組み合わせ抽選は11月19日に更新された最新の国際サッカー連盟(FIFA)ランキングを基に決まり、日本は世界ランク18位で「第2ポット」に入った。組み合わせ抽選は、大きなルールとして同じポット内のチームとは対戦せず、同じ大陸のチームとも同組には奈良らない(16チームが出場する欧州は例外)。2018年からは世界ランクを基にしたポット分けがなされているが、それ以前は地域性を考慮したポット分けをしていた時期もある。日本は2010年大会にはアジア、北中米カリブ海、オセアニアと同じポット2だった。
抽選で大きな鍵を握る今回のポット分けを確認してみよう。まず、開催国と優勝候補と言われるような強豪が入るのが「第1ポット」だ。開催国は既にメキシコはA組、カナダがB組、米国がD組に入ることはレギュレーションで決まっている。そのほか、世界ランク1位のスペインから、W杯2連覇を狙うアルゼンチン、フランス、ブラジルなど同9位までが、いわゆる”シード国”として第1ポットに振り分けられた。
これに続くのが日本も入っている「第2ポット」だ。世界ランク10位で、前回大会3位のクロアチア、前回4位のモロッコも、ここに組み込まれている。前述の通り、同じポットのチーム同士は1次リーグで別の組に入るので、日本は前回大会の決勝トーナメント1回戦でPK負けしたクロアチアと今大会の1次リーグで再戦する可能性はない。14、18年大会で同組だったコロンビアや、W杯優勝2度のウルグアイも第2ポットに入り、イランや韓国、オーストラリアといったアジア勢もこのポットで抽選を待つことになった。
第3ポットで注目は、世界屈指のFWハーランド(マンチェスター・シティー)を擁するノルウェーだろう。サラー(リバプール)のいるエジプトもいる。同じ大陸のチーム(ウズベキスタン、カタール、サウジアラビア)は同じ組にならないことから、第3ポットの12チームのうち日本が同組となる可能性があるのはノルウェー、パナマ、エジプト、アルジェリア、スコットランド、パラグアイ、チュニジア、コートジボワール、南アフリカの九つ。日本が第1ポットで南米勢あるいは開催国と同じ組になることがあれば、対象となる国はさらに限られる。
第4ポットはプレーオフ(来年3月実施)から出場する6チームが未定となっている。一見すると、FIFAランクでは最も低いポットだが、イタリア(世界ランク12位)やデンマーク(21位)、トルコ(25位)といった実績のある国が本大会に勝ち上がってくる可能性もある。
日本にとって最も厳しい組み合わせ、最も突破しやすそうな組をそれぞれ考えてみたい。だ1ポットではメッシ(インテル・マイアミ)のいる前回王者のアルゼンチン、またはエムバペ(レアル・マドリード)ら強力攻撃陣を誇るフランスが高い壁となるだろう。どちらのチームも日本が苦手とするフィジカルの強さがあり、やりづらさは共通しているが、他のポットのチームの組み合わせを考慮すると、アルゼンチンと同じ組になった場合が最もきつくなる可能性がある。
第3ポットは、先に触れたようにノルウェーの潜在能力が高い。欧州予選でイタリアにも2戦2勝。ハーランドに加え、司令塔のウーデゴール(アーセナル)が状態な万全ならば攻撃力は計り知れない。日本が不得手とする「高さ」もチームとして備えている。そして、第4ポットはイタリアだろう。2大会続けてW杯出場を逃し、今回もプレーオフに回っているが、4度優勝の実績がある。ピンチに追い込まれた大会ほど本番で好結果を出してきた伝統もある。したがって、アルゼンチン、日本、ノルウェー、イタリアが考え得る最も困難な組み合わせと言えるだろう。
翻って、日本にとって幸運な顔ぶれはどんなものだろうか。第1ポットからは世界ランクが最も低い開催国のカナダ(27位)だろう。9月の米国遠征で、日本はメキシコと引き分け、米国に敗れている。その結果も踏まえれば、開催国の中でもカナダの組を引き当てられれば、最も勝利の可能性が高いといえそうだ。ポット3で最もFIFAランクが低いのは61位の南アフリカ。日本はW杯でのアフリカ勢との相性は悪くなく、2勝1分け1敗。ノルウェーやエジプトのような強烈な個の力を持った選手も見当たらない。
第4ポットでFIFAランクが最も低いのはニュージーランド(86位)だ。第1ポットでカナダと同組だった場合には、初出場のキュラソーやハイチとは同組とはならず、アジア勢とも当然、対戦はしない。欧州プレーオフからの出場国と同組になる可能性もあるが、その中でニュージーランドを引ければ、カナダ、日本、南アフリカ、ニュージーランドで1次リーグの中で日本の世界ランキングが最も高いという顔ぶれになる。
自国開催だった2002年の日本はシードされて第1ポットだったこともあり、優勝を狙うような強豪国とは同組とならず、ベルギー、ロシア、チュニジアと同居した。初戦でベルギーに引き分けてから、2連勝して1位通過を果たした。それ以降、日本が1次リーグを突破した2010、18,22年大会は、いずれも1次リーグの初戦で白星を挙げて優位に立ち、そのまま決勝トーナメントに勝ち進んだ。逆に1次リーグで敗退した大会は、いずれも初戦を落としている。どんな顔ぶれになろうとも、初戦が流れを大きく左右するのは間違いないだろう。
ただ、今大会は大会方式が変わり、1次リーグは48チームが参加し、32チームが決勝トーナメントに進む(前回大会までは32チームが1次リーグに参加し、16チームが決勝トーナメントに進んだ)。1次リーグで3位になっても、A~L組の12組の3位のうちで成績上位8チームに入れば、突破できるのだ。1勝2敗の勝ち点3でも決勝トーナメントに進める可能性は十分にある。
W杯開幕まで半年。10月にブラジルを破るなど、進化を遂げる日本代表の運命は―。
森保ジャパンの最も困難な組み合わせは…6日未明に運命の組み合わせ抽選
サッカーの2026年ワールドカップ(W杯)北中米3カ国大会の組み合わせ抽選会が12月5日(日本時間6日午前2時)から米ワシントンで開催される。48チームに出場枠が拡大し、史上初めて3カ国共催となるW杯は、地球上最大のスポーツイベントと言っていいだろう。森保一監督率いる日本は優勝という高い目標を掲げる。1次リーグで対戦する相手がまもなく決まる。
6日未明に運命の組み合わせ抽選が行われる(画像:FIFA公式サイトより)