歴史的なパートナーシップの締結に基づき、球団本拠地のドジャースタジアムのグラウンドに「ユニクロフィールド・アット・ドジャースタジアム」を冠することが決まったのが今年3月のこと。バックスクリーン上部など球場内にユニクロのロゴも掲げられており、その次なるステージとして今回の取り組みが実現した。

 まず、20日に行われたのが教育プログラム「UNIQLO Field at Dodger Stadium Academy」だ。地域の子供たちに継続的な学びの機会を提供することを目的とした長期教育プロジェクトで、王貞治氏が理事長を務める一般財団法人世界少年野球推進財団(WCBF)の協力のもと日本から12人、米国から30人、計42人の子供たちが参加した。

 子供たちは、記者席や三塁側のダッグアウトで記念撮影を行うなど、普段一般には公開されていないスタジアム内をツアーで“探索”。球団の歴史やMLBで初めてプレーした黒人選手として人種差別撤廃に貢献したジャッキー・ロビンソン氏の功績、球場運営の舞台裏などについて学び、最後にはドジャースのフロントオフィススタッフとのQ&Aセッションも行われ、グラウンド管理やマーケティングなど、スポーツにかかわるキャリアについての知識を深めた。

 練習のためグラウンドを訪れた2年連続サイ・ヤング賞左腕、タリック・スクバル投手(29)と偶然居合わせ、キャッチボールをする姿に子供たちが熱視線を送る場面もあった。ユニクロUSAの安達史紀CEOは「こうしてロサンゼルスの子供たちに学びの機会を提供できることに、喜びを感じています。子供たちの目が輝いていたのを見て、手応えを感じました」と笑顔を浮かべ、「ドジャースと話し合いながら、さらに良い学びの機会や地域貢献につなげていければと思っています」と意欲。今後は毎週木曜日に定期開催し、5年間で累計1万人以上の参加を目標とする。

 続いて21日に実施されたのが、日米のジュニア選手による国際野球交流プログラム「UNIQLO×Dodgers Baseball Exchange」と、地域支援活動「The Heart of LifeWear with The Dodgers」の両プログラムだった。「UNIQLO×Dodgers Baseball Exchange」では30人(日本12人、米国18人)のジュニア選手が野球教室に参加。巨人、DeNAのほかメッツやエンゼルスなどMLBでも活躍した元投手の高橋尚成氏をはじめ、ドジャースOBでMLB通算204勝のレジェンドであるオーレル・ハーシュハイザー氏、ドジャースのディノ・イーベル三塁コーチ、アーロン・ベイツ打撃コーチ、トラビス・スミス・ストレングスコーチらに指導を受けた。

 最初は緊張した様子だった子供たちにも、次第に笑顔が見られるようになり、三塁側のドジャースブルペンでは高橋氏やハーシュハイザー氏の指導に時折うなずきながら投球練習に励む姿が見られた。熊本県出身の濱田健龍くん(中学3年)は「教えてもらったことを今後の野球人生に生かして、またこの場所に立てるように頑張っていきたい」と貴重な時間に笑顔。国境を越えた交流に、宮城県出身の小山瑚太朗くん(中学3年)は「英語ということで不安なところもあったんですけど、通訳の方がいてくれて、思ったことをしっかり伝えられて良かったなと思います」と目を輝かせた。そんな子供たちの様子に、高橋氏は「ドジャースという世界一の球団で、このような経験ができたことは、子供たちにとってもすごく大きなこと。野球だけでなく、大人としての次のステップに生かしてもらいたいと思います」と願いを込めた。

 こうした取り組みに、ユニクロを運営する株式会社ファーストリテイリングの柳井康治上席執行役員は「日本とアメリカ、2つの国で一緒に野球をするということは非常に夢のある話だと思っていたので、それが実現できてとても良かったと思っています」と手応えを示し、「ロサンゼルスのコミュニティにとってポジティブな影響を及ぼすパートナーシップだと思っているので、単なるいちスポンサーということではなく、球団と大きな取り組みができる、こうしたポジティブな効果を与えられるようなことが一つでも多く実現できるといいなと思います」と今後を展望した。

提供:UNIQLO

 また、今回のプログラム実現に協力した世界少年野球推進財団の王貞治理事長は「日本を代表するユニクロがロサンゼルス・ドジャースと連携して、地域社会への貢献活動をするということは大変素晴らしい取り組みだと思います。歴史的にも野球先進国であるアメリカのコーチ陣から指導を受けられるという体験は、日本の子供たちにとってもすごく良い経験になりますし、日本の野球のレベルもさらに上がっていくはずです」とコメントした。

 この日の午後には、2025年1月に起こったロサンゼルスの山火事で被災した地域の学校に通う子供たちを招待した「The Heart of LifeWear with The Dodgers」も開催。生徒15人を招待し、ユニクロからエアリズムのTシャツを寄贈するセレモニーが行われたほか、試合前のドジャース選手による打撃練習を間近で体験する機会もつくられた。サプライズでデーブ・ロバーツ監督が登場し交流を深めるなど、ドジャースと子供たち、そしてユニクロが文字通り「ハート」でつながる特別なプログラムとなった。

提供:UNIQLO

 そして、最終日の23日には、今年6月に初開催された冠イベント「UNIQLO LifeWear Day at Dodger Stadium」の第2回がドジャース-パイレーツ戦で行われた。映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」の演技で2023年にアカデミー助演男優賞に輝き、ユニクロのPEACE FOR ALLプロジェクトに参加する俳優、キー・ホイ・クァン氏が始球式を務め、ドジャース仕様限定デザインのユニクロのサングラスが先着4万人の来場者に配布されるなど、スタジアムの賑わいを創出した。試合中にサングラスを活用した特別企画も実施。場内にはロバーツ監督の等身大パネルを設置したユニクロブースが設置されるなど、ユニクロとドジャースのパートナーシップが来場者にも深く認知される一日となった。

 ユニクロのグローバルな発信力とドジャースの文化的価値を掛け合わせることで生まれた今回の取り組み。ユニクロによって彩られた3日間は、社会貢献の大きな第一歩として、しっかりとドジャースの長きにわたる球団史の一ページに刻まれた。


VictorySportsNews編集部

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