オリックス・バファローズとの激闘を制した東京ヤクルトスワローズが20年ぶりの日本一となり、日本プロ野球の2021年シーズンが終了。今年もジャイアンツの日本一奪回が叶うことはなかった。屈辱にまみれた過去2年の日本シリーズ。その汚名を晴らす舞台にさえ立つことができなかった今シーズンをじっくり振り返ってみたいと思う。

<1月>

1日 チームスローガン「1Team!~和と動」を発表
12日 一軍投手チーフコーチ補佐に桑田真澄が就任

元旦に発表された2021年シーズンのチームスローガンは、昨シーズンから継続した「和と動」に、チームが1つになり、日本一を目指すという「1Team!」を追加したもの。異例のタイミングではあったものの、球団のレジェンドである桑田コーチの入閣と合わせ、より強固な陣容と意志で、日本一奪回へのスタートを切ることになった。

<2月>

12日 秋広優人が一軍に合流
17日 今季初の対外試合で平内龍太が好投

キャンプインから話題となっていた期待のルーキー・秋広が、高卒野手としては異例の一軍昇格。さらに、広島との練習試合でドラ1ルーキーの平内が先発し、3回1安打無失点。ドラフト4位の伊藤優輔も2回パーフェクトと、新戦力の台頭に胸が躍る。

<3月>

1日 スワローズの廣岡大志と田口麗斗のトレードを発表
21日 オープン戦14試合を6勝7敗1分けで終了
26日 亀井善行がプロ野球史上初の開幕戦代打サヨナラ弾!
31日 移籍後初登板の井納翔一がKOされ、今季初黒星

まさかの田口放出から始まった3月。オープン戦は借金1の7位に終わったが、大きなケガ人はなし。新外国人のスモーク、テームズは開幕に間に合わなかったものの、不安もなく新シーズンに突入した。ペナントは亀井の劇弾に絶叫した開幕戦に続き、FAで獲得した梶谷隆幸の満塁弾&戸郷翔征の好投で連勝スタート。チーム5試合目での初黒星は、ローテ入りを期待して獲得した井納のKOから。井納はこれが唯一の先発機会だった。

<4月>

2日 野上亮磨が605日ぶりの1軍マウンドに立つ
4日 丸佳浩、中島宏之、若林晃弘、ゼラス・ウィーラーの新型コロナウイルス陽性を発表
11日 岡本和真が今季1号&今村信貴が完封で快勝
13日 ジャスティン・スモーク、エリック・テームズがチームに合流
15日 原辰徳監督が監督通算1100勝を達成
23日 菅野智之が2試合連続完投勝利
27日 岡本が通算100号達成もテームズが負傷離脱
28日 高橋優貴が開幕5戦5勝でハーラートップに

新型コロナ陽性で丸らが離脱するが、昨シーズンをケガで棒に振った野上が復活し、13日には待望の両外国人も合流。ファームで神クラスの大活躍だったテームズがわずか2打席で離脱する悲劇はあったが、史上11人目となる監督通算勝利数を築き上げた名将の好タクトなどで、チームとしては3月・4月を16勝10敗4分けと好スタートを切った。

<5月>

9日 岡本が7号逆転サヨナラ3ランも坂本勇人が右手親指骨折で離脱
11日 同点の9回に若林、吉川尚輝の2者連続弾で今季20勝目
15日 スモークの逆転3ランで、阪神タイガースとの伝統の一戦2000試合目を飾る
18日 ウィーラーが22試合連続安打と絶好調
25日 ウィーラーの逆転3ランで交流戦を白星発進
30日 戸郷が5回2失点ながら5勝目を挙げる

岡本の逆転サヨナラ弾、若林&吉川の2者連続ホームランに、節目の試合でのスモーク&ウィーラーの一発など、劇的なホームランが多かった5月。キャプテン坂本、エース菅野に、ブルペンでチームを支えていた野上の離脱はあったものの、打線では岡本、投手陣では高橋&戸郷らがチームを牽引し、10勝9敗3分けで乗り切る。

<6月>

1日 岡本が4番通算100号本塁打
4日 今季初登板のC.C.メルセデスが復活勝利
5日 不振の丸が1軍選手登録抹消
5日 亀井が通算100号本塁打
11日 戦線復帰した坂本が2安打の活躍
17日 スモークの帰国を発表
19日 坂本が通算250号本塁打を達成
23日 山口俊が642日ぶりの勝ち星
29日 岡本が2発6打点で今季初の8連勝

史上65人目の250本塁打を記録した坂本に、岡本&亀井がメモリアル弾を放った6月。不振から復調し、18日に再登録された丸の活躍もあり、12勝7敗3分けと好成績を収めて首位のタイガースをピタリと追走する。メジャーから復帰した山口やメルセデスが戦力に加わったが、スモークの帰国は最後まで5番が定まらなかったチームの大きなマイナスに。

