すると第2戦の「明治安田生命レディス ヨコハマタイヤゴルフトーナメント」も3月2日に開催中止が決定。第3戦の「Tポイント×ENEOSゴルフトーナメント」は3月13日、第4戦の「アクサレディスゴルフトーナメントin MIYAZAKI」は3月16日に開催中止を発表。3月に予定されていた4試合がすべて中止となった。

さらに第5戦の「ヤマハレディースオープン葛城」も3月18日に開催中止が決定。東日本大震災が発生した2011年を上回り、5試合連続で大会が開催されないという非常事態になっている(3月24日時点)。

今回は新型コロナウイルスの集団感染を防いで拡大を抑制するための措置なので、やむを得ない状況ではある。ただ、ゴルフは屋外スポーツなので密閉空間で行うわけではなく、ギャラリーが密集しなければ濃厚接触の可能性も低いので、無観客であれば大会を開催することもできるのではないかという気もする。

実際、全国のほとんどのゴルフ場は新型コロナウイルス流行後も通常どおり営業しており、多くのゴルファーがプレーしている。18ホールのゴルフ場であれば、週末は50組200人前後の来場者が訪れているはずだ。その数はゴルフトーナメントの出場人数よりも多いが、大きな問題は起こっていない。

ゴルフトーナメントは開催費用やテレビ放映費用をスポンサー企業がすべて負担し、ギャラリーの入場料収入はアテにしていないのだから、大相撲よりも無観客開催に適した興行かもしれない。

女子ツアーは昨年10月の「スタンレーレディス」最終日、台風19号の影響を考慮し、無観客で競技を行った。その2週間後に日本で開催されたPGAツアー「ZOZO CHAMPIONSHIP(ゾゾチャンピオンシップ)」も、記録的豪雨によりギャラリーの安全面を優先し、3日目の第2ラウンドが無観客試合となった。

これらは悪天候による臨時措置ではあるが、無観客開催の前例はあるわけだから、それを3日間競技あるいは4日間競技に適用することは物理的には可能だ。

だが、スポンサー企業が何のために試合を開催するのかという視点に立ってみると、無観客開催ではなく開催中止と判断する理由が見えてくる。

■スポンサー企業が重要視するもの

スポンサー企業は知名度を高めるため、企業イメージをアップさせるために試合を主催すると思われているかもしれないが、実はそれだけではない。試合前に開催するプロアマ大会に顧客や取引先を招待し、プロゴルファーとの交流を楽しんでもらうことをかなり重視している。

招待客の人数は大会によって異なるが、120人(招待客90人+プロゴルファー30人)から160人(招待客120人+プロゴルファー40人)ぐらいの規模で行われることが多い。これはトーナメント開催コースのパーティー会場に着席できる人数によって決まる。

そしてプロアマ大会では招待客3人にプロゴルファー1人の組み合わせでプレー。4人のショットの中でベストボールを選び、その場所から再び4人がショットできるような特別ルールでチーム戦を行い、スコアを競い合う。

プロアマ大会さえ無事に終われば、スポンサー企業はホッとひと息。本戦に入るとスタッフの数は一気に減り、あとはトーナメント運営会社にお任せといった感じになる。スポンサー企業にプロアマ大会と本戦のどちらが晴天に恵まれてほしいか質問したら、プロアマ大会だけは絶対に晴れてほしいというのが本音だろう。

ただ、プロアマ大会に招待するのは、各企業の社長や役員クラスの人たち。年齢層で言えば60代がメインで、70代の人も少なからずいる。年齢的にも社会的影響力を考慮しても、招待客が新型コロナウイルスに感染するのは絶対に避けたい。そうすると、本戦を無観客で開催するにしても、プロアマ大会は中止にせざるを得ない。

プロアマ大会に招待客を呼べないのであれば、選手たちには申し訳ないが、大会自体を中止にするというのが必然的な流れになる。

もちろん、プロアマ大会を中止にしても選手たちのために無観客で開催してあげたいというスポンサー企業もいると思う。だが、無観客だからといって選手や大会関係者が新型コロナウイルスに感染しない保証はどこにもない。万が一、感染者が出たら、スポンサー企業のイメージは明らかにダウンする。そのリスクを背負ってまで無観客開催を決断するのは難しいだろう。

入場料収入をアテにしていないゴルフトーナメントだからこそ、無観客開催という判断をしやすいかと思いきや、むしろ入場料収入をアテにしていないから開催中止が続いているわけだ。

そうなると、プロ野球やJリーグといった入場料収入をアテにしているスポーツよりもゴルフトーナメントが先に開催される可能性は低く、開催中止期間は長引きそうだ。

保井友秀

著者プロフィール 保井友秀

1974年生まれ。出版社勤務、ゴルフ雑誌編集部勤務を経て、2015年にフリーランスとして活動を始める。2015年から2018年までPGAツアー日本語版サイトの原稿執筆および編集を担当。その他、ゴルフ雑誌や経済誌などで連載記事を執筆している。