だが、しかし、シーズン開幕前恒例のセ・リーグ順位予想では、久しぶりにみる低評価のオンパレードとなったジャイアンツ。優勝に推す評論家・識者はいるものの、Bクラス予想も多く、ならせば3~4位が妥当といったところ。いつもはポジティブな原監督までも、「厳しいでしょう」と発言していた。

 ジャイアンツファンの自身でさえ、次々と改革を推し進める立浪ドラゴンズやベイスターズ、カープなどの明るいニュースを目にするたび、暗黒の1年を覚悟。1975年以来の底辺(自身の記憶にはない)に怯えながら、スポーツ報知の前向き記事に現実逃避していた。

 ところが、である。堀田(賢慎)、山崎(伊織)、赤星(優志)に、(翁田)大勢!キャンプ中盤あたりから次々と出てくる若手ピッチャーの威勢のいい活躍に、あるんじゃないか?と思えてきた。

 そもそもここ2年、ほぼ顔ぶれが変わっていないジャイアンツの投手陣。今シーズンも堀田、山崎らの台頭を期待はするものの、開幕前にはいつものメンツに落ち着くんでしょ、と内心思っていた。

 なのに、堀田、山崎、赤星は好投を続けるし、まだ3月なのに155キロオーバーを連発する大勢の剛腕に期待値がグングン上昇。結果、2022年シーズンのセ・リーグは、ジャイアンツが優勝する、と予想したい。その理由は、ワクワクが止まらない投手陣である。

 菅野(智之)、山口(俊)、(C.C.)メルセデスの3人以外は不透明だった今シーズンの脆弱な先発ローテ。それが、逆によかったのか?戸郷(翔征)、高橋(優貴)のファーム行きから競争はさらに激化し、ローテ入りが現実味を帯びる若手がアピールを繰り返す好循環が生まれた。

 柳田(悠岐)相手にもひるまず投げ込む堀田の角度のあるストレートに、阿部(慎之助)コーチ絶賛のギュンと曲がる山崎のスライダー、打たれてもすぐに修正できる赤星の制球力、スリークォーターから剛球&スライダーをドカンズドンと投げつける大勢のド迫力。そのどれもが明るい未来を予感させてくれるし、今年こそは1軍定着が期待できそうな今村(信貴)、直江(大輔)、戸田(懐生)ら、昨シーズンまで(ほぼ)いなかったメンツも台頭。その結果、赤星、堀田、山崎の3人が開幕ローテ入りを勝ち取り、昨シーズンのチーム勝ち頭である高橋がローテーションから外れる事態になった。

 もちろん高橋の巻き返しもあるだろうし、調整が整い次第、(M.)アンドリース、(M.)シューメイカーらもそこに編成される。と思うと、6人目がいないからと中5日ローテを組むしかなかった昨シーズンとは雲泥の差。

 先発争いから漏れたメンツが組み込まれるであろうブルペンも、新守護神となりそうな大勢に加え、出遅れているドラ2の山田(龍聖)が入ってきて…。

 現在、若い才能を鍛錬中の桑田(真澄)コーチらが三本柱を築いた90年代の投手王国再び、も夢じゃない。と思える。調べ直すと、桑田が14勝、斎藤(雅樹)が20勝を挙げ、88勝42敗でセ・リーグを制した1990年がすごかった。チーム防御率が2.83、130試合で70完投、2桁勝利が5人、防御率上位4位までを独占と、ジャイアンツ投手陣がセ・リーグを制圧。ここまでいくのは数年後だとしても、その第1歩が今シーズンになるのでは?と想像する。

 ただ、若い投手陣にはミスがつきもので、成長するための時間も必要。成長するまでの間、ミスをカバーしてくれる強力打線が必要になるが、今シーズンのジャイアンツには、それがある。

 来日して早々、“防球ネット破壊”“推定170m弾”など話題独占のメジャー96発男、(G.)ポランコが開幕に間に合いそうなのも大きいが、2022年シーズンのジャイアンツ打線は、中田(翔)に尽きる。昨シーズンから約20キロ増量した打点王3回のスラッガーが本来の姿を取り戻せば、すべてがうまく回る。

 ここ数年、打線の課題とされてきた1番と5番は中田復活で解決。オープン戦の終盤同様、3番ポランコ&5番中田でもいいし、当初の予定通りポランコが5番に入るなら、中田が6番に座ることで恐怖の6番が生まれる。いずれにせよ2年連続2冠王の岡本(和真)の後ろ問題は解消され、ここが決まることで、現状は3番、6番、7番候補となっている丸(佳浩)を1番に持っていくことも可能だ。

 実際にオープン戦でも試されていた丸の1番は、(高橋)由伸をトップバッターに据えて成功した2007年シーズンを思い出させる。

 2005年が5位、2006年は4位と、2年連続のBクラスに終わったチームの立て直しを図った2007年。第2次政権の2年目だった原監督が打った勝負手が、上原(浩治)の抑え起用と、由伸の1番起用だった。

 ケガもあり、前2シーズンを不本意な成績で終えた由伸だったが、開幕戦の第1打席初球をライトスタンドに叩き込むと、1年を通して切り込み隊長として活躍。キャリアハイのホームラン35本を記録してチームを牽引した。

 長打力のある由伸が1番&ファイターズから獲得した小笠原(道大現コーチ)が中軸に座り、落合監督率いるドラゴンズとのデッドヒートを制して優勝したチームは、投手陣の陣容も今シーズンと似ている。

 前年12勝を挙げた入団4年目の内海(哲也)がエースへと成長し、前年は先発ローテに入っていない(高橋)尚成&木佐貫(洋)、ルーキーの金刃(憲人)らで先発陣を構築。ブルペンも4年目の西村(健太朗)、2年目の会田(有志)や山口(鉄也)らが活躍した。

 だから、左腕エースとかぶる入団4年目の高橋ら若い投手陣が、2007年のチャンピオンチームをなぞる飛躍を遂げるかもしれない。と想像してしまう。

 ワクワクが止まらない若い投手陣と、かつての打点王復活がもたらす打線の援護、そしてこの既視感。以上が、2022シーズンはジャイアンツが優勝すると言い切る理由。

 ちなみに今シーズンのオープン戦を、2年連続最下位となったスワローズとともに最下位で終えたジャイアンツ。近年でオープン戦最下位だった2008年、2017年、2020年のうち、2008年と2020年は見事リーグ優勝を飾っている。

越智龍二

著者プロフィール 越智龍二

1970年、愛媛県生まれ。なぜか編集プロダクションへ就職したことで文字を書き始める。情報誌を中心にあらゆるジャンルの文字を書いて25年を超えた。会ったら緊張で喋れない自分が目に浮かぶが、原監督にインタビューするのが夢。