「契約ができず、未来が全く見えなかった」1月にスペインに渡航してからの日々

―スペイン入りまでの経緯を教えてください。
丹羽:1月4日にルヴァンカップの決勝があって、7日スペイン入りしました。ちょうど日本で緊急事態宣言が発令された日で、僕が乗るフランクフルト経由行きの便以外は全て欠航になっていました。運が良かったです。

―スペインに入ってからはどのように過ごされましたか。
丹羽:まず最初に、「興味がある」と言っていただいたチームの監督が1週間後に解任になったことでした。
それが1月14日くらいにわかって、もう1チーム、興味を示してくれていたチームがあったので、そこのチームに練習参加することになりました。

―そのチームでどのように過ごしましたか。
丹羽:「1週間くらいパフォーマンスを見たい」と言われたのですが、そのチームで練習参加前日に、コロナのクラスターが発生してしまい、4人しか選手がいない中で練習参加しました。
結局、クラブの方から「全員の中でプレーしている姿を見たい」と言われ、選手が全員復帰してからまた1週間練習参加しました。
その後、自分のパフォーマンスも良く、監督からも「かなり良かった」と言っていただいたので、「あ、もうこのチームで決まりかな」と思っていましたが、「更にもう1週間見たい」とGMの方から言われ、少し焦りが出てきましたね。

―それはなぜですか。
丹羽:長い期間、練習参加することに関しては大丈夫なのですが、僕が不安だったのは、スペインリーグ独特のルールである、「3部のチームは登録の人数の枠が決まっていて、その人数の枠が空いてないとチームに入れないこと」、「スペインリーグの選手の獲得、放出の期間は2月1日までで、登録の期限を間もなく迎える」ということでした。

「監督からは獲りたいと言われていた」期限が過ぎても契約できず、さらに監督の解任という事態に

―不安な日々ですね。
僕が参加したチームには元々枠が空いてなく、クラブの会長は「センターバックの選手を放出して、大輝を獲る」と言ってくれていたのですが、2月1日が近くなっても放出する動きがなく、期限が迫ってきて、決まっているようで決まっていない状態に焦っていました。
結局、1月末に「枠を空けられないかもしれない」と会長から言われ、そこから他のチームを探すことはできないと焦っていたら、2月1日の直前にもう一回会長に呼ばれて、「枠を空けるから」と言われました。ついに契約できると思ったのですが、次の試合でチームが負けて、監督が解任されてしまいました。
ただ、僕の場合はFC東京との契約が1月31日までで、フリーな状況でしたので、2月1日以降も枠が空いていれば、選手登録することは可能でした。

―まさかの事態ですね。
丹羽:会長から「枠を空ける」と話があった後も練習参加していたのですが、2月1日が過ぎても一向に具体的な契約の話はありませんでした。結局、2月の1週目は契約することができず、その1週目の試合でチームが負けてしまい、監督が解任になってしまいました。
解任された日に監督からボイスメッセージで「大輝は本当に良かった。ずっと欲しくて、クラブには欲しいと言っていたんだけど、こういう結果になってしまって本当に申し訳ない」というメッセージをもらい、その時にクラブは監督と契約を続けるのか、新しい監督と契約するのかで、僕を取るか取らないかを決めていたということがわかりました。

「郷に入れば郷に従え」17歳のチームメートに頭を叩かれる?

日本代表にも選出されたこともある、日本を代表するディフェンダーの丹羽大輝選手。Jリーグのガンバ大阪、サルフレッチェ広島、FC東京など数多くの強豪クラブを渡り歩き、今はスペインのセスタオリーベルクラブに所属。ピッチ外でも、復興支援活動や、ファン、サポーターの方と文通など、精力的にサッカー選手の価値を生かすために活動している。そんな彼が、vol.3では、新たなスペイン挑戦への心持ちや、精神面、体力面にも直結するメンタルの重要性について語った。

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VictorySportsNews編集部