バイエルン・ミュンヘンは準々決勝で、大会15度制覇を誇るレアル・マドリード(スペイン)の牙城を崩した。初戦はGKマヌエル・ノイアーが好守を連発して敵地での一戦を2―1でものにすると、第2戦は終盤に相手に退場者が出たこともあり、ルイス・ディアス、ミカエル・オリセという両ウイングが立て続けにゴールを挙げて4―3で点の取り合いを制して2戦合計6―4とした。

 バイエルン・ミュンヘンとパリ・サンジェルマンは、ともに今大会ここまでトップタイの38ゴール(12試合)と強力な攻撃陣を誇るのが特徴だ。

 ハリー・ケーンが今大会の得点ランキング2位の12ゴールをマーク。ディアスが6点で、オリセは4ゴールで、さらに大会トップの8アシストもマークしている。攻撃的なサッカーはクラブに受け継がれる伝統で、2013年に欧州王者に輝いたときには左右のフランク・リベリとアリエン・ロッベンという両翼がチームのシンボルだった。2020年に戴冠した際にはロベルト・レバンドフスキという生粋のセンターFWを、セルジュ・ニャブリとキングスレー・コマンが支えた。欧州一を決めた決勝でのゴールはコマンによるものだった。そして今シーズン。ケーン、ディアス、オリセという3トップは欧州を席巻している。パリ・サンジェルマンとの対決は2019~20年シーズン決勝の再現でもある。

 ヴァンサン・コンパニー監督は「チャンピオンズリーグにおけるディフェンディング・チャンピオンとの対戦は、おそらく最も困難な挑戦だ。しかし、ここで止まるつもりはない。自分たちの力を信じている」と、欧州の盟主の座を奪還する戦いへ並々ならぬ決意をにじませる。パリ・サンジェルマンとは今大会もリーグフェーズで対戦しており、そのときはバイエルン・ミュンヘンが2―1で勝利。直接対決では5連勝中と相性もいい。ただ、コンパニー監督が警告累積によってアウェーの第1戦でベンチ入り停止となるのは大きな痛手だろう。

 パリ・サンジェルマンはフヴィチャ・クヴァラツヘリアの8ゴールが最多で、ビティーニャが6ゴール、デジレ・ドゥエが5点、ウスマヌ・デンベレが4点と、得点源が多彩で、的を絞りづらい。かつてはズラタン・イブラヒモビッチやネイマール、さらにキリアン・エムバペやリオネル・メッシら鮮烈な個の集合体としてチームをつくっていたが、チームとしての成熟が進まずに「勝負強さ」からは遠かった。しかし、昨季の欧州制覇という成功体験によって、クラブのDNAにも「勝者」のメンタリティーが刻み込まれた。ルイスエンリケ監督は「昨シーズンのわれわれは、若すぎるから優勝できないと思われていた。しかし今、誰もがパリ・サンジェルマンがチャンピオンであることを知っている」と、大いなる自信を胸にドイツ王者を迎える。

 バイエルン・ミュンヘンの強烈なハイプレスと、パリ・サンジェルマンのビルドアップのせめぎ合いが最大の見どころ。その観点からビティーニャが国内リーグで右かかとを痛めて万全な状態で第1戦を迎えられないのは、マイナス材料といえるだろう。

 バイエルン・ミュンヘンにとっては、王者パリ・サンジェルマンを破っての決勝進出は「完全復活」のシナリオとしてこれ以上ないものとなるだろう。一方のパリ・サンジェルマンは苦手とするバイエルン・ミュンヘンの壁を乗り越えることが、連覇への道を切り拓くことになる。

 もう一つの準決勝は対照的な哲学を持つ2チームの対戦で、アトレチコ・マドリードもアーセナルも、ともに欧州CL初優勝を目指している。

 ディエゴ・シメオネ監督が率いるアトレチコ・マドリードは、今季もホームのメトロポリターノで欧州CL6戦全勝と驚異的な強さを誇る。クリーンシートは4試合を数え、わずか2失点と代名詞である鉄壁の守備は揺るがない。攻撃のタクトを振るアントワヌ・グリーズマンと、統制のとれた守備ブロックがアーセナルに立ちはだかるだろう。

 ミケル・アルテタ監督が指揮するアーセナルはシーズン終盤を迎えてやや失速気味なのが気がかりだ。イングランド・プレミアリーグでは天王山ともいえた4月19日のマンチェスター・シティーとの上位対決に敗れ、タイトル獲得へ正念場を迎えている。アルテタ体制で磨き上げられた流麗なアタックが、アトレチコの「壁」をいかにこじ開けるか。

 バイエルン・ミュンヘンとパリ・サンジェルマンの第1戦はパリで4月28日(日本時間29日未明)、第2戦はミュンヘンで5月6日(日本時間7日)、アトレチコ・マドリードとアーセナルの第1戦はマドリードで4月29日(日本時間30日)、第2戦はロンドンで5月5日(日本時間6日)に行われる。5月30日(日本時間31日)の決勝への切符を手にするのは、果たして―。


VictorySportsNews編集部

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