「選手それぞれが自分にあったやり方で、自分の『価値』を最大化していけばいい」

ー安西選手といえば、最近動画メッセージサービスに出資を行ったことで話題になりましたが

そもそものきっかけは、ヴェルディユース時代の後輩が、「動画メッセージをファンが選手から受け取れるようなサービスを初めたいんだけど、参加してくれませんか?」って声をかけてきてくれたことで。

ー抵抗感のようなものはなかったのですか?

後輩の頼みだし、ネガティブなことよりもポジティブに捉えよう、という感じですかね(笑)。まあもちろん、アスリートがこういったサービスを始めることに対して、あまりポジティブな印象を持たれない方がいるというのは認識しています。ただ、それよりも応援していただいているファンの方々に恩返しだったり、そういったことをできるというメリットが自分にとって魅力的だったので、始めようと。特に海外に移籍してからは、日本で応援してくださっているファンに対してなにか還元したいという風に強く感じるようになりました。

ー今おっしゃっていた「アスリートがこういったサービスを始めることに対して、あまりポジティブな印象を持たれない方」に対してはどのようなお考えを・・・?

アスリートですから、まず第一に自分のプレーを向上させるために努力すべき、というのは自分もそう思います。ただ1日24時間ある中で、ずっと練習するわけにもいかないですし。その空いている時間の活用方法の一つとして、こういう活動だったり、社会貢献活動だったりっていうのも考えられると思います。あと、これも同時に強調しておきたいんですけど、そういった活動をしないアスリートに対して、僕自身がネガティブな印象を持っているわけではなくて。選手それぞれ、SNSだったりが苦手な人がいたりもすると思いますし。

ーそれをアスリートに押し付けるのがよくないと

まさしくそうですね。「練習だけしてればいい」とかっていうのも古いと思いますし、逆に「アスリートは全員SNSをやるべき」とかっていうのもそれはそれで押し付けがましいなと感じます。選手それぞれが自分にあったやり方で、自分の「価値」を最大化していけばいいと思います。

ヴェルディユースに対する『寄贈』という形

ークリスマス休暇での帰国に際してヴェルディユースに対して寄贈をされたということで・・・

先程話したサービスでうけとったお金をどういう風に活用しようか考えている中で、「ヴェルディ」というのが頭に浮かびました。ヴェルディには小学生の時、2005年から、鹿島にシーズン途中で移籍した2017年までお世話になってきてて。アカデミー時代から在籍していたヴェルディに差し入れをすることにしました。もちろん鹿島への思い入れもあるので、次のオフ期間には何かしら鹿島の為になることをできればと思います。

ーその受け取ったお金を自分で使おう、とかっていうふうにはあまり考えられなかったんですかね?

全く思わなかったわけではないですけど、せっかくならっていう。それに、そもそものきっかけをくれた後輩も、ヴェルディユース時代の繋がりだったりもするので。さっきいった、”選手それぞれが自分にあったやり方で、自分の「価値」を最大化していけばいいと思います。”っていうものの、僕の形ですかね。

ーヴェルディの育成年代の時の思い出などはありますか?

うーん、背が伸びない、とか、足が速くならない、とか。他の子とそんなに変わらない気がしますね(笑)。それこそこういう悩みって、さっき話してたサービスを始める時にも、すごい自分の中で鮮明に蘇ってきて。今考えると些細な悩みなんですけど、当時の僕にとってはすごく大きな悩みだったなと。そういう悩みを持っている子達に対して、元気だったり、勇気だったりっていうのを、プレーはもちろん、さっきの動画メッセージなりで与えられればいいなと思います。

ー最後に、今後の抱負を伺いたいのですが

ことプレーに関しては、シンプルだと思っていて。もっと結果を残したいという一点に尽きるかなと。加えて言うのであれば、さっきもいいましたけど、海外に移籍してから、日本のファンの存在をより強く意識するようになったので、みなさんをもっとワクワクさせられるようなプレーとか結果っていうのを残したいと思っています。それ以外の部分、今回お話したような内容に関して言うと、ドンドン積極的に自分が取り組んでいくっていうのはもちろん、他のサッカー選手だったり、アスリートだったりにも波及させていきたいという風に考えています。今回僕がこういった内容を発信することで、少しでも多くの選手が、「自分にあったやり方で、自分の『価値』を最大化していく」ことができればいいなと思っています。

サッカー日本代表4名が投資家に。「アスリート×ビジネス」の新たな可能性

選手からのビデオメッセージをファンが受け取ることのできるサービス「PasYou」の運営会社である株式会社PASUに、安西幸輝、権田修一、その他2名の日本代表選手4名が投資を行ったことが発表された。海外の事例などをふまえ、アスリートが投資家として活動することの是非について考えていく。


VictorySportsNews編集部