東京マラソンカード、始動
──Mastercardは東京マラソンのパートナーになって2年目を迎えました。新たな顧客接点をどのようにお考えでしょうか?
朴 当初からMastercardは露出するだけでなく、役割を持って東京マラソンに参加したい、と考えていました。すべての人々に「Priceless Experiences」を提供したい、と。そのひとつはランナーを中心に、周囲の人たちにもランニングに関する経験を提供することです。EXPOからレースまでが非常に大事な期間ですが、それで終わるのではなく、日々のランニングというライフスタイルのなかに関連する体験を生み出し、提供していきたい気持ちがあります。もうひとつは私たちが最も専門性を持つ「決済」の領域です。決済は人と人をつなげる、ビジネスとビジネスをつなぐものです。今はカードを通して、さまざまなつながりを生み出してきましたが、東京マラソンは単なるスポーツイベントではなく、それ以上のビジョンを持っています。そこに私たちが持っているデータやテクノロジー、決済に関する専門性を活かすことで、参加者の利便性が上がるだけでなく、安心感を与えることに貢献できるのではないかと思っています。
── Mastercardは東京マラソン財団と連携し、昨夏に東京マラソン初のオフィシャルクレジットカードとなる『東京マラソンカード』を企画しました。
朴 世の中にはいろんなカードがありますけど、『東京マラソンカード』は東京マラソンが を大切に思ってくださる方のカードです。東京マラソン出走のチャンスが増えるなど、ランナーのための特典が付いています。そのカードを通して、東京マラソンとMastercardのつながりを表現する。そして東京マラソンを走る夢を持っている方、何回も出場されている方と東京マラソンをつなげる。そういう役割をしています。プラスチックカードですけど、利便性を高めるためデジタル重視の展開もしていて、タッチ決済やスマホのウォレットから直接支払うこともできますし、スポーツウォッチでも決済できる時代になっています。そういう機能を実現できているカードです。
早野 私も『東京マラソンカード』を持っているんですけど、人に自慢したくなるようなカードなんですよ。ランナーはちょっとだけ見栄を張りたい、ちょっと目立ちたい性格の人が多いような気がします。ランナー仲間で食事をするときにこのカードを出すと話題になるんじゃないでしょうか。カード決済するときに、「走っているんですか?」と言われることをランナーは求めている部分があるので、そういう瞬間をどんどん作っていきたいなと思っています。
朴 クレジットカードは「決済」が主な機能ですけど、自分の興味があるものへの特典を求めている消費者が増えています。例えば、東京マラソンの関連イベントを開催すると、実際に東京マラソンに出場された方が多いんですよ。何回も走られている方も少なくありません。東京マラソンに愛情を持っている方々には、東京マラソンとのつながりを表現するアイテムとして『東京マラソンカード』に入会していらっしゃる方が結構多いようです。
早野 ランナーの中には自己承認欲求が強い方もいらっしゃいます。だから私は常に「ランナーのための〇〇」を考えてきました。例えば、「ランナーのためのコーヒー」「ランナーのための香水」などです。そのリストは100以上あって、実は2019年に「ランナーのためのクレジットカード」というアイディアを出していたんです。それが実現して、非常にうれしいですね。
朴 東京マラソン財団の皆さまと協力して、ランナーのためのカードを第一弾として出しましたが、まだ完璧な状況ではありません。今後はもっと進化する予定です。例えばランナー関連の特典をもっとつけられるように、カスタムができるようなカード開発を社内で話し合っているところです。カード決済だけでなく、私たちが持っているテクノロジーを進化させて、ランナーの皆さまのライフスタイルに貢献したいと思っています。
東京マラソン初のオフィシャルクレジットカード「東京マラソンカード」©︎東京マラソン財団キャッシュレス大会を実現したい
──東京マラソンは2027年に記念すべき第20回大会を迎えますが、その次の5年、10年に向けたパートナーシップの展望を教えていただけますか?
朴 Mastercardとしては単年ではなく、長期に渡って、良いパートナーでありたいという気持ちを持っています。2年目を迎えて、どんなチャレンジをして、何に貢献していくべきかということが徐々に明確になってきました。レース当日だけではなく、一年を通して、ランナーのライフスタイルのなかに入り込み、貢献していきたいと考えています。彼らが考えているランニングのために必要な物のなかに私たちのカードが入って、それを実現しやすい形で決済を含めて、いろんな経験をしていただければと思っています。多様な方たちがいるので、すぐにはできないかもしれませんが、将来的にはキャッシュレスな大会の実現も目指していきたいです。ただしそれは、カード決済に限定するという話ではなくて、ランナーの皆さんが、安全・安心に個人認証を行い、決済できる技術があるので、この技術と私たちの商品を統合し、大会を通じて提供できれば、東京マラソンでの経験価値をさらに高めることができるんじゃないかと思っています。
早野 僕らとしては、Mastercardさんのお持ちのプロダクトやサービスを通して、より豊かなランナーの生活を作っていければいいなと思っています。それは他のパートナーさんたちも同じです。ここで新しいピースができて、さらにBtoBでつながっていけば、Mastercardさんの事業機会の拡大にもつながると思います。パートナーになっていただいているだけではなくて、ちゃんとお返しをしていきながら、お互い大きくなっていきたい。コロナ禍で落ち込みましたが、世界的に見ても、大会に出場される方の数がどんどん戻ってきています。笹川スポーツ財団の『スポーツライフに関する調査』(2024年)によれば、国内における20歳以上のジョギング・ランニング実施人口は758万人です。昔、マラソンは観るスポーツだったかもしれませんが、「Sports for All」という考え方が浸透してきました。これからもランナーに貢献できて、我々のパートナーさんにも貢献できる将来をMastercardさんと一緒に作っていきたいですね。