■6 サム・ケレヴィ<オーストラリア代表>

サム・ケレヴィ選手 (C)Getty Images

フィジーにルーツを持つオーストラリア代表の走り屋が、サム・ケレヴィだ。一見、防御が揃った場所でも、瞬時のフットワークで対面の防御を抜けば勢いに乗ってぐんぐん加速。捕まっても長い腕でオフロードパスを繋ぎ、チームの攻めを活性化させる。

豪快な走りに加え、リーダーシップも評価される。今回が初のワールドカップ。他の熟練者たちとどんなシンクロを奏でるか。

兄は現秋田ノーザンブレッツのジョシュ。従兄弟には、元オーストラリア代表でかつて近鉄などでもプレーしたラディケ・サモがいる。

■7 ジョージ・ノース<ウェールズ代表>

ジョージ・ノース選手 (C)Getty Images

タッチライン際でトライを取るウイングのポジションにおいては、ウェールズ代表のジョージ・ノースが最も注目される1人だろう。身長192センチ、体重110キロ。27歳にして大会前までに88キャップを集めた(代表戦出場数。欧州連合軍のブリティッシュ&アイリッシュライオンズでのものも含む)。

身体の大きさを活かした突破だけでなく、巧みにスペースへ駆け込みながらスピード、フットワークも活かす。ラグビーの華、トライを量産できるスターの1人だ。

■8 ジョナサン・セクストン<アイルランド代表>

ジョナサン・セクストン選手 (C)Getty Images

長らく強豪アイルランド代表の司令塔として活躍。身長188センチ、体重92キロという恵まれたサイズを活かして防御に迫りながら、左右、もしくは前方のスペースへキックやパスを振り分ける。「ボールがセクストンを経由すれば、たいていアイルランド代表は前に出られる」といったイメージか。スクラムハーフのコナ・マレーとのコンビも熟練の域。前回大会では故障で不完全燃焼に終わっただけに、日本での大躍進を心に誓っていよう。

予選プールでアイルランド代表とぶつかる日本代表にとっては、「ストップ・ザ・セクストン」は避けて通れない宿題となりそう。

■9 グレイグ・レイドロー<スコッドランド代表>

グレイグ・レイドロー選手 (C)Getty Images

スコットランド代表のグレイグ・レイドローも、予選プールで日本代表の難敵となる。

接点から攻撃を展開するスクラムハーフを務める、甘いマスクのコンダクター。緩急をつけた球さばきと相手の虚をつくキックで巧みにゲームメイクする。敵陣で相手の反則を誘えば、自らペナルティーゴールも決める。

2015年のイングランド大会へはチームのキャプテンとして参加し、大会のベストフィフティーンにも選ばれた名手。今回は副キャプテンになることで、自らのパフォーマンスにより集中する。

■10 稲垣啓太<日本代表>

稲垣啓太選手 (C)Getty Images

開催国の日本からは名バイプレイヤーの稲垣啓太。スクラムを先頭で組むプロップでありながら、シャープなタックルと突進を繰り返す運動量を持ち味とする。歴史的3勝を挙げたイングランド大会の前からオーストラリアのレベルズと契約するなど、国際的な評価はかねてより高い。

最近ではバラエティ番組で「笑わない男」として取り上げられるが、現場では明瞭にプレーを振り返って記者団の輪を作る。クレバーなハードワーカーだ。ラグビーを始めた新潟工業高校で天然芝グラウンドの設立を支援するなど、郷土愛の強さでも知られる。


向風見也

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年にスポーツライターとなり主にラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「Yahoo! news」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。