グランブルーファンタジー ヴァーサスとは?

 『グラブルVS』は、『ウマ娘』『アイドルマスター シンデレラガールズ』などのヒットゲームを連発するCygames初の格闘ゲームであり、同社のスマートフォン向けRPG『グランブルーファンタジー』のスピンオフ作品です。

 開発は「GUILTY GEARシリーズ」などを代表作に持つアークシステムワークスが担当、2020年2月6日にPlayStation 4用ゲームソフト、Steam版が同年3月14日に発売されました。

 戦闘システムについて、基本的な操作は1本のレバーと5つのボタン(弱・中・強の3種類の攻撃、投げ、オーバーヘッドアタック)で行われます。

 特徴的なのは、アビリティ(必殺技)が通常のコマンド入力に加え、方向キーとアビリティボタンを押すだけでも発動できる点であり、格闘ゲームの初心者でも遊びやすいようになっています。

 アビリティは通常の格闘ゲームのシステム(ゲージを消費して発動する)とは異なり、一度使ったら一定時間使用不可となる「クールタイム」方式です。
アビリティボタンは技を発動させやすい代わりに、通常のコマンド入力よりもクールタイムが長く設定されています。

「GBVS Cygames Cup」優勝者インタビュー

試合を終えた直後の「GBVS Cygames Cup」優勝者2名にインタビューを敢行しました。

PlayStation 部門優勝者:PGW | レン選手

PlayStation 部門優勝者:PGW | レン選手

――優勝した今のお気持ちについて聞かせてください。

長かったです。今まで優勝の一歩手前までしか来ていなかったので、こういう場で優勝できたのが本当に嬉しく思います。自分自身、(練習の)仕上がりの良さは感じていて、その仕上がりの良さは対戦中の画面にも出ていたと思います。前回の大会までは(使用するキャラは)シャルロッテを主軸に考えていて、きつくなったらシャルロッテに頼ろうとしていたのですが、今大会については「このキャラにはこのキャラを対策でぶつけていく」というのを決めて臨むことができました。シャルロッテ以外のキャラの練度も、しっかり上げて臨めたと思います。

――ということは練習もかなりされたのでしょうか?

Steam版とPlayStation版の両方の部門で決勝トーナメントに残ったので、おそらく他の選手たちの2倍は練習したと思います(笑)。対戦相手も僕だけ14人ということになるので(各選手への対策も含めて)かなり練習しましたね。両方の部門で優勝するのが、一番周囲がざわつくだろうとは思ったのですが(笑)。Steam版の部門では、決勝で負けましたが「やれることはやれた」と思っていて、納得できる負けでした。試合を見ている側も面白かったんじゃないでしょうか?

――「PlayStation版」「Steam版」それぞれでゲームシステムや動きに違いがあるのでしょうか?

機種によって、ちょっとずつ動きに変化があって、自分のいつもの動きができない感覚があります。どうしてもコンボや起き攻めのミスが多くなってしまうので、それぞれのミスを減らすというよりも、どちらの機種でも自分のプレイスタイル(読み合いの強さ)を出せることを意識しました。プレッシャーを与えて、自分の流れにできるように練習をしていました。PlayStation版がメインではあるのですが、Steam版の予選を勝ち抜いてしまい、もちろんその時は嬉しかったのですが、2倍練習しないといけないと気づいたときの絶望感はありました(笑)。とはいえ2週間しっかりと準備できたと思っています。

――2部門で出場するというのは、なかなかないことだと思うのですが。集中力が切れそうにはなりませんでしたか?

そうですね。僕自身も初めての経験でした。大会中に長時間待つという経験はあるのですが。一回、MAXまでボルテージが上がったあとに「はい、もう一回最初から」というのは経験がありませんでした。自分でも「どんな精神状態になるのか」未知数だったのですが、いざやってみたら「今日の自分の動き、イケてるな」って試合中にも感じたので、このまま突っ走れるなと思いました。

――グラブルVSの面白さについて教えてください。

グラブルVSはキャラクターの魅力がふんだんに綺麗な映像に出ているので、アプリ版のグラブルを遊んだことがある方には特におすすめです。必殺技を簡単に出せる方法が用意されているので、初心者にとっても、気軽に派手でカッコイイ技を出せます。格闘ゲームをやったことがあるけど、難しくて諦めてしまった人にもおすすめなので、是非みんなやってみてください!

Steam部門優勝者:ひのきの棒選手

Steam部門優勝者:ひのきの棒選手

――優勝した今のお気持ちを聞かせてください。

普段から大会ではベスト8に進出できていたのですが、いつも最後まで勝ちきれなかったので、今日は勝ちきれてとても嬉しいです。

――今回の大会で山場だったのはどの大会でしょうか?

(ベスト8の戦いではないのですが)今回の大会の予選でgameraさん(※)と当たって、なんとか2-1で勝てました。そこが一番の山場ですね。

※gamera選手とは、『グラブルVS』の強豪プレイヤー。2022年8月5~7日にアメリカ・ラスベガスで開催されたEVO2022のチャンピオン。

――使用してきたキャラクター遍歴を教えてください。

ローアイン、パーシヴァルを使ってきて、ナルメアが出てからはナルメアを使っています。カリオストロは遊びで使い始めたキャラですね。ただ今回の大会で一番活躍してくれたのがカリオストロなので若干複雑ですね(笑)。2年半使っているナルメアに愛着があるので、(次の大会では)勝たせてあげたいと思っています。

――『グラブルVS』の魅力はどの点に感じますか?

アビリティシステムというのが、他の格闘ゲームにないシステムです。相手にアビリティがないから攻めようとか、アビリティを中心とした駆け引きが魅力ですね。

――このゲームをプレイされていて、どんなときに爽快感を感じますか?

ヒット確認が重要なゲームなので、こっちの攻撃が当たってから次々と技を叩き込むのが気持ちいいですね。

――ゲームはひとりで黙々と練習するイメージがありますが、格闘ゲームって、仲間たちと協力して練習することが多いと聞きますが如何でしょうか?

そうですね。今回の大会に向けては特に一緒に練習をしました。いつも対戦してくれている友人たちが今回の大会に向けて、スパーリングにつきあってくれたので、優勝できたのはその人たちのおかげだと思っています。

大会の選手控え室で決勝戦を見守る選手たち

格闘ゲームは“ひとり”で強くなるゲームではない

 現地での取材やインタビューを通して、格闘ゲームのeスポーツプレイヤーたちは決して1人で練習をしているわけではないと分かりました。1対1で戦う格闘ゲームは、格闘技と同じく、試合後にはお互いに強い絆が結ばれます。その絆が何年にも渡って紡がれていき、大きなコミュニティが形成されていくのです。今回の大会でも、控え室で試合を見守る選手たちからは、常に声援や歓声が湧き上がっていました。


小川翔太

1987年生まれ。会社経営者。システムエンジニア→人材コンサルタントを経て(趣味のカードゲームで世界大会に出場したことをきっかけに脱サラ)2017年にメディア業界に飛び込む。5年に渡りeスポーツの取材を続け、これまで総勢100名以上のプロゲーマー&ゲーム関係者にインタビューしている。