3社のパートナーシップはスポーツ観戦に新たな価値を提供し、TOYOTA ARENA TOKYOを訪れた観客の満足度を高めることが目的。その中心となるのは従来のスイートルームの概念を覆すテラススイートをはじめとするホスピタリティエリア、アリーナ内でのスムースな決済サービスとなる。
ここではJALのスタンスを中心に、その狙いを紹介する。
アリーナ内のネーミングライツ契約の意図
JALは今回の3社間パートナーシップ契約の第一歩として、TOYOTA ARENA TOKYOのホスピタリティエリアの象徴となる6室のテラススイートと276名が利用できるラウンジのネーミングライツ契約を結んだことを発表した。それぞれ「JAPAN AIRLINES TERRACE SUITE」、「JAPAN AIRLINES LOUNGE」と命名されている。
前者は6室すべてのデザインが異なり、コートまでわずか18 メートルの距離に設けられたオープンエアのテラス空間付きの観戦スイートルーム、後者は特定のチケット所有者が観客席とは別に飲食を楽しめるスポーツバー型の専用ラウンジである。

これらの空間では、季節の食材を活かした国際色豊かな料理をはじめ、JAL機内で提供されているオリジナルブレンドコーヒーやオリジナルクラフトジンを楽しむことができる。また、香りの演出としてJALオリジナルラウンジアロマが施されるなど、五感で非日常空間を体感できる演出となっている。
日本航空株式会社執行役員マイレージ・ライフスタイル事業本部長の大森康史氏は、「私たちが長年、空の旅で築いてきた日本のおもてなしを取り入れさせていただいた」と説明する。
JALはこれまでプロ野球や大相撲の特別観戦チケットをマイレージ交換サービスとして提供してきたが、日本のスポーツ競技会場内におけるネーミングライツ契約は、昨年開業したららアリーナ東京ベイ(Bリーグ・千葉ジェッツの本拠地)に続き、今回が2件目。現時点ではBリーグのアリーナで展開されているのは近年の男子バスケットボール、Bリーグ人気の高まり、JALマイルの利用者からの声を受けてのことだという。
こうした取り組みは、JALが現在掲げているコンセプト『JALマイルライフ』の重要な施策の一つである。
「JALカードを通じて日常(生活)でマイルを貯めて、特典航空券による旅やスポーツ観戦、歌舞伎などの芸術鑑賞やホテル利用を楽しんでいただくなど、マイルをもっと身近に、日常から非日常まで、皆様のライフスタイルに自然に溶け込む存在になりたいと考え、取り組んでいます。今回のパートナーシップはその象徴でもあります」(大森氏)
マイルの価値向上と非日常空間の創出
JALマイルを使用した、アルバルク東京のホームゲーム観戦チケットもマイル特典サービスとして提供される。「JAPAN AIRLINES LOUNGE」の利用を含めた観戦チケットはJAL・Visaカード会員限定で、1名1万5000マイルで交換が可能に。決して上位会員(高マイル保有者)ではなくても手の届く印象だ。

この設定は、今回のパートナーシップ締結が収益的な観点以上に、マイルの価値と顧客の満足度を高める狙いがある。
「マイルと共通ポイントは違いがあります。ポイントは1ポイント=1円でさまざまなサービスを楽しむものですが、マイルは例えば特典航空券などもそうですが、100万円のスイートルームを25万マイルで交換したりします。マイルをお持ちの方々はそうした特別感が持てるよう、マイルの価値を高めるため、さまざまな企業様の協力をいただいています」(大森氏)
マイル特典交換サービスの対象試合はアルバルク東京のホーム公式戦30試合、1試合につき先着4名。観戦席はアリーナ席後ろの2階席ブロックの前から5列目、ハーフコートラインの延長線上あたりが予定されており(座席指定は不可)、「JAPAN AIRLINES LOUNGE」への移動もスムースな動線が確保されている。また、サービスの利用者はアリーナへの入場の際、メインゲートではなく、専用エントランスが用意されているなど、現地に到着した時からプレミアムな高揚感を味わえる。
「上質なラウンジ、エキサイティングな試合観戦と、また行きたいと思ってもらえるような非日常空間の体験を創出していければと思います」(大森氏)
今回、締結された3社間のパートナーシップ契約期間は2025年から2029年まで。アリーナ内のショッピングを安全・安心に楽しめる決済システムを導入したビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社のシータン・キトニー代表取締役社長は「3社に共通している目的はシンプルで、アリーナに足を踏み入れた瞬間から、ワクワク感を含めて皆様に来て良かったと思ってもらえるようにすること」と説明する。
TOYOTA ARENA TOKYOがスポーツとエンターテイメントの新しいスタンダードをどのように確立していくのか。注目である。
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