開幕投手を務めるエース・東克樹投手らが投球練習を行った同4日、三浦大輔監督、球団OBの佐々木主浩氏らと並んで座り、ブルペンに熱視線を送っていたのが相川七瀬さんだった。熱烈なベイ党として知られ、「夢見る少女じゃいられない」「恋心」などの大ヒット曲を持つ歌手と、ベイスターズのレジェンドの“豪華共演”に現地のファンだけでなく、SNSも騒然。初めてキャンプで練習を見学したという相川さんは、「選手との距離が近いので見応えがありますね。すごく緊張感があって、いい経験をさせていただきました」とキャンプ地ならではの距離感に感激の面持ちだった。

 今回のサプライズ訪問は、5月3日の巨人戦(横浜スタジアム)で行う始球式に向けた準備として実現したものだった。当日はベイスターズのオフィシャルスポンサーを務める総合家電メーカー、ハイセンスジャパン株式会社(神奈川県川崎市、張喜峰代表取締役社長)の冠試合「Hisense冠DAY」として開催され、2023年3月に発足した「#大画面大応援プロジェクト」でプロジェクトリーダーを務めた相川さんが、昨年、一昨年に続いて始球式に登板することが決定している。三度目の正直で初のノーバウンドピッチを果たすべく、今回キャンプ地での投球練習を行う運びとなったわけだ。

 Hisenseのロゴがプリントされた今季の新ユニホームを着て“キャンプイン”した相川さんは、関係者らの計らいでブルペンに入り、練習を開始。足を華麗に上げたダイナミックなフォームで一球ずつ腕の振りを確認しながら投球を続けた。指導役を担った山崎康晃投手から「もう少し上に投げたら距離を稼げる」などとアドバイスされると、徐々にノーバウンドで捕手まで届く回数も増え、手応えをつかんだ様子。捕手から「OK!」と声が上がり、うれしそうに笑顔を見せる場面もあった。贅沢な練習を終えた相川さんは、山崎や機会をつくってくれた関係者に感謝しつつ「こんなに喉の調子ではなくて肩の調子を心配する日が来るとは思わなかった」と笑わせながら、「頑張って5月3日も投げたい。必ずノーバウンドで届かせたいと思っています」と本番に向けて意気込んでいた。

 公私で三浦監督と交流があり、昨年も数多くの試合で応援に駆け付けるなど、まさに“ガチ”のファンである相川さん。練習を終えた後の囲み取材で、報道陣から求められ「今季の注目選手」に挙げたのが、ドラフト1位ルーキーの竹田祐投手(前三菱重工West)だった。「箱推しなので、みんなを応援しています」と強調しながら、「投球を早く見てみたいと思います。期待しています」と明言。その竹田は相川さんの訪問前日、3日にキャンプで初めてブルペン入り。早くも150キロを計測した同2位・篠木健太郎投手(前法大)とともにキレのあるボールを投げ込み、「開幕1軍」を誓うなど順調な調整ぶりを示している。

 今キャンプでは野手陣も、序盤から若手が輝きを放っている。初の対外試合として行われた11日の中日との練習試合。ドラフト3位ルーキー・加藤響内野手(前四国IL徳島)が4打数3安打1打点と躍動し、不動のレギュラーが不在の遊撃争いに名乗りを上げた。翌12日の中日2軍との練習試合では、プロ2年目で22歳の度会隆輝外野手、遊撃の定位置奪取が期待される23歳の森敬斗内野手、20歳の高卒3年目・松尾汐恩捕手がプレーボールから3者連続本塁打を放つド派手な活躍を見せ、レギュラー奪取へ存在感を見せた。

 また、相川さんに助言を送った山崎も、あと19に迫る通算250セーブという日本プロ野球名球会入りの条件を満たす大記録の達成へ、気合十分。守護神奪還に向けて早くも8日の紅白戦に登板し、1回を三者凡退に斬るなど上々のスタートを切った。

 昨季日本一に輝き、今季はリーグVからの日本一という「完全勝利」を目標にするベイスターズ。「横浜奪首」のスローガンを掲げ、一心不乱に練習に取り組む選手たちの姿に、相川さんも「今年は何が何でもリーグ優勝していただいて、私たちをまた日本シリーズに連れて行っていただきたいなと思います。応援します!」と、さらに期待感を高めた様子だった。


VictorySportsNews編集部