大谷翔平と企業のコラボが続々!その影響は?

 2月以降だけでも、さまざまなジャンルの大企業が大谷とのコラボを発表した。コンビニエンスストア大手ファミリーマートは新商品のPRで「おむすびアンバサダー」契約を締結。3月4日にテレビCMの放映や店頭でのビジュアル展開などキャンペーンを開始して以降の1週間で、おむすびの店舗あたりの売上が前年比120%を超えた。

 化粧品大手コーセーは、同社ブランド「コスメデコルテ」の美容液「リポソーム アドバンスト リペアセラム」の広告に大谷を起用。東京・表参道に新ビジュアルを大々的にフィーチャーしたポップアップストアを3月15日にオープンさせ、多くの来場者でにぎわっている。Epic Gamesは、提供するオンラインゲーム「フォートナイト」のアイコンシリーズにMLBの選手として初めて大谷が登場することを発表。ファナティクスもMLBの日本開幕戦を記念して東京・渋谷区の宮下公園に期間限定ストアをオープンした。

 中でも異色なのが、寝具メーカー・西川(nishikawa)との関係性だ。2月28日に大谷と睡眠コンディショニングサポート契約を結んだことを発表したが、実は同社による大谷へのサポートは日本ハム時代の2017年から続いており、今年で9年目。PR会社関係者は「契約社の中でも最長ではないか」と説明する。

 大谷は世界最高峰の舞台で活躍する上で重要な要素の一つとして常々、睡眠を挙げている。「睡眠の質を上げるメリットは体の回復だけでなく、一日のリズムをコントロールできること。だからこそ最適な睡眠環境を整えてくれるnishikawaさんは、僕にとってすごく大切なパートナー」と同社の長年のサポートに感謝。今回の契約更新により、引き続きコンディショニング・マットレス[エアー]シリーズのイメージキャラクターとして新CMや広告ビジュアルに登場する。

 また、同社は3月13日から4月6日の期間、大谷を起用した「大きな夢を見よう!キャンペーン2025」を公式オンラインショップや全国の[エアー]取り扱い店舗で開催。抽選で大谷のオリジナルグッズが当たる企画や送料が無料になるキャンペーンなどを実施し、「[エアーポータブル]モバイルマット プロ」「[エアーポータブル]クッション プロ」といった商品の「大谷翔平選手 2025限定モデル」も数量限定で発売する。

大谷翔平、唯一無二のスターが生むビジネスインパクト

 スポンサーには他にも英会話教室のECC、飲料大手の伊藤園などメジャーリーガー最多の20社以上が並ぶ。米経済紙フォーブスは、2024年のスポンサー収入が6000万ドル(約90億円)に及ぶと報道。企業による大谷への”投資”は拡大の一途をたどっている。

 ドジャースも大谷の加入後、球団としてコーセー、ダイソーなどの日本企業と契約。今年2月には、日本向けのファンクラブを開設した。米調査会社スポンサーユナイテッドの資料によると、2024年に日本を拠点とする12社がドジャースのスポンサーとなり、計7000万ドル(約105億円)の収入増につながったと公表されている。

 球団と大谷は10年総額7億ドル(約1015億円=入団合意時のレート)の大型契約を結んだ。実際には97%が後払いされる方式だが、この契約金を1年に換算すると、まさにドジャースが「大谷効果」で得た昨年のスポンサー料と同額の7000万ドルになる。これでメジャー史上初の「50-50(フィフティ・フィフティ、50本塁打&50盗塁)」達成や本塁打(54本)と打点(130)の2冠に輝き、MVPを受賞した唯一無二の二刀流スターを獲得できたのだから、決して“高い買い物”ではなかったという見方もできる。

 さらに、大谷はMLB全体にも大きな恩恵をもたらしている。ドジャースがビジターで試合する際の広告掲出により、他球団に入った収益は累計1500万ドル(約22億5000万円)。また、今回の開幕シリーズで米大リーグ機構は日本国内外22社と契約しており、そのスポンサー料総額は米国外開催で史上最高だった昨年3月のソウルでの開幕シリーズから240%増になる見込みだという。

 ドジャースのビジネス戦略・アナリティクス担当部長、マイケル・スペトナー氏は「これほど熱狂的なファンを見たことがない」と、日本の状況に目を丸くする。日米球界の話だけにはとどまらない。もはや「大谷効果」は、世界の経済に波及しているといっても過言ではない。


VictorySportsNews編集部