環境面でのコロナ禍への対応が課題のひとつに

 現在は環境面でのコロナ禍への対応が問題のひとつになっています。それ以前の宿舎は4人部屋でしたが、現在は多くても2人部屋とかになり、ホテルへの分宿などで密にならないように対応しています。分宿になるのは若手選手が多く、負担をかけてしまっているようで申し訳ない気持ちです。
 これからは他の業界もすすめているように、きちんと感染対策をした上で緩和していくことになると思います。それでも以前のように、4人部屋になることはないのかもしれません。そうなると、施設自体の改築などが必要になり、選手にとってはさらなる負担が強いられる可能性がありますね。
 地元広島の競輪場が新設されることになっていますが、仮に他の施設も新しくすることになれば、個室化が進んでいくのかもしれません。個人的には開催期間中の選手間コミュニケーションを大切にしているので、すべてを完全個室化する必要はないと思っています。たとえば、寝室のみを個室にしてリビングなどは共同にするなど、他の選手らとコミュニケーションを取れる余白は残しておいてほしいですね。
 4泊5日など長い戦いになってくると、走るたびに擦り減るメンタルが限界を迎えることがあります。そういったときに、人とコミュニケーションを取ることで救われることが多々あるのです。また、他の選手と話すことで成長へのヒントを得られることもあります。
特別競輪に斡旋され始めた頃は、岡山の岩津裕介さんや柏野智典さんにベッタリとくっついて行動していました。検車場でセッティングを見させてもらったり、部屋にまで着いていきコーヒーをいれながら質問をしたり、話を聞かせてもらったりしました。そういった機会のなかから吸収すべき点を見つけていった過去があり、とても勉強になったと感じています。S級になった今でも他の選手から学ぶところは多々あるので、今はコロナ禍で仕方ないですが、そういった機会が少なくなっている現状は非常に残念でなりません。

競輪場によって宿舎にも違いが

 ファンや観客の人たちにはほとんど見えない部分ですが、競輪場によって宿舎に結構な格差があります。わかりやすく言うと、ウォーミングアップのスペースや自転車を整備するスペースが広いところもあれば狭いところもあります。それに宿舎と控室の距離が遠いところもあれば近いところもあります。その場合、バス移動になることもあり、長い開催期間になると徐々に負担に感じることもあるのです。時間に差し迫られることもあって、たとえば雨の中で12レースに出走すると、レース後に自転車の掃除をして、洗濯をして、入浴をして、食事をして、さらに移動が加わるので、かなりバタバタとしてしまいます。今は分宿になっていて、遠いホテルから移動する選手が増えているので、負担になっているはずです。
 その他にも、たとえば、エアコンの掃除など選手の体調維持に直結するようなところの環境は、今以上に改善してほしいと思っています。
 これだけ格差があると、どの選手にも競輪場によって得手不得手が出てくると思います。
 そういう観点からだと、新しくなった玉野競輪場はやはりよかったですよね。普段は一般向けのホテルとして使われていることもあり、きれいで設備も整っています。それに、風呂も良かったですね。大半の宿舎は大浴場で昔ながらの銭湯を狭くしたようなつくりなのですが、玉野はホテルとして使われている浴室なので入るだけで気分が上がります。
 競輪選手はレースで最大限の力を発揮するために、生活のすべてを自分で管理しなければなりません。ですので、力を発揮できるように体調管理をしやすい環境を、さらにつくっていってもらいたいと望んでいます。
 これまでは選手目線での環境面について話をしましたが、観客目線での改善点もあります。
 もっと多くの人が来場しやすい環境になれば良いと思っています。男くさい大人のイメージが強い競輪場ですが、子どもたちが気軽に遊べるような施設を併設して老若男女が誰でも気軽に来やすいようにできないかなと考えていますね。たとえば、広島競輪場の近くでは毎年花火が上がるのですが、それを競輪場からも見られるようにしてほしいです。他にも桜を植樹して周囲で花見を楽しめるようにするなど、競輪観戦以外にも人が集れる場所になると良いですね。
 別の目的で来てもレースをチラッと覗いてもらえれば、何かしらを感じさせることができる自信はあります。やはり、生のレースはスピード感や迫力が想像以上ですから、見てもらえさえすればすごいと思ってもらえるのではないでしょうか。

(協力)チャリロト パーフェクタナビ編集部
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チャリロト「パーフェクタナビ」では、競輪・オートレース・自転車競技の最新情報を毎日発信。競輪選手やオートレース選手のコラムも数多く連載中。
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VictorySportsNews編集部