アダム・スコットはオーストラリア出身のプロゴルファーで、2013年のマスターズチャンピオン。世界ランク1位にも輝いたことのある世界的スーパースターだ。

 アダム・スコットはユニクロのグローバルアンバサダーを務めており、日本オープンと同週の10日9日(月・祝)のスポーツの日、六甲国際ゴルフ倶楽部(兵庫県)にて『Future Golfers Seminar 2023 with Adam Scott』が開催された。

 『Future Golfers Seminar 2023 with Adam Scott』は2015年に始まり、今年で6回目の開催となる。今年は関西圏を中心としたトップジュニア29名が参加した。デモンストレーションで世界トップレベルの技術を目の当たりにしただけでなく、アダム・スコットから直接アドバイスを受けるという貴重な時間を過ごした。

 そんなイベントでちょっとした裏話が。アダム・スコットのジュニアへのアドバイスやレッスンが熱を帯び、1人に割く時間が当初想定していた時間よりも大幅に増えてしまい、イベントの進行が押してしまうという子供たちにとってはありがたいハプニングが起きたのだ。ジュニアたちの真剣な姿勢とゴルフに対する情熱をアダム・スコット自身が感じ取り、短時間でのアドバイスだけでは彼自身が物足りなくなったのだろう。

 ジュニアたちに対するアダム・スコットからのアドバイスで印象的だったのが「形にとらわれないこと」という言葉だ。止まっているボールを打つゴルフにおいて、最も難しいことは自らで始動し、自らの意図でクラブを操作しなければならないこと。言い換えれば、どのようにでもクラブを動かすことができる。それ故にフォームや形など、外見ばかりに意識がいきがちになるが、ジュニアたちからの様々な質問に対してアダム・スコットは「自分の感覚をもっと活かして」とアドバイス。形を気にすると感性が失われる。スイングの形は個々によって違うもので、もっと感覚的にボールを打つことの重要性を伝えたかったのだろう。そしてゴルフを通して、外見にとらわれずに、もっと自由に個性を伸ばすことの大切さを知ってもらいたいというメッセージか込められているように思えた。

 アダム・スコットは、2005年に『アダム・スコット基金』を設立しており、子どもや青少年の教育などへの寄付活動を積極的に行っている。ジュニアの育成はアダム・スコット自身のライフワークであり、ジュニアと接することを心から望み、そして楽しんでいるように見えた。

 出場した日本オープンゴルフ選手権大会では、結果は残念ながら予選落ちに終わったものの、予選2日間は蟬川泰果、金谷拓実という日本の若きエースと同組でラウンド。43歳のアダム・スコットにとっては親子ほどの年齢差がある若い選手とのプレーを心から堪能した。

Future Golfers Seminar 2023 with Adam Scott

 ユニクロは昨年より「UNIQLO Next Generation Development Program」と冠した次世代育成プログラムを発動。ユニクログローバルブランドアンバサダーであるロジャー・フェデラー、錦織圭、国枝慎吾、ゴードン・リード、平野歩夢、そしてアダム・スコットら6名をはじめとする世界の一流アスリートや、さまざまな団体と連携し、多彩なプログラムを展開している。その中の一つに『ユニクロ アダム・スコット ジュニアチャンピオンシップ』がある。ゴルファーとしてはもちろんのこと、一人の人間とし成長できることをアダム・スコットは心から願っている。


出島正登