ワールドカップ予選にエントリーできる選手は23人。これまで日本は26人ずつ招集してきましたが、ここからは3人絞られることになります。

 そうした点も考えながら、10月のカナダ戦、チュニジア戦を見ていました。冨安健洋、遠藤航、守田英正などは本当に安定していて、彼ら抜きでの戦いは考えられないでしょう。一方で気になった選手が3人います。

 まずは古橋亨梧。チュニジア戦では前半に出場しました。これまでに比べると前線からの守備でも頑張っていました。同じスピードタイプながら、その守備での貢献の差で前田大然が選ばれてきましたが、古橋もその意識をしっかり見せました。

 そして43分、チャージに耐えた久保建英から旗手怜央にボールが渡り、旗手は右サイドに展開しようとしますが相手選手に阻まれます。そのボールが偶然ゴール前にこぼれ、これを古橋は冷静に蹴り込んで先制点を挙げました。起用されたチャンスで見事結果を出したように見えます。

 ですが、僕は全体的にプレーの質やコンビネーション、1トップとして果たすべき役割としては物足りなかったと思います。

 たぶん森保監督も同じように思ったのではないでしょうか。古橋がゴールを挙げる前には、上田綺世にウォーミングアップを始めさせていました。そして古橋は得点を決めたにもかかわらず前半だけで交代となってしまったのです。

 もしも古橋の出来に満足していたのなら、上田をアップさせることはなかったでしょうし、後半もプレーさせていたのだと思います。特に上田がケガから復帰したばかりでコンディションに不安を抱えている状態だと思われるのに、それでも古橋を前半で交代させようとしたということは、厳しい評価を下したのではないでしょうか。

 古橋はセルティックでプレーしているとき、ほしいタイミングでパスが出てきますし、クロスもピッタリ合います。そのスコットランドでの生き生きとした大活躍が古橋の期待度を押し上げます。ところが、日本代表では裏に抜ける持ち味がうまく出ず、サイドでもワントップでも起用されてきましたが、今のところ適正ポジションが見つかっていません。

 それでも古橋のスピードは、うまく使えばチームとして大きな武器になるはずです。彼のよさをどう生かしていくか、本人もチームも今後さらに考えていってほしいと思います。

 続いて南野拓実。カタールワールドカップ後、初めての招集となりました。今シーズンはフランスリーグにもチームにも慣れて活躍しています。その自信がプレーに出ていたと思います。カタールワールドカップのときよりもキレがあったのではないでしょうか。

 ただし、気持ちが先走っていたことは否めないでしょう。いくつかチャンスがありましたが力みすぎてゴールを生むことはできませんでした。

 南野が今回起用されたトップ下には、鎌田大地、久保、さらに今回インサイドハーフで起用されて2得点を挙げた田中碧など強力なライバルが名を連ねています。南野が割って入るためには、今回のプレーでは十分とは言えないでしょう。まずは代表に戻ってきたという段階だと思います。

 最後は中山雄太です。2022年11月2日にアキレス腱を断裂し、日本代表には2022年9月以来という久しぶりの招集になりました。そして2022年カタールワールドカップのアジア予選で見せていたのと同等のプレーを見せてくれました。

 中山のプレーは安定感があり、ビルドアップもクロスもよかったと思います。相手選手にプレスをかけられても落ち着いて対応できていましたし、これまで伊藤洋輝が頭一つ抜け出していた左サイドバックでしたが、中山もポジション獲得にしっかり名乗りを上げたと思います。

 ケガ明けというのにカナダ戦、チュニジア戦と2試合連続で起用されたことからも、森保監督の信頼の厚さが見える気がします。このまままた日本代表の常連に復帰し、活躍を見せてくれることでしょう。

 ここまで3人のプレーぶりを振り返りましたが、まだワールドカップ予選も最初の段階です。古橋、南野もこれから先にもっと調子を上げてくれることでしょう。そして彼らの実力なら必ず日本を躍進させてくれることだと信じています。


【日本代表今後の予定】
・2023年
11月16日(木)ワールドカップ2次予選 ホーム・ミャンマー戦(吹田)
11月21日(火)ワールドカップ2次予選 アウェイ・シリア戦(サウジアラビア・ジッダ)

・2024年
1月 1日(月・祝)親善試合・タイ戦(国立)
1月12日(金)〜2月10日(土)アジアカップ(カタール)
3月21日(木)ワールドカップ2次予選 ホーム・北朝鮮戦(未定)
3月26日(火)ワールドカップ2次予選 アウェイ・北朝鮮戦(未定)
6月 6日(木)ワールドカップ2次予選 アウェイ・ミャンマー戦(未定)
6月11日(火)ワールドカップ2次予選 ホーム・シリア戦(未定)

前園真聖

前園真聖

鹿児島実業高校からJリーグ・横浜フリューゲルスに入団。アトランタオリンピック本大会では、チームのキャプテンとしてブラジルを破る「マイアミの奇跡」に貢献。その後日本だけでなくブラジル、韓国などの海外クラブでもプレーし、2005年に現役引退。現在は、サッカー解説などメディアに出演しながらも、サッカースクールや講演を中心に全国の子供たちにサッカーの楽しさや経験を伝えるための活動をしている。