<7月>

3日 DeNAに負けなしの8連勝で貯金14に
4日 炭谷銀仁朗が金銭トレードで東北楽天ゴールデンイーグルスへ移籍
14日 岡本がリーグ単独トップの27号2ラン
16日 岡本がオールスターで初安打&初盗塁、チアゴ・ビエイラが勝利投手に
25日 侍ジャパン相手に直江大輔が5回1失点の好投

菅野や坂本、梶谷らの故障に、不振に陥った丸の2軍落ち、スモーク&テームズの離脱など、主力不在のチーム状況にも関わらず、前半戦の85試合を43勝32敗10分け。阪神タイガースと2ゲーム差の2位につけ、オリンピックの中断期間へ。直江はオリックスとのエキシビションでも好投し、後半戦の飛躍が期待された。

<8月>

13日 岡本の決勝タイムリーで後半戦初戦に逆転勝利
20日 北海道日本ハムファイターズの中田翔が、無償トレードで入団
21日 スコット・ハイネマンが来日
21日 岡本が4年連続30号を達成
26日 前日にKOされた直江が一軍登録抹消に
28日 ビエイラが30試合連続無失点の球団記録達成
29日 高橋が10勝目を挙げて首位浮上

新外国人のハイネマンや大バッシングのなか登録された中田ら、新戦力を補強した8月は、連続無失点の球団記録を作ったビエイラが新守護神に定着し、8勝5敗2分け。プロ野球史上25人目、ジャイアンツでは5人目となる4年連続30本塁打を記録した岡本の活躍もあり、首位で8月を終えた。自身初の2桁勝利を挙げた高橋ら6人で構成していた先発陣は、直江の抹消によって5人体制に。

<9月>

1日 菅野が8回1安打無失点で復活白星
4日 岡本が自己最多となる34号本塁打
5日 タイガースとの首位攻防戦で6点差を追い付かれてドロー
11日 ハイネマンがデビューするも6連敗
23日 高橋がリーグ単独トップの11勝目
29日 秋広がプロ初打席に立つ
30日 ハイネマンの帰国を発表&今季10度目の完封負け

ビエイラが連続無失点を32試合に伸ばした試合でエース菅野が完全復活。優勝争いをリードするはずが、9月3日~5日の阪神3連戦で1勝もできずにイヤなムードが漂う。そこから投打がかみ合わず6連敗を喫した。不振で二軍落ちとなった中田に代わって登録されたハイネマンも体調不良でチームを離れるなど、9月は6勝14敗5分けとまさかの大失速で3位まで転落。

<10月>

2日 坂本が史上最年少での400二塁打を達成
5日 一軍作戦コーチに阿部慎之助が就任
7日 ヤクルトに3連敗で終戦ムードに
11日 ドラフト会議で翁田大勢らを指名
13日 松原聖弥が球団歴代2位タイの27試合連続安打
16日 球団史上4度目の10連敗を喫する
21日 亀井が引退表明
24日 大竹寛が現役最終登板
27日 野上が引退会見

坂本が32歳9か月の史上最年少で通算400二塁打を達成した10月。最後の望みを懸けた5日からのヤクルト3連戦にも全敗。目標を失ったチームは、そのままズルズルと10連敗するが、引退する亀井が代打で登場した本拠地最終戦でなんとかクライマックスシリーズ進出を決定。亀井のほか、大竹、野上、そしてジャイアンツの場内アナウンスを45年間務めてきた山中美和子さんらの引退が発表されるなか、24日の今季最終戦に敗れ、61勝62敗20分けの借金1、リーグ3位でレギュラーシーズンが終了。

<11月>

7日 タイガースに2連勝してCSファイナルステージ進出
12日 CSファイナルステージ第3戦に引き分けて今季終了
15日 来季のコーチングスタッフを発表
15日 ドラ1の翁田と仮契約を結ぶ

意地のタイガース戦連勝でCS最終ステージへ進んだものの、ヤクルト相手に1勝もできず今季が終了。今年も日本一奪還はならなかった。15日には、元木大介ヘッド兼オフェンスチーフコーチ、阿部作戦兼ディフェンスチーフコーチに、OBの小笠原道大&駒田徳広のスタッフ入りを発表。仮契約を結んだドラ1の翁田には、現ボストンレッドソックスの澤村拓一が付けていた背番号15が与えられた。

◇ ◇ ◇

 シーズン終盤にはベンチ内の不協和音も噂され、日本一の“1Team”になれなかった2021年のジャイアンツ。外国人やFA選手の活躍や若手の突き上げもなく、終わってみればほぼ前年と同じ顔ぶれだったことから、来季に向けて新陳代謝が必要なことは明白。チームの唯一にして最大の目標である日本一奪回へ向け、ファームの若手、ドラフトで加わったルーキー、新外国人らが、新たな風を運んでくれることを切に願う。


越智龍二

1970年、愛媛県生まれ。なぜか編集プロダクションへ就職したことで文字を書き始める。情報誌を中心にあらゆるジャンルの文字を書いて25年を超えた。会ったら緊張で喋れない自分が目に浮かぶが、原監督にインタビューするのが夢。