ゴルフショップへ行くと、実にさまざまなゴルフメーカーやゴルフアパレルブランドのゴルフウェアが店頭に並んでいる。今だったら2021年春夏モデルが売場をにぎやかに彩り、そのゴルフウェアを着て今すぐにでもゴルフ場へ行きたくなってしまうが、値段を見るとポロシャツ1枚で1万円を超えていたり、パンツ1本で2万円を超えていたりしてビックリする。

なぜゴルフメーカーやゴルフアパレルブランドのゴルフウェアがあんなに高いかというと、プロゴルファーが試合で着用することを前提に高機能素材を使用して高品質の商品を作っていることに加え、プロゴルファーが同じデザインや同じ色のウェアばかりを試合や練習で着用することにならないように豊富なバリエーションを用意しているからだ。

いろんなデザイン、いろんな色のゴルフウェアを作ると、一つの商品のロット数(生産・出荷の最小単位)が少なくなる。そうするとコストが高くなる。でも、ゴルファーの中には一定数の富裕層がおり、プロゴルファーとまったく同じゴルフウェアを次から次へと買い求める人や、価格が多少高くても商品がよければ買ってくれる人たちがいるので、コストを抑える努力をするよりも、いい商品を高く買ってもらうことのほうに重きを置いている。だから値段が高くなる。

そういった商品はもちろん肌触りもいいし、吸汗速乾など機能性も優れている。ただ、いくら品質がよくても、同じ品質を5年も10年も保ち続けることができるかと言えば、そこまでは難しいかもしれない。しかもゴルファーの大半は、ゴルフ場への来場頻度が1カ月に1回程度のライトユーザーなので、そんなに高いゴルフウェアを買うのは気が引けるのは当然だ。

結論から言えば、別にゴルフショップで売っている高いゴルフウェアを買わなくても、ゴルフにふさわしい服装であればゴルフ場へ行っていい。ユニクロのポロシャツとパンツを着てプレーしているゴルファーは日本中のゴルフ場に大勢いる。

そもそも、ユニクロのポロシャツとパンツも「マスターズ」チャンピオンのリクエストに応えて開発されている。2013年の「マスターズ」でメジャー初制覇を達成したアダム・スコット(オーストラリア)だ。

ユニクロがアダム・スコットと出会ったのは2012年秋。そのころユニクロのポロシャツはすでにゴルファーに着られていたが、ゴルフウェアとして広く認められるには至っていなかった。アダム・スコットは当時32歳。メジャータイトルこそ獲得していなかったが、PGAツアーで8勝を挙げていた。世界で活躍するトップ選手がアンバサダーになれば、ユニクロを着てゴルフをすることがもっと定着するのではないかとの思いから契約に至った。

そして2013年4月の「マスターズ」大会前公式会見で、サプライズで契約発表を行った。するとユニクロのロゴ入りのポロシャツを着用してプレーしたアダム・スコットは通算9アンダーで首位に並び、アンヘル・カブレラとのプレーオフを制してメジャー初制覇を成し遂げた。あまりのタイミングのよさに世界中が驚いた。

このアンバサダー契約をきっかけにユニクロは、「ゴルフの試合で着用できて、そのままレストランにも行けるパンツがほしい」というアダム・スコットのリクエストに応える商品開発に着手。2014年春に「ドライストレッチスリムフィットパンツ」を2990円で発売すると、ゴルファーの間でたちまち評判になった。この商品の進化版が2017年から3990円で発売されている「感動パンツ」である。今や日本だけでなく世界中のゴルファーに愛用されている。ポロシャツもアダム・スコットとの共同開発で、軽量で吸汗速乾性に優れたドライEXポロシャツを1290円~1990円と良心的な価格帯で発売している。

また、ユニクロ以外にもゴルフにふさわしい服装を庶民的な価格帯で提供しているショップやブランドはたくさんある。だからゴルファーはゴルフ場のドレスコードに配慮しながら、自身の予算に合わせてゴルフウェアを選べばいい。

ゴルフを始めるにはクラブを入手する必要があるし、練習場に行くにもレッスンに通うにもそれなりの初期投資がかかる。そのうえゴルフウェアまで高価なものを揃えなければならないと考え始めると敷居が高くなってしまう。必要最低限の身だしなみさえ守れば問題ないので、どうかカジュアルなウェアで気軽にゴルフを楽しんでほしい。

保井友秀

著者プロフィール 保井友秀

1974年生まれ。出版社勤務、ゴルフ雑誌編集部勤務を経て、2015年にフリーランスとして活動を始める。2015年から2018年までPGAツアー日本語版サイトの原稿執筆および編集を担当。その他、ゴルフ雑誌や経済誌などで連載記事を執筆している。