文=池田敏明

日本人最高年俸を2、3週間で稼いでしまうテベスやイブラ

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 5月にドイツで発売された『ダーティー・ビジネス・オブ・フットボール』という書籍で、マンチェスター・ユナイテッドに所属する元スウェーデン代表FWズラタン・イブラヒモヴィッチの衝撃的な給料が明かされた。

イブラヒモビッチはマンチェスター・ユナイテッドから週給36万7600ポンド(約5405万円)のサラリーを受け取っているようだ。年俸に換算すると1911万ポンド(約28億円)にも上る。さらに28ゴールを挙げたストライカーは、286万ポンド(約4億2000万円)のインセンティブも手にしていると同誌は伝えた。
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 『ダーティー・ビジネス・オブ・フットボール』は、サッカー選手とクラブの契約形態を次々に明らかにしてきた暴露サイト『フットボール・リークス』が出版したもの。イブラヒモヴィッチは昨夏、パリ・サンジェルマンからマンチェスター・Uに移籍した。当初は週給3200万円程度と見られていたが、移籍金ゼロでマンチェスター・Uに加入したこともあり、これだけの高額契約が実現したという。

 イブラヒモヴィッチの週給は5405万円ということだが、上には上がいる。現在、サッカー界で最高年俸の選手と言われているのは、昨年12月に上海申花に移籍したアルゼンチン代表FWカルロス・テベスだ。彼の週給は、なんと8600万円。年俸に換算すると44億7200万円にもなる。2017シーズンのJリーグにおける日本人最高年俸は遠藤保仁(ガンバ大阪)の約1億5000万円だが、テベスはわずか2週間で遠藤の年俸を超える額を稼ぎ出してしまう。

1時間のアルバイト=テベスの7秒

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 この週給8600万円を7で割ると、日給は約1228万円。日本のサラリーマンにとって一つの目標とも言える年収1000万円のラインを、たった1日足らずでクリアしてしまうわけだ。さらにこれを24で割ると、1時間あたり約51万円。日本の平均世帯年収は約540万円とのことなので、ちょっと1時間昼寝していても、平均的な家庭の月収をらくらく超えてしまう。アルゼンチンのバラック街で生まれ育ち、貧しい生活を送ったテベスが、今では時給51万円。実に夢のある話だ。

 さらに細分化すると、1分あたり約8500円、1秒あたりでは約142円となる。わずか7秒で約994円と、時給1000円のアルバイトとほぼ同じ金額を稼ぎ出すことになるのだから、応援する多くのファンにとっては目の当たりにしたくない数字かもしれない。

 ちなみに、イブラヒモヴィッチの母国スウェーデンの平均年収は約350万円と言われている。彼はわずか1週間で、スウェーデンの一般的な労働者の約15年分の給料を稼ぎ出してしまうことになる。一方テベスの場合だが、彼の祖国アルゼンチンはさらに物価が安く、平均年収は約80万円と言われている。計算すると、テベスは1週間でアルゼンチン人労働者の約107年分の収入を得ている計算になる。大学卒業後、22歳で働き始めたとして、107年後は129歳。一生かかっても、テベスの週給には到底かなわない。

 テベスは上海申花と2年契約を結んでおり、全うすれば年俸総額は約90億円になる。90億円で何ができるか――。例えば今年2月に開場したギラヴァンツ北九州の新本拠地、ミクニワールドスタジアム北九州は、建設費用だけで約89億円だった(その後、ゴール裏スタンドに屋根を架けるために約8億円が追加された)。つまり、テベスが上海申花で2年間プレーすれば、1万5000人収容のサッカー専用スタジアムを建てることも可能なのだ。

 彼の古巣であるボカ・ジュニオルスでは現在、本拠地ラ・ボンボネーラの改修または新スタジアム建設の計画が持ち上がっており、費用は前者なら約200億円、後者なら約300億円と見積もられているという。さすがに全額を捻出することは難しいが、一部負担なら十分に可能。育ててもらった少しでもクラブに恩返しをすれば、彼の株も一気に上がるのだが……。

池田敏明

著者プロフィール 池田敏明

大学院でインカ帝国史を専攻していたが、”師匠” の敷いたレールに果てしない魅力を感じ転身。専門誌で編集を務めた後にフリーランスとなり、ライター、エディター、スベイ ン語の通訳&翻訳家、カメラマンと幅広くこなす。