その後、DAZN(ダゾーン)でライブ配信されていることに気づいて試合映像を見たが、出場人数が48人で3日間54ホールストロークプレー予選落ちなしという試合フォーマットで開催されていること、個人戦と団体戦が同時に行われていること、個人優勝の賞金が400万ドル(1ドル135円換算で5億4000万円)とビックリするほど高額であること以外は詳しく分からなかった。

第2戦は6月30日~7月2日にポートランド(米国オレゴン州)のパンプキンリッジゴルフクラブで開催された。日本のメディアも何社か現地取材に入っていたようだが、その記事を読んでもよく分からない。

第3戦が7月29日~7月31日にベッドミンスター(米国ニュージャージー州)のトランプナショナルゴルフクラブベッドミンスターで開催されたが、その記事を読んでも分からない。これはもう、自分の知りたいことは自分で調べて原稿を書くしかないと思い、リブゴルフの公式ホームページを熟読してみた。

まずサウジアラビアの政府系ファンドというのはパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)のことで、このファンドがリブゴルフインベストメンツという新しく設立された会社の筆頭株主であると明記されていた。

そしてリブゴルフインベストメンツのCEOがグレッグ・ノーマンである。ノーマンはPGAツアー20勝、欧州ツアー14勝を挙げているオーストラリア出身のプロゴルファーで、全盛期には世界ランキング1位に長らく君臨していた世界を代表するインターナショナルプレーヤーだ。

そのノーマンが新しいゴルフリーグを立ち上げ、趣旨に賛同した選手たちが次々とリブゴルフに“移籍”している。第1戦にはメジャー6勝のフィル・ミケルソン(米国)を筆頭に、メジャー2勝のダスティン・ジョンソン(米国)、マーティン・カイマー(ドイツ)、メジャー1勝のグレーム・マクドウェル(北アイルランド)、セルヒオ・ガルシア(スペイン)、ルイ・ウーストハイゼン(南アフリカ)、シャール・シュワーツェル(南アフリカ)と7人のメジャー覇者が出場した。そしてシュワーツェルが通算7アンダーで個人戦を制し、団体戦も通算20アンダーで勝利に導いた。

第2戦は上記7人に加え、メジャー4勝のブルックス・ケプカ(米国)、メジャー1勝のパトリック・リード(米国)、ブライソン・デシャンボー(米国)と3人のメジャー覇者が新規加入。だが、大会を制したのはメジャー未勝利でPGAツアー2勝、欧州ツアー9勝のブランデン・グレース(南アフリカ)だった。

第3戦は2016年全英オープン覇者で2023年ライダーカップの欧州チームキャプテンにも就任していたヘンリック・ステンソン(スウェーデン)が電撃参戦。ライダーカップは2年に1回開催される米国と欧州の対抗戦で、欧米の選手は代表に選ばれること自体が名誉であり、チームを勝利に導くのが選手たちの誇りとなっている伝統の一戦だ。この動きを受けてライダーカップ主催者はステンソンをただちにキャプテンから解任した。しかしそんな批判をモノともせず、ステンソンは通算11アンダーで初出場初優勝。見事に400万ドルを獲得した。

今後のスケジュールは、第4戦が9月2日~9月4日にボストン(米国マサチューセッツ州)のジ・インターナショナルで開催される。この大会からメジャー2勝のバッバ・ワトソン(米国)が加入することが発表されている。ただしワトソンは現在、ケガの療養中のため、団体戦のオフコースキャプテンとしてデビューし、現地で開催されるライブイベントに出演する予定だという。

第5戦は9月16日~9月18日にシカゴ(米国イリノイ州)のリッチハーベストファームスで開催。第6戦は舞台をアジアに移し、10月7日~10月9日にバンコク(タイ)のストーンヒルで開催。このゴルフ場は2022年開場で、本大会がお披露目となる。

第7戦は10月14日~10月16日にジッダ(サウジアラビア)のロイヤルグリーンズゴルフ&カントリークラブで開催。そして第8戦が10月27日~10月30日にマイアミ(米国フロリダ州)のトランプナショナルゴルフクラブドラルで開催予定となっている。最終戦だけが4日間のスケジュールになっているので、この試合はシーズン王者を決める特別なフォーマットで開催されるものと思われる。

2023年のスケジュールもすでに発表されている。具体的なスケジュールは後日公開となっているが、リブゴルフリーグの14試合を北米、ラテンアメリカ、アジア、オーストラリア、中東、欧州で開催するという表現をしている。

さらに、リブゴルフは2023年に世界中で合計25試合を開催するという発表も行っている。これが男子の試合の新フォーマットなのか、女子の試合なのか、具体的な内容は定かではないが、今年の8試合を大幅に上回る規模になるようだ。

ゴルフファンにとって心配なのが、リブゴルフに移籍した選手たちが今後、リブゴルフでしか見られないのかどうかということ。この点に関しては、リブゴルフに出場した選手たちの中でPGAツアーのプレーオフシリーズ(8月11日開幕)の出場資格を持っている11人が、出場停止処分の差し止めを求めてPGAツアーを提訴しているので、これがどのような司法判断になるか成り行きを見守りたい。


保井友秀

1974年生まれ。出版社勤務、ゴルフ雑誌編集部勤務を経て、2015年にフリーランスとして活動を始める。2015年から2018年までPGAツアー日本語版サイトの原稿執筆および編集を担当。その他、ゴルフ雑誌や経済誌などで連載記事を執筆している。