一方で、足首の負傷で昨秋から12月にかけて2カ月半の長期離脱を余儀なくされてきたMF伊東純也(ゲンク)とMF三笘薫(ブライトン)は既に復帰し、両者ともスーパーゴールを決めている。12月25日のクラブ・ブルージュ戦で見事な個人技を見せて得点した伊東も、1月7日のマンチェスターシティ戦で相手DFがゴール前を固めた状況からゴールを奪った三笘も、違いを出せる選手であることをあらためて見せつけた。
負傷者が相次いだDF陣にも明るい兆しがある。伊藤洋輝(バイエルン)が12月から先発で出場するようになったほか、右ひざ手術などで実戦から久しく遠ざかっている冨安健洋(アヤックス)が1月中に復帰できる見通しとなった。昨年9月に左ひざ前十字靱帯を負傷して今もリハビリが続いている町田浩樹(ホッフェンハイム)の動向を含め、はっきり見通せない部分はまだまだ多いが、ポジティブな材料が増えてきた。
選手選考に関して言えば、森保一監督はカタールW杯以降、「2チーム分の戦力が必要」と強調しながら日本代表の強化に当たっており、W杯メンバー26人の構成も「2チーム」を意識した構成になるはずだ。
また、森保監督はメンバー発表時期について、5月31日の国際親善試合キリンチャレンジカップ(国立競技場)の終了後に最終決定する方針を明らかにしている。W杯で日本が初戦に挑む6月14日(日本時間15日)まで2週間しかないが、5月24日までリーグ戦を行うイングランドやスペインでプレーする選手の状況を最後の段階まで見極めたいという意向がうかがえる。なお指揮官は、ケガからの復帰途上にある選手に関してはメンバー発表時ではなくW杯期間中に100%の状態になればいいという見解も示している。
48チームが出場する今回のW杯で日本が「最高の景色」である優勝を果たすには、初戦のオランダ戦がある6月14日から7月19日の決勝までの36日間に8試合を戦い抜く必要がある。“勝ち筋の設計図”となる26人はどのようなメンバー構成になるのか。選ばれる選手たちはW杯でベストパフォーマンスを見せることができるのか。多角的に予想した。
【GK】
GKは従来通り3人。守護神候補の一番手は鈴木彩艶(パルマ)。昨年11月に左手を骨折してリハビリ中だが、2月か3月に試合に復帰すると見られており、ケガの再発さえなければW杯で正GKを任されるだろう。残り2枠はJリーグで安定した実績を残している大迫敬介(広島)と昨年急成長した早川友基(鹿島)が順当にメンバー入りしそうで、その次の候補はベルギーリーグで進境著しい野澤大志ブランドン(アントワープ)やムードメーカーでもある小久保玲央ブライアン(シントトロイデン)か。
【DF】
今回のW杯メンバー選考で最大の激戦区となっているのがDF陣だ。スタート時の基本陣形となるのは3バックだが、格上の相手との対戦時やリードを守る展開となった試合の終盤に5バックを敷いて相手のパワープレーに対抗したり、ロングボールを跳ね返したりできるところまで想定しての人選になるだろう。もちろん、臨機応変に4バックができるという観点も加味されるはずだ。
森保監督は長期離脱中だった冨安について、昨年11月の時点で「コンディションさえ良ければ、日本代表が北中米ワールドカップで優勝を目指す戦力の候補だと思っている」と語っていた。冨安は対人守備、ビルドアップ、ポジショニングのいずれにおいても森保ジャパンの守備能力を一段引き上げる存在。アヤックスでコンスタントに出場することになれば守備陣の軸となるに違いない。
ビルドアップに長け、一本の縦パスで局面を打開することもできる伊藤はロングシュートも持っており、こちらの復帰も安心材料。
