2002年の日韓サッカーワールドカップの際、多くの日本人がイングランド代表のデビッド・ベッカムにはまったように、今度の大会でも期間中に1人でも多くの「推し」が発掘されたい。
そこで本稿では、今度の大会に出場する一流戦士を紹介する。大会のヒーローになりそうな花形ポジションの美男子から、玄人受けするタフなファイターまで多士済々。どんな体型や性質の選手にも見合ったポジションがある、ラグビーならではの良さを感じていただきたい。

■1 ボーデン・バレット<ニュージーランド代表>

大会3連覇を狙う「オールブラックス」ことニュージーランド代表で、長らく司令塔の座を保持してきたのがボーデン・バレッドだ。

2016、17年には2年連続でワールドラグビー(国際統括団体)の年間最優秀選手賞に輝いている。スコット、ジョーディーという2人の弟も大会登録メンバー入りという、ラグビー名家の1人でもある。
スタンドオフという攻撃の軸に入り、防御の隙間をこれでもか、これでもかとえぐる。防御がその走路を埋めたら、首尾よく大外へフラットなパスを放る。

突破力という軸を据えた騎士で、今大会ではグラウンド最後尾のフルバックでも起用されそう。

■2 マルコム・マークス<南アフリカ代表>

マルコム・マークス選手 (C)Getty Images

クラスに、極端に身体が大きく運動神経の良い男子はいなかっただろうか。南アフリカ代表のマルコム・マークスは、日本の原風景を駆ける少年を国際基準のサイズに昇華させたようなアスリートだ。

スクラム(8対8で組み合う攻防の起点)の先頭中央に入るフッカーにあっては大柄な身長189センチ、体重117キロというサイズを誇り、ボールを持てば力強さとスピードをアピール。ロータックル、接点で相手の球に絡むジャッカルと、地上戦でも存在感を示す。2017、18年には国際リーグのスーパーラグビーでライオンズの一員としてファイナリストとなった。初参加となる今度のワールドカップでもブレイク必至だ。ちなみに2020年からは、に日本のNTTコミュニケーションズでもプレーする。

■3 マロ・イトジェ<イングランド代表>

マロ・イトジェ選手 (C)Getty Images

今大会で本格的にブレイクしそうなのは、イングランド代表のマロ・イトジェも一緒。ナイジェリアにルーツを持ち、バスケットボールや砲丸投げで17歳以下イングランド代表となった経験を持つなど、並外れた運動能力で「スーパー・マロ」と呼ばれる。

ラグビーの世界では空中戦の核になるロックとして、恐るべきバネ、スピード、腰の強さを発揮する。文武両道でも知られ、プロ生活をしながらロンドン大学東洋アフリカ研究学院で政治学を修めている。

■4 パブロ・マテーラ<アルゼンチン代表>

パブロ・マテーラ選手 (C)Getty Images

ラグビーの根を支えるぶつかり合いのシーンで、ラン、タックル、相手にタックルされながら繋ぐオフロードパスとさまざまな持ち味を発揮するのは、アルゼンチン代表のパブロ・マテーラだ。

フォワード第3列のフランカーに加え、チームの主将も務める。人垣を突き抜けるさまは痛快そのものだ。今年は国際リーグのスーパーラグビーで、アルゼンチンベースのジャガーズの一員として決勝に進んだ。仲間と貴重な経験をシェアしたうえで、今回の来日を果たしている。

4人兄弟の長兄で亡き父は軍人。ラグビーを初めたのは16歳と決して早いわけではなく、青春時代はサッカーとスキーに夢中だった。

■5 ロマン・ヌタマック<フランス代表>

ロマン・ヌタマック選手 (C)Getty Images

ロマン・ヌタマックはフランス代表の若きスタンドオフ。ストライドとリーチの長さを活かし、スペースをぐんぐん切り裂いてはオフロードパスを繰り出す。ボールを地面に弾ませて蹴るドロップゴールも得意(決まれば3点)。

接戦を手繰り寄せる若き新星で、2023年のフランス大会も見据えて貴重な時間を過ごしている。父のエミールも元フランス代表だ。


(後編へつづく)

向風見也

著者プロフィール 向風見也

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年にスポーツライターとなり主にラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「Yahoo! news」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。