男子ツアーも女子開幕と同週にJGTO(日本ゴルフツアー機構)と豪州ツアーの共催試合「ISPS HANDA ジャパン-オーストラレイジア チャンピオンシップ」(3月5日~3月8日、ニュージーランド/ロイヤルオークランド&グレンジゴルフクラブ)が新設された。だが、こちらの試合は驚くほど話題に上がっていない。JGTOから66人の選手が参戦するにもかかわらずだ。おそらく選手や関係者以外、この試合の存在自体があまり知られていないのではないか。

 その理由はいくつも挙げられる。日本国内で開催される試合ではないこと。観戦に行けないどころか、テレビやインターネット配信で視聴できるかどうかもよく分からないこと。そして、これが一番大きな理由かもしれないが、見たい選手がいないことだ。

 今シーズンの男子ツアーは、長年にわたって人気を支えてきたツアー通算20勝の石川遼選手がメンバーから抜けた。コーンフェリーツアー(米国下部ツアー)に拠点を移し、そこで好成績を収めてPGAツアー(米国男子ツアー)昇格を目指す挑戦に踏み切った。

 石川選手は2012年にPGAツアーのツアーカードを獲得し、2016-2017シーズンまでフル参戦した経験を持つ。最高順位は2位(2012年3月の「プエルトリコオープン」と2013年10月の「シュラーナーズホスピタルズ・フォー・チルドレンオープン」)で、優勝には惜しくも手が届かなかったが、年齢はまだ34歳。PGAツアーでの活躍を諦めるには早すぎる。果敢な挑戦に拍手を送りたいが、国内ツアーにとっては大きな痛手だ。

 コーンフェリーツアーに挑戦するのは石川選手だけでなく、ツアー3勝の杉浦悠太選手もフル参戦。また、昨シーズン2勝を挙げ、23歳の若さで賞金王の座に上り詰めた金子駆大選手は、DPワールドツアー(欧州男子ツアー)を拠点に移した。

 国内ツアーで活躍した選手や、世界への挑戦権を獲得した選手がどんどん羽ばたいていくのは、決して悪いことではない。今はあらゆるスポーツが世界を舞台に戦う時代になっている。女子ゴルフも2022年と2023年の年間女王・山下美夢有選手、2024年の年間女王・竹田麗央選手をはじめ、総勢15名の選手がLPGAツアー(米国女子ゴルフツアー)で戦っている。

 ただ、女子ツアーは有力選手が抜けた穴を埋めるかのように若手選手が次々と台頭し、存在感を発揮している一方で、男子ツアーも若手選手は台頭しているものの、“存在感を発揮する”という部分で多くのゴルフファンが物足りなさを感じている。

 男子ツアーは昨シーズン、11人の初優勝者が誕生した。生源寺龍憲選手(東建ホームメイトカップ)、小西たかのり選手(前澤杯MAEZAWA CUP)、金子駆大選手(関西オープン)、清水大成選手(日本プロゴルフ選手権)、阿久津未来也選手(~全英への道~ミズノオープン)、小斉平優和選手(Sansan KBCオーガスタゴルフトーナメント)、長野泰雅選手(ロピアフジサンケイクラシック)、勝俣陵選手(パナソニックオープン)、下家秀琉選手(バンテリン東海クラシック)、佐藤大平選手(フォーティネット プレーヤーズ カップ)、大岩龍一選手(カシオワールドオープン)。だが、これらの選手の名前と顔が一致するゴルフファンはほんの一握りしかいないし、名前の読み方すら分からない人がたくさんいる。

 女子ツアーの初優勝者は12人。工藤遥加選手(アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKI)、佐久間朱莉選手(KKT杯バンテリンレディス)、稲垣那奈子選手(リゾートトラスト レディス)、髙野愛姫選手(ヨネックスレディス)、入谷響選手(ニチレイレディス)、内田ことこ選手(ミネベアミツミ レディス 北海道新聞カップ)、荒木優奈選手(ゴルフ5レディス)、金澤志奈選手(ソニー 日本女子プロゴルフ選手権)、菅楓華選手(ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン)、仲村果乃選手(樋口久子 三菱電機レディス)、脇元華選手(伊藤園レディス)、ウー チャイェン選手(大王製紙エリエールレディス)。こちらは名前を見ただけで、顔が思い浮かぶ人が多いだろう。

 男子ツアーの初優勝者も、女子ツアーの初優勝者も、2025年シーズンの開幕時点ではまだ知られていない選手が多かったはず。それが2026年シーズンの開幕時点で知名度に大きな差が出ているとしたら、ツアーの人気と露出に明らかな違いがあるのだ。これは選手たちだけの問題ではなく、ツアーの運営サイドの問題もあるのではないか。

 ゴルフファンがトーナメント中継を見るのは地上波放送だけではない。BS放送、CS放送、インターネット配信、YouTubeなど、視聴媒体は多岐にわたる。女子ツアーは時代の流れを敏感に察知し、インターネット配信のU-NEXT(ユーネクスト)でほぼ全試合をライブ視聴できる環境を整えた。しかし男子ツアーはいまだにテレビ局依存、広告代理店依存、スポンサー依存の構造から抜け出そうとしていないように見える。

 配信が女子のように一括管理されたとて、男子ゴルフの人気が低迷から抜け出すためには運営の改革は必要であろう。

 この構造をどこかのタイミングで抜本的に改革しないと、2026年は男子ツアーと女子ツアーの人気格差がますます広がってしまうかもしれない。


VictorySportsNews編集部

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