また、負傷者が相次いだDF陣の中でアキレス腱断裂からいち早く復帰した谷口彰悟(シントトロイデン)は、昨秋に行われたW杯出場国との親善試合でケガ以前を上回るほどのパフォーマンスを見せた。渡辺剛(フェイエノールト)はオランダ移籍をきっかけに対人守備が格段に向上しており、昨年6月以降に急激な成長を遂げた鈴木淳之介(コペンハーゲン)とともにメンバー入りは固いだろう。チームマネジメントの観点でも絶大な力を発揮する長友佑都(FC東京)もメンバー入りに近い。
一時期、招集外の続いた菅原由勢(ブレーメン)や複数ポジションのできる瀬古歩夢(ル・アーブル)はボーダーライン上か。今冬にザンクトパウリへ移籍した安藤友哉とボルシアMGに移籍した高井幸大は、ドイツでどれだけ試合に絡めるかとそのパフォーマンスで逆転の代表入りが見えてくる。
【守備的MF】
森保ジャパンの基本システムは3-4-2-1。守備的MFの人選は個々の能力とともにダブルボランチを組んだ時のバランスも重要視される。当確の一番手は佐野海舟(マインツ)。キャプテンの遠藤は所属チームでの出番激減に加えて負傷で長期離脱中と苦しんでいるが、メンバー入りは固い。
攻撃的MFも担える鎌田も当確だが、12月中旬に「深刻なハムストリングのケガ」を負ったのは気がかりだ。「少なくとも8週間の離脱」とされていたが、負傷内容を考慮すると100%に戻るにはそれ以上に時間が掛かるかもしれない。
田中碧(リーズ)は所属チームでの先発機会は少ないが、森保ジャパンでは信頼度が高い。守田英正(スポルティング)はコンディションが整わずに招集を見送られる時期が続いたことで、以前のように盤石な立場にはいないが一歩リードしているのは事実。ただ、藤田譲瑠チマ(ザンクトパウリ)の残り4カ月間の成長次第では序列が入れ替わる可能性があるかもしれない。
【攻撃的MF】
南野の離脱によって、泥臭い領域までカバーできる選手を一枚欠くことになった攻撃的MFの陣容だが、元来最も豊富なタレントがそろっているのがこのポジション。久保建英(ソシエダ)、堂安律(フランクフルト)、中村敬斗(ランス)に、伊東、三笘は盤石だ。
また、前田大然(セルティック)は、ボールを持たずともハイプレスで局面を打開できる特殊能力があり、手元に置いておきたい選手だろう。Jリーグで出色の存在感を見せている相馬勇紀(町田)は複数ポジションができるうえにセットプレーのキッカーとしても期待できるという点で、じわりじわりと序列を上げている感がある。若い佐藤龍之介(FC東京)、鈴木唯人(ブレンビー)が滑り込む可能性もある。
【FW】
オランダでゴールを量産する「9番」、上田綺世(フェイエノールト)が軸になり、同じくセンターフォワードの小川航基(NEC)が続く。この2人に加え、センターフォワードタイプでありながら森保ジャパンではシャドーとしての途中起用という具体的な起用が続いている町野修斗(ホルシュタイン・キール)も当確だ。
昨年11月に代表デビューを果たしたばかりで、ベルギーリーグでゴールを量産中の後藤啓介(シントトロイデン)は身長191センチの体格でスケール感もある。代表招集回数が多かった細谷真大(柏)は昨季Jリーグの終盤戦で一皮むけたような凄みのあるプレーを連発したが、代表でのインパクトがもう一つ必要だろう。
北中米W杯 26人予想
GK(3人)
◎鈴木彩艶
○早川友基
○大迫敬介
△小久保玲央ブライアン
△野澤大志ブランドン
DF(8~9人)
◎谷口彰悟
◎板倉滉
◎渡辺剛
◎伊藤洋輝
◎鈴木淳之介
○長友佑都
○冨安健洋
△瀬古歩夢
△菅原由勢
△安藤友哉
△高井幸大
MF(11~12人)
◎遠藤航
◎伊東純也
◎鎌田大地
◎三笘薫
◎前田大然
◎堂安律
◎田中碧
◎中村敬斗
◎佐野海舟
◎久保建英
○守田英正
○相馬勇紀
△望月ヘンリー海輝
△藤田譲瑠チマ
△鈴木唯人
△佐藤龍之介
FW
◎小川航基
◎上田綺世
◎町野修斗
△後藤啓介
△細谷真大