大のボクシングファンで30歳前後に自身でも始めたという池田氏だが、今最も熱い視線を送るのが「モンスター」と称され、世界の注目を集める井上尚弥だ。実は井上がアマチュアだった相模原青陵高(神奈川)時代の2010年、千葉国体に出場した際に会場で、まだ面識のなかった大橋会長の隣に座って試合を観戦したところからのファンという筋金入り。その後、横浜DeNAベイスターズの球団社長となった池田氏は、井上が神奈川・座間市出身という縁もあり始球式をオファー。当時グローブにもらったサインは現在と異なるもので、「宝物」と大切にしている。
大橋会長との二人三脚で、そこから井上はあれよあれよと世界的スターに上り詰めていったが、それだけの逸材とともに戦い、サポートする側の重圧は相当なもの。5月18日に行われたWBSSバンタム級準決勝。当時IBF王者の強敵、エマヌエル・ロドリゲスとの対戦を目前に、大橋会長は精神的な疲労などでダウンしてしまったという。
「(井上が)3月くらいにスランプになったんです。それで、僕も緊張してしまい、体調を悪くして入院してしまいました。ちょっと(井上の様子が)何か違う感じで、練習でもいつもなら(自分が対戦したと想定して)『何やっても勝てねえな』と気持ち良くなるのですが、その時は『これ、いけるな』と思えてしまった。相手もすごく強いし、会場も行ったことがないグラスゴー。心配になって、極度のプレッシャーを感じてしまったんですね」
そこで「緊張を取りに」と訪れたのが、伊豆にある温泉旅館『月のうさぎ』だった。大海原、伊豆大島を一望できる温泉露天風呂付き客室が人気で、3000坪の敷地にわずか8棟の離れがあるだけというプライベート重視の贅沢な空間が自慢。伊豆4大食材「伊勢海老」「鮑」「金目鯛」「和牛」のほか、地魚の刺身などを堪能できる食事も評判で、まさに日常の疲れを癒すには最高の環境が整う隠れ家的宿として人気を博している。
そんな『月のうさぎ』に5月上旬、2泊した大橋会長だが、実は滞在中もボクシング漬けだった辺りが名伯楽たる所以か。「ロドリゲスの動画を見て、1ラウンドにジャブを何発、右ストレート何発とか、それを12ラウンドまで計算して、それを井上に送っていました」。それから約2週間後、世界を震撼させたのが2回1分19秒TKOという井上の圧勝劇だった。
「すごくリラックスできました。『月のうさぎ』には感謝したいですね。あの時は気持ちを落ち着かせて、すごくいい気分になれた。試合が終わった後に、ご褒美で温泉に行くのもいいんですけど、こういうのもありだなと思いました」
11月7日には、WBSS決勝がさいたまスーパーアリーナで行われる。井上の相手はWBAスーパー王者ノニト・ドネア(フィリピン)。この対戦に、大橋会長は運命的なものを感じている。2014年、21歳だった井上がWBCライトフライ級王座を返上し、当時のWBOスーパーフライ級王者オマール・ナルバエス(アルゼンチン)に挑戦する際、テレビ解説で来日していたドネアに攻略法を伝授されたことがあるのだという。
「ドネアはナルバエスに勝っていて、大橋ジムまで指導に来てくれたんです。その2人が、まさか戦うことになるとは。ドネアは日本が好きでよく来ているのですが、昨年にはジムの近くのコンビニでばったりと会い、寿司をご馳走したこともありました」
来年米ラスベガスで試合を行い、さらに将来的には階級を上げて現役最強の異名を持つWBAスーパー・WBO・WBC世界ライト級王者のワシル・ロマチェンコと戦う計画があることなど、井上の今後にも言及した大橋会長。ちなみに、ドネア戦後には結婚25周年、銀婚式のお祝いで神奈川・奥湯河原温泉郷にある『奥湯河原 結唯−ゆい−』を訪れる予定とか。大橋会長は温泉で心身の疲れを癒し、井上とともに壮大な夢を追う。
【月のうさぎ】
■住所
〒413−0231 静岡県伊東市富戸1299−3
■TEL
0557−52−0033
■アクセス
電車:伊豆急川奈駅からタクシーで約10分
車:東名高速厚木ICから約90分(小田原厚木道路−国道135号を利用)
東名高速沼津ICから約90分(伊豆中央道大仁中央IC経由)
■公式サイト
https://tsuki-u.com
取材協力:文化放送
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文化放送「池田純 スポーツコロシアム!」
火曜後8・40〜50、Podcastで拡大版配信中
パーソナリティ:池田純
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