文=池田敏明

グループAはイランが当確。ウズベキスタンが韓国を逆転するか

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 2018年ロシア・ワールドカップのアジア最終予選は、3月のシリーズが終わった段階で各チームとも7試合を消化した。日本は初戦でUAEに敗れたが、その後は何とか勝ち点を伸ばし、3月シリーズ終了時点でサウジアラビアを得失点差で上回って首位に。6大会連続のW杯出場をいよいよ視界にとらえ始めた。

日本は昨年9月に行われたアジア最終予選の初戦でUAE(アラブ首長国連邦)代表をホームに迎え、1-2の敗戦を喫して黒星スタート。1998年のフランス大会以降、最終予選の初戦で敗れたチームの本大会出場確率がゼロというジンクスもあり、6大会連続出場も不安視されていたが、3勝1分1敗と挽回して2位で折り返す。そして後半戦最初の2試合で連勝を収め、ついに首位浮上。次のイラク戦に勝利すれば勝ち点「19」となり、残り2試合で4位以下との勝ち点差が「7」以上になるため、3位以内が確定する。
日本が首位浮上!…サウジは連勝も得失点差で2位後退/アジア最終予選B組 | サッカーキング

 佳境を迎える各大陸予選。本大会出場権を手にするのはどこの国になるのか、大陸ごとの本大会出場国を、現在の成績とこれまでの戦いぶりから推測してみよう。まずはアジア最終予選だ。

 グループAを見ると、イランの勝ち抜けはまず間違いないだろう。7試合で6得点と攻撃力はやや心許ないが、ここまで無失点と守備の安定感は抜群。残り3試合中、ホームゲームを2試合残している点もアドバンテージで、次節でウズベキスタンに勝利すれば出場権を獲得する。

 苦戦が続き、ウリ・シュティーリケ監督への批判が相次いでいる韓国はどうだろうか。現状では2位で出場権獲得圏内にいるが、カタールとのアウェーゲーム、そして首位イラン、3位ウズベキスタンとの直接対決が残っている点が厳しい。残り試合を見れば、下位に沈む中国との試合を残しているウズベキスタンに分があり、最終節の直接対決は出場権をかけた死闘になる可能性は高い。ウズベキスタンは通算で1勝3分け10敗と韓国を大の苦手としているが、現状のチーム状態を考えると、ウズベキスタンが苦手な韓国をホームゲームで破り、逆転でW杯初出場を果たす、というドラマチックな展開も見えてくる。

グループBは日本とサウジアラビアが優勢か

 グループBは日本、サウジアラビア、オーストラリアが三つ巴の様相を呈しており、しかも残り3試合でこの3チームによる直接対決が相次ぐため、出場権の行方は最終節までもつれ込む可能性が高い。日本はまず6月にイラクとのアウェーゲームに臨むが、イラクは国内が内戦状態のため、ホームゲームを中立地で開催することになっており、この試合は隣国イランのテヘランで行われる可能性が高い。中東での試合になることに変わりはないが、完全なアウェーにもならないため、日本にとって厳しすぎる条件にはならないはずだ。サウジアラビアがUAE戦、オーストラリアがタイ戦を残していることを考えると、日本はこの試合での勝利が不可欠で、得失点差も稼いで首位をキープしておく必要がある。このミッションを達成した上で、8月から9月にかけて行われるオーストラリア戦、サウジアラビア戦に臨みたい。

 同じく6月に行われる3位オーストラリアと2位サウジアラビアの直接対決も、今後の行方を占う上での重要な一戦となる。オーストラリアのホームで開催されるため、サウジアラビアは恐らく自陣を固め、失点しないことを念頭に置いた戦い方をするはずだ。そして最終予選のサウジアラビアは、これまでに奪った13得点のうち、7得点を80分以降に奪っている。70分から80分の間にも3得点を挙げており、試合終盤に強さを発揮するチームと言える。オーストラリアは勝ち点3を積み上げないと苦しくなるため、序盤からとにかく責め立てるはずで、そうなるとサウジアラビアの術中にはまる可能性も高い。

 以上を踏まえると、グループBからは(希望的観測も入れて)日本とサウジアラビアが本大会出場権を手にする可能性が高い。アジア最終予選全体を見ると、イラン、ウズベキスタン、日本、サウジアラビアの4チームが本大会出場権を獲得し、韓国とオーストラリアがプレーオフに回ると予想する。

 プレーオフが韓国とオーストラリアになった場合だが、これまでの通算成績では韓国の7勝に対してオーストラリアが10勝(引き分けが10試合)と分が良く、しかもW杯予選ではオーストラリアが3勝4分けと一度も負けていない。このデータを尊重するなら、オーストラリアがプレーオフを勝ち抜いて大陸間プレーオフに回ることになる。その相手は北中米カリブ海地区の4位で、それほど実力のある国ではないので、最終的にはオーストラリアもW杯出場権をすることになるのではないだろうか。


池田敏明

大学院でインカ帝国史を専攻していたが、”師匠” の敷いたレールに果てしない魅力を感じ転身。専門誌で編集を務めた後にフリーランスとなり、ライター、エディター、スベイ ン語の通訳&翻訳家、カメラマンと幅広くこなす。