元日本代表の肩書きを全て捨てる覚悟

―プレーオフについて教えてください。
丹羽:昨年からリーグ戦があって、上位1位から6位のチームでプレーオフをしていました。上位2チームは自動昇格で、3位から6位は、7位から10位のプレーオフの上位2チームと組み合わさり、6チームでトーナメント式で最終プレーオフをします。
そこから昇格できるのは1チームだけです。
1位から6位までのプレーオフに出場して僕のチームは3位でしたが、3位は2回目のプレーオフで、シード権、全試合ホーム戦、引き分けでも勝ち扱いになる、という有利な条件で試合を行うことができます。
先々週、準決勝の試合に勝って、
先週、決勝戦があり勝つことが出来たので昇格を決めることが出来ました。

―地元の評判はいかがですか。
丹羽:昇格を決めた際には現地のサポーターの方と一緒に歌を歌ったり踊ったりして喜びを分かち合いました。
街で自分の名前を呼ばれたりして、どんどんチームに馴染めてきてるのかなぁと思います。

―丹羽選手の存在が大きかったのでは。
丹羽:ここぞという試合や、痺れる戦いは、この18年間で何度も経験させてもらいました。
チームに獲得してもらった理由にその経験もあると思うので、チームを昇格させることが出来て良かったです。

―その経験をチームメイトや監督に伝えていますか。
丹羽:スペイン語がまだままならないことがあって、今は1プレイヤーとして、言葉ではなく、プレーで示し続けています。
日本だったら、練習前や練習中や練習後でも、いくらでも自分の経験を話すことができますが、今のチームではスペイン語で具体的な話ができないので、どこで経験を伝えるかと考えた時に、プレーで示すしかないと思いました。

―昨シーズンはFC東京で若い選手に声を掛けている印象がありましたが、今シーズンはどのようにしていくのだろうと気になっていました。
丹羽:要はよりシンプルにサッカーを通して会話をしています。
セスタオに練習参加した最初の方は、チームメイトも「あいつはどんなやつなのか?」と僕のことを疑っていましたが、練習試合で、僕が点を取って結果を出したら、チームメイトの反応が大きく変わりました。良い選手だとわかった瞬間、認めてくれて、練習中のパスを出してくれたり、名前を読んでもらえる回数が増えるなど、サッカーのプレーで信頼を取った感覚でした。

―プレーオフでどのようなことを表現しましたか。
丹羽:「DAIKIがいたら守ってくれる」「DAIKIが居たら勝てるだろう」と試合の中で信頼される事です。
試合をする度にどんどんチームメイトの信頼されていることを感じていて、昇格プレーオフでは結果を出せたのはもちろんですが、自分の存在感を存分に出せたと思っています。

―アジア人はまだまだ差別されることが多いと思いますが、その中で評価を勝ち得るために、どんなことを意識しましたか。
丹羽:僕が意識したのは、「郷に入れば郷に従え」という考え方です。
日本での18年間のプロキャリアを捨て、今はセスタオに加入して1,2ヶ月目の選手だという気持ちで、練習前のリフティングゲームに積極的に参加したり、17歳の子に罰ゲームで頭を叩かれたり、そういった中でチームメイトとコミュニケーションを取っています。
ロッカールームなども、日本に比べたら環境が整っていませんが、それを「環境が悪い、整っていない」と思うのではなく、「ここの選手になったのだから、この環境を受け入れて、この環境の中で今何が自分にできるのか」にフォーカスを当てて過ごしています。
日本代表、ガンバ大阪、FC東京での自分を捨てずにいたら、「なんでこんな環境なんだ」と思ってしまっていたと思いますが、「自分でこの国、環境を選んできたんだから」と思い、この国のサッカーと文化をしっかり学んで、そこにしっかりと馴染めるように取り組んでいます。

―それも難しいですよね。
丹羽:そうですね。日本でプレーしていたブラジル人を見ていても、まだブラジルの環境を忘れられない選手が多いと思います。
日本に馴染もうと思っている外国人は直ぐにチームに馴染んでいました。
この日本での経験とスペインに来てからの経験を重ねてみても、「郷に入れば郷に従う』 ことは重要だとより一層感じました。

―今後の連載の予告をお願いします。
丹羽:様々なメディアの方に今回のスペインへの移籍の話しを取り上げていただいたのですが、もっと具体的に移籍の経緯や、ビザの件、生活についてもお話しできたらと思っています。
僕自身も今回初めての経験が多すぎて、怒涛の4ヶ月間だったので、それをよりここで具体的に伝えていきたいです。今後の未来のサッカー界の為にも自分の経験した事を皆さんと共有ていきたいと思っています。
それではまた!
AGUR!!


VictorySportsNews編集部