大会開幕日の11日、日本にとっては初戦の直前に遠藤航(リバプール)の負傷離脱と、町野修斗(ボルシアMG)の代替招集という緊急事態に見舞われた。それでもオランダ戦は2度もリードされながらも、中村敬斗(スタッド・ランス)と鎌田大地(クリスタルパレス)の得点でドローに持ち込んだ。2―2の同点ゴールは後半44分という土壇場で、劇的な展開だった。

 ただ、チュニジア戦へ向け順風ばかりではない。オランダ戦で左膝付近を痛めた久保建英(レアル・ソシエダード)が15日に病院でMRI検査を受けたのだ。診断結果は公表されていないが、長友佑都(FC東京)が「決勝トーナメントで帰ってこられるでしょう。タケ(久保)のためにも絶対に勝ち上がらないといけない」と話すように、1次リーグの残り2試合の出場は厳しそうな情勢となっている。

 W杯のメンバー外となった南野拓実(モナコ)や三笘薫(ブライトン)に続き、またもや攻撃的な位置の選手に起こったアクシデント。チュニジア戦では森保一監督の采配も見どころとなる。日本は壮行試合から「左シャドー」の最適解をなかなかみつけられていないままだったが、それに加えて久保も不在となると、右ウイングバックの堂安律(アイントラハト・フランクフルト)を2列目へ上げることも十分に考えられる。

 ここで、ふと思い当たるのは、森保監督が遠藤の代役にボランチではなく、アタッカーを呼んだことだ。鎌田、佐野海舟(マインツ)で安定しているボランチは、田中碧(リーズ)も含めて心配の要素は、この時点では相対的に少なくなっている。瀬古歩夢(ルアーブル)や板倉滉(アヤックス)、冨安健洋(アヤックス)も中盤の底でプレーできるし、オランダ戦でも見せたような試合途中からワンボランチにする攻撃的な布陣をオプションとすると、ボランチの頭数に不足はないようにも見える。

 むしろ、町野を呼んでいることで、ジョーカータイプの塩貝健人(ウォルフスブルク)や後藤啓介(フライブルク)はベンチに置いておくことが可能だ。偶然か、慧眼か―。森保監督の先を読む力には敬服するほかない。

 また、上田綺世(フェイエノールト)も17日の練習では疲労を考慮して別メニューとなった。状態が万全でなければ、第3戦以降を考慮してチュニジア戦は小川航基(NECナイメヘン)を抜擢する可能性も十分にある。

 対するチュニジアは荒療治に出た。初戦のスウェーデン戦での1―5の大敗を受けて、大会期間中にもかかわらずラムシ監督を解任。2018年にモロッコ、2022年にサウジアラビアを率いたルナール氏を新たな監督に招聘した。同氏は今大会のアジア予選でもサウジを率いて日本を対戦しており、白のワイシャツ姿で情熱的に采配を振る姿が印象に残っているサッカーファンも多いはずだ。

 16日の記者会見を報じたメディアによると、「日本のことはよく知っている」と不敵に言い放っているという。低調なチームにショック療法を加えることで、まるで別のチームに生まれ変わることはある。大会直前のベルギーとの親善試合や、スウェーデンとの初戦で大量失点を繰り返したチュニジアとは別のチュニジアが日本に立ちはだかると考えていた方が良さそうだ。

 もう一つ、初戦のオランダがそうだったように、W杯の舞台で「日本は勝ち点を計算できる相手」と見下してくるチームはもはやいないと考えた方が良い。格上のオランダでさえ慎重に試合を進め、日本に対して隙を見せる瞬間はほとんどなかった。4年前のドイツやスペインがはまった罠に、みすみす陥るような相手はもういない。親善試合とはいえ、ブラジルやイングランドに勝ったことも各国の日本への警戒度を上げさせているだろう。

 日本はチュニジアとW杯で1度対戦したことがある。2002年日韓大会だ。1次リーグ第3戦で顔を合わせ、2―0で快勝した。長居陸上競技場(現ヤンマースタジアム長居)で、森島寛晃と中田英寿がゴールを挙げ、日本中が歓喜に沸いた。初の決勝トーナメント進出を決めた縁起のいい相手でもある。

 今大会から大会方式が変わっており、グループ3位でも突破の可能性がある。日本はチュニジアに勝てば勝ち点4、チュニジアは0のままで、3位以上は確定する。他組の結果次第では「勝ち点4+組3位以上確定」で、ベスト32の当確ランプがともることは十分にある。

 森保一監督はオランダ戦で自信を深めている。「オランダ相手に、W杯の舞台で勝ち点1を取れるチームがどれだけあるかというと、2回もリードされた中で勝ち点1はそう簡単ではない。選手を称えたいし、価値ある勝ち点1だったと思っている」と、選手の奮闘に大きな手応えを感じ取っている。手にした勝ち点と勇気を胸に、勝負の第2戦へ向かう。


VictorySportsNews編集部

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