ほとんどの選手が昨季20本塁打以上を記録

 1回裏にドミニカ共和国に2点を先制されたアメリカは3回表、この回先頭の8番指名打者のスタントンがバットを折りながらもライトへのヒットで出塁する。続く9番キャッチャーのルクロイはセンターへヒットを放ち、無死一、三塁のチャンスを作った。ここで1番セカンドのキンズラーはショートへのゴロを打ち、この内野ゴロの間に三塁走者のスタントンが還って、アメリカは1対2と1点差に迫った。

 この8番のスタントンはマイアミ・マーリンズに所属するイチローの同僚で、14年にホームラン王になるなど、27歳にしてMLB通算208本塁打を記録しているスラッガーだ。昨季は119試合に出場して打率.240、27本塁打、74打点の成績を残している。9番のルクロイはテキサス・レンジャーズに所属。昨年は142試合に出て、打率.292、24本塁打、81打点と打てる捕手でオールスターにも選出された。そして1番のキンズラーはデトロイト・タイガースに所属している。昨季は153試合に出場して打率.288、28本塁打、83打点、14盗塁の成績を収め、通算200本塁打と200盗塁を達成。ゴールドグラブ賞にも輝いたトッププレーヤーだ。

 1対2と1点差に迫ったアメリカは、この回さらに2死一塁から3番レフトのイエリチがセンターへのタイムリーツーベースを放ち、一塁走者のキンズラーがホームイン。2対2の同点に追いついた。

 3番のイエリチは母方の祖父が日本人という日系三世での25歳で、イチローと同じマイアミ・マーリンズに所属している。昨年は155試合に出て打率.298、21本塁打、98打点の成績を残している。

 さらにアメリカは4回表、2死から7番ショートのクロフォードが詰まりながらもセンターへヒットを放って出塁すると、続く8番のスタントンが左中間スタンドへ勝ち越しの2ランホームランを叩き込んだ。これで4対2とアメリカの2点リードとなった。

 7番のクロフォードはサンフランシスコ・ジャイアンツに所属。昨季は155試合に出場して打率.275、12本塁打、84打点を記録している。三塁打を11本放っており、これはリーグ最多だった。ショートの守備も素晴らしく、15年、16年と2年連続してゴールドグラブ賞に選出されている。今大会2次ラウンド終了時点でチームトップの打率.444を記録しており、目下絶好調だ。

 7回裏のドミニカ共和国は、この回先頭の2番マチャドが右中間スタンドへ飛び込むかという大きな当たりを放った。これにアメリカのセンターを守るA・ジョーンズが、フェンス際でジャンプして見事にキャッチ。打球はフェンスを越える当たりだっただけに、まさに超ファインプレイであった。

 この2番センターのA・ジョーンズは、ボルチモア・オリオールズに所属。昨年は152試合に出て打率.265、29本塁打、83打点の成績を収めている。過去に4度ゴールドグラブ賞に輝いているように高い守備力の持ち主で、7回のこの場面で見せた好守は象徴的だ。

“MLB最高のサード”4番アレナドは調子が上がらず

©共同通信

 その後、7回裏にドミニカ共和国に1点を返されて4対3で迎えた8回表、アメリカはこの回先頭のイエリチが四球を選んで出塁する。4番ファーストのアレナドは空振りの三振に倒れるも、続く5番ファーストのホスマーが死球を受けて1死一、二塁のチャンスを作った。ここで6番ライトのマカチャンがセンターへ2点タイムリーツーベースを放って、アメリカは6対3とドミニカ共和国を突き放したのだ。

 4番サードのアレナドはこの日はノーヒットに終わったが、MLB最高の三塁手と評されるスタープレイヤーだ。コロラド・ロッキーズに所属し、昨年は160試合に出場して打率.294、41本塁打、133打点と見事な成績を残した。このホームランと打点はいずれもリーグトップであり、一昨年も42本塁打、130打点を記録してタイトルを獲得。つまり2年連続してホームランと打点の2冠王に輝いている。さらに守備も素晴らしく、13年から16年まで4年連続してゴールドグラブ賞。ただし2次ラウンドまでの6試合は22打数3安打の打率.136と調子が上がっていない。

 5番ファーストのホスマーは、カンザスシティ・ロイヤルズに所属。昨季は158試合に出て打率.266、25本塁打、104打点の成績を収めた。昨年のオールスターではMVPに選ばれている。そして6番ライトのマカチャンはピッツバーグ・パイレーツに所属しており、昨季は153試合に出場して打率.256、24本塁打、79打点の成績を残している。11年から6年連続20本塁打以上を記録する強打者だ。

 試合はこのまま6対3でアメリカがドミニカ共和国を降し、準決勝で日本と対戦することになった。

 最後に日本戦に先発する投手を紹介しておこう。ワシントン・ナショナルズに所属するロアークだ。昨年は34試合に登板、16勝10敗の防御率2.83という成績を残している。旬な選手であることは間違いないが、30歳にしてメジャーでの稼働はまだ4シーズンと遅咲きで、野手に比べると実績という点で多少見劣りする。

 当初はナショナルズとの話し合いで1試合のみの登板に終わる予定だったが、1次ラウンドでのドミニカ共和国戦(12日)で1回1/3を投げて3失点という結果だったため、志願の日本戦先発が決まった。スライダーとツーシーム、それにチェンジアップを駆使してボールを動かすタイプのロアーク相手に早いカウントから打ち損じていると、鉄壁のリリーフ陣に繋がれて手も足も出せなくなる恐れもある。

 雪辱に燃えるロアークを侍ジャパンがいかに攻略できるか。日本対アメリカの準決勝は、日本時間の22日10時から行われる。


BBCrix編集部