小学3年時に横浜市に引っ越してきた池田氏にとって、それまでを過ごしてきた北海道は横浜DeNAベイスターズでの成功の「原体験」にもなった場所だという。

「私は北海道の育ちで、昔巨人のファンだった北海道の祖父母が日本ハムを応援し出すのを見て『こんなにファンって地域密着によって変わるんだ』と思ったものです。それで、私はベイスターズを横浜でどう地域密着させていくかがキーだなと思ったんです」

DeNAが経営に参画する前の2011年、ベイスターズの年間観客動員数は110万人ほどだった。スタンドは閑古鳥が鳴き、何より神奈川はベイスターズという地元の球団がありながら巨人の人気が高い地域でもあった。

初代球団社長に就任した池田氏は、試合観戦にエンターテインメントの要素を取り入れるとともに、横浜スタジアムでキャッチボールをできる環境を提供したり、神奈川県内の子供たち約72万人にベースボールキャップを無料配布したりと、“常識外れ”の地域密着、地域活性化のアイデアを次々と実践し、年間動観客動員200万人以上を誇る球界屈指の人気球団に変貌させた。その一つのきっかけが、脳裏に刻まれていた祖父母の姿にあったという。

その祖父母とともに訪れ、「私の大好きな温泉」として推したのが北海道のトムラウシ温泉だ。「ベイスターズの球団社長時代は、野球のシーズンが終わった9、10月に祖父母のところへ行っていました。祖父母を連れて行っていたのが大雪山国立公園の東側にある、北海道で一番早く紅葉が訪れるといわれている温泉です」と思い入れたっぷりに紹介した。

「ともすれば熊が出るんじゃないかという、すごい林道を登っていった先にある秘境の温泉です」

場所は北海道新得町の山奥。以前は小さな湯治宿があったが、1993年に建築された立派なホテルである国民宿舎「東大雪荘」が建てられ、同施設内に大浴場、露天風呂、打たせ湯、ミストサウナなどが設けられている。全国から観光客が訪れ、日帰り入浴も可能(大人500円・子供250円、12〜20時)。美肌効果、血行改善などの効果が謳われている。

トムラウシ温泉・露天風呂(国民宿舎東大雪荘)トムラウシ温泉・大浴場(国民宿舎東大雪荘)

「これが、まあいい雰囲気なんです。何がいいって、とろりとしたお湯。ベイスターズではシーズンが終わると『オーバーホール』だと言って箱根の温泉とかにこもって体の治療に行く選手が多いんですけど、ベイスターズのファンの方にも交流戦で日本ハム戦を観戦の折にはぜひ、野球選手のオーバーホールのような感覚で足を伸ばしてみてほしいなと思います。札幌からだと時間はかかりますが、行く価値は絶対にありますよ」

横浜スタジアムを非日常空間に変え、多くのファンを魅了したプロ経営者が勧めたのは、何とも非日常性に富んだ神秘的なロケーションにある北の大地の秘湯だった。


【東大雪荘・トムラウシ温泉】
■住所
〒081−0154 北海道上川郡新得町屈足トムラウシ

■アクセス
車 :札幌から約220キロ。道央道〜道東道・十勝清水IC〜国道274号線経由(約3時間半)
電車:札幌から特急スーパーとかち・スーパーおおぞらで新得へ(約2時間10分)
バス:札幌駅前ターミナルから都市間バス・ポテトライナーで清水へ(約3時間5分)
※新得駅、帯広駅、清水より無料送迎有り。

■公式サイト
http://www.tomuraushionsen.com




取材協力:文化放送

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文化放送「池田純 スポーツコロシアム!」(毎週月 20:00~20:30)
パーソナリティ:池田純
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東大雪荘・トムラウシ温泉 公式サイト

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VictorySportsNews編集部