筒香は、2019年12月にレイズと2年総額1200万ドル(約13億2000万円)で契約。コロナ禍で開幕が遅れ、通常の162試合から60試合にレギュラーシーズンが短縮となった昨季は51試合出場し、打率.197、8本塁打、24打点という成績を残した。日本での実績を考えれば満足のいく数字ではないが、本塁打と打点はチーム2位。開幕戦で本塁打を放つなど、ア・リーグで優勝しワールド・シリーズに進出したチームの中で最低限の存在感は見せていた。

 しかし、開幕当初に「1番」で起用されるなど飛躍を期待された今季は、主に一塁手として26試合に出場し、打率.167、0本塁打、5打点と低迷。特に課題とされたのが、影を潜めた長打力だった。昨季.395あった長打率(1打数あたりの塁打数の平均値)が、今季は.218。日本時代から得意とした対左腕での出場が、昨季対戦打率.243(右腕は.183)と結果を残していたにも関わらず減っていたことも不利に働いた。指摘されていた速球への対応でも、93マイル(150キロ)以上のストレートに対する打率が.154と、昨季(.065)より向上したものの完全には適応できず。「データ」と「コスパ(昨季年俸総額が30球団中28位)」を重視するレイズにおいて、今季年俸(700万ドル=約7億7000万円)がチーム2番目の高さである選手が、その数字では、やはり厳しい。そんな中、右膝を負傷していた正一塁手・崔志万の昇格が内定。ベンチ入り枠(26人)を空けたいチーム事情も影響し、苦渋の決断が下された形だ。

 オンライン会見でケビン・キャッシュ監督(43)は「簡単な決断ではなかった」とし、獲得に尽力したエリック・ニアンダー・ゼネラルマネジャー(GM、37)は「われわれにとっても、ヨシ(筒香)にとっても、期待した結果にならなかった。誰もこのような悲しい結末を望んではいなかった」と説明した。同GMの見立てでは、要因は技術ではなく「メンタル」。地道に適応を目指す中で、迷いや焦りが生まれたとの見解を示唆した。また、慣れない環境で、コロナ禍という前例のない災害に見舞われたことも不運だった。得意のスペイン語などを駆使してチームには溶け込んでいただけに、何とも惜しまれるところだ。

気になる去就。DeNA復帰の可能性は

 では、気になる去就はどうなるのか。ニアンダーGMは「(決定を通達したとき、彼は)冷静に現実を受け止めていた。家族とも相談しなくてはならないだろう。チームは3Aでの再挑戦を望んでいるが、彼がベストな判断をすると思う」とし、本人が希望すれば傘下のマイナーで受け入れる考えを示している。そこで、まず今後の流れを優先度の高い順に見ていきたい。

①トレードでメジャー他球団への移籍を探る
トレードがまとまれば、メジャー40人枠入りが前提となる。

②ウェーバー公示
7日以内にウェーバーにかけられ、獲得希望球団を募る。最低勝率のチームから優先的に交渉でき、期限は公示から48時間以内。獲得希望球団はレイズに2万ドル(約210万円)を支払い、今季の残りの年俸は獲得球団が支払う。メジャー40人枠入りが前提。

③自由契約かマイナー降格
①②が成立しない場合、筒香が自由契約かマイナー降格を選択することになる。自由契約を選択すると、フリーエージェント(FA)となり、日本を含む他球団との交渉が可能になる。年俸は原則的にレイズが支払うが、メジャー球団への移籍の場合はメジャー最低年俸57万500ドル(約6200万円)を獲得球団が支払う。マイナー降格を受け入れた場合は、傘下のチームからメジャー昇格を目指す。


 このうち①②については、移籍先の球団の負担額も大きくなり、今季の筒香の成績を見ても実現性は低いといわざるを得ない。③のマイナー降格については、地元紙タンパベイ・タイムズの名物記者マーク・トンプキン氏が「レイズは本人の承諾を得られなければ、マイナーに降格させられない契約だった」と伝えている。これが事実なら、筒香が自らレイズとのマイナー契約を選ぶ可能性も低いことになる。つまり、自由契約を選択して他球団への移籍を目指す道が、現実的な選択肢になる。

 また、古巣であるプロ野球・横浜DeNAベイスターズは、三原一晃球団代表がコメントを発表。筒香が日本復帰を望んだ場合は、復帰を望んでいることを公表した。「左翼・佐野」「一塁・ソト」「三塁・宮崎」と筒香の入れるポジションは主力で埋まっているとはいえ、三浦大輔新監督のもと、セ・リーグ最下位に苦しむチームにとって戦力の大きな底上げになるだけに、球団による“復帰歓迎”のスタンスは一貫している。さらに、現時点では巨人やヤクルトなどDeNA以外の他球団は獲得に興味を示しておらず、ポスティングを容認して米挑戦を後押しした経緯や、背番号25を準永久欠番として復帰に向けた扉を常に開いていることなどを考えても、日本復帰なら古巣・・・が自然な流れだ。

 ただ、それも、あくまで筒香本人が「日本復帰」を望んだ場合。関係者によると、筒香は現状、米球界での挑戦継続を最優先に考えているという。DeNAの初代監督を務め、筒香がブレークするきっかけをつくった中畑清氏も、強い思いを抱いてメジャーに挑戦した経緯を知るだけに、米国での続戦に期待している一人だ。YouTubeチャンネル「テレビ東京スポーツ」で“愛弟子”の去就に言及。「はいつくばってでもいいから」と、マイナーで自身を見つめ直す時間が将来に生きることなどを力説。来季改めて日本で再スタートを切ることを勧めた。

 いずれにしろ、まずはウェーバーの結果待ち。どの道を進むことになっても、決して平坦ではないが、日本で通算205本塁打をマークし、日本代表「侍ジャパン」の4番も務めてきたスラッガーが、その誇りを取り戻すことを多くのファンが待ち望んでいる。

VictorySportsNews編集部

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