100キロという恵まれた体格を誇る最速152キロの大型右腕・菰田陽生は、打者としても長打力を持つ二刀流で高校通算34本塁打を記録している。投打ともにスケールの大きさを感じさせる存在で、こちらも今秋ドラフト上位候補として注目を集めている。
菰田は1年生から投打の中心としてチームを支えてきた。昨春の甲子園では3番打者として投打で躍動。打っては2試合で9打数3安打、投げては2回戦・西短大附高戦にリリーフで登板し、3イニングを完璧に封じるなど、全国の舞台でそのポテンシャルの高さを示した。続く昨夏の甲子園ではエースナンバーを背負い、「7番・投手」として全4試合に先発。防御率1.38、打率4割6分7厘という驚異的な数字を残し、山梨学院を同校初の夏4強へ導いた。投手として試合を作り、打者としてもチームを勢いづける姿は、まさにチームの中心的存在だった。
しかし、沖縄尚学との準決勝では先発したものの1回で降板。決勝進出を逃し、悔し涙を流した。さらに昨秋の神宮大会でも、自らの暴投でサヨナラ負け。結果がついてこない日々が続いたが、それでも主将としてチームをまとめ、再び甲子園へ導いてきた。昨春、昨夏に続く3度目の甲子園で、悔しさを晴らす活躍を見せられるか注目される。
昨夏の胴上げ投手の活躍も見逃せない。沖縄尚学の左腕・末吉良丞は最速150キロを誇るサウスポー。1年夏からベンチ入りし、早くから注目されてきた投手だ。昨春のセンバツで甲子園デビューを果たすと、横浜相手にリリーフ登板。しかし7回5失点と苦しい結果となり、チームも敗れて聖地を去った。
だが、その経験は大きな糧となった。昨夏の甲子園では全6試合に登板。1回戦・金足農高(秋田)では先発し、3安打完封と圧巻の投球を披露。四死球は与えず、14奪三振と、聖地で躍動した。その後も先発、リリーフとしてマウンドに立ち続けた左腕はチームの初優勝に大きく貢献し、決勝では胴上げ投手として歓喜の瞬間を迎えた。さらに昨秋には当時の2年生で唯一、侍ジャパンU-18代表に選出され、国際大会でも経験を積んだ。大舞台を重ねるごとに存在感を高めてきた。
昨夏の王者として挑む今春は、史上5校目となる夏春連覇がかかる。エースとしてその期待を背負う末吉が、聖地でどのような投球を見せるのか。昨春の悔しさ、そして昨夏の歓喜を知る左腕が、再び甲子園の主役となるのか注目したい。
今大会は戦術面でも新たな見どころがある。日本高校野球連盟は昨年8月、2026年シーズンより指名打者(DH)制を導入すると発表した。高校野球の全国大会では初の試みとなり、今春から導入されるDH制によって試合展開にも変化が生まれる可能性がある。これまで高校野球では投手が打席に立つことで生まれる采配の駆け引きや二刀流選手の活躍が一つの見どころだったが、DH制の導入によって攻撃力重視のオーダーを組みやすくなる。打撃力の高い選手を起用しやすくなることで、各校の戦術の幅も広がりそうだ。監督の采配や起用法にも注目が集まる。投手BIG3の山梨学院・菰田の起用法にも注目が集まっている。
組み合わせにも好カードが並ぶ。開幕試合では、昨夏の王者・沖縄尚学が帝京(東京)と対戦。伝統校同士の一戦は大会序盤から大きな注目を集めそうだ。さらに大会2日目の第1試合では横浜が神村学園(鹿児島)と激突。いきなり強豪同士が顔を合わせるカードであり、織田がどのような投球を見せるのかにも注目が集まる。大会4日の第2試合では、昨秋の神宮大会の決勝と同カード、神宮大会王者の九州国際大付高と神戸国際大付が再び激突。昨秋の王者がまたしても実力を見せつけるか、惜しくも準Vとなった神戸国際大付のリベンジなるか、注目が集まる。
高校球児たちが聖地でどんな物語を描くのか。球春到来を告げるセンバツは、今年もまた新たなドラマを生み出しそうだ。
センバツ開幕、”投手BIG3”に注目 DH制導入で変わる戦術
第98回選抜高等学校野球大会が本日3月19日、阪神甲子園球場で開幕する。全32校が聖地に集い、春の日本一を争う。今年も各地区の強豪校が顔をそろえたが、その中でも大会の行方を左右する存在として注目を集めているのが、横浜(神奈川)の織田翔希投手、山梨学院(山梨)の菰田陽生投手、沖縄尚学(沖縄)の末吉良丞投手ら、“投手BIG3”だ。いずれも将来のプロ入りが期待される実力派で、150キロ台の速球を持つ3人は大会を代表する存在と言える。タイプの異なるエースたちが聖地でどのような投球を見せるのか。その出来が大会の流れを大きく左右することになりそうだ。
15日に行われた甲子園練習で投球練習をする山梨学院・菰田投手 (C)共同通信