インタビュー=岩本義弘
取材協力=Hai-Sai 六本木
ドルトムントを参考にした横浜スタジアム満員プロジェクト
©荒川祐史岩本 香川選手はこれまでヨーロッパのトップレベルでプレーし続けてきました。池田さんは、ベイスターズ時代から、さまざまなアメリカのスポーツを現地で見てこられてますが、ヨーロッパのサッカーを現地でご覧になったことはありますか?
池田 ありますよ。ユヴェントスとバルセロナのチャンピオンズリーグ決勝のゲームをベルリンに見に行きました。僕がベイスターズの社長だったとき、横浜スタジアムはドルトムントのスタジアムをモチーフにしながら、盛り上げを作っていこうとしていたんです。実際にベイスターズの社員何人にもに現地へ行ってもらい、試合を見てもらいました。あのドルトムントの“黄色い壁”がすごいんですよね。
香川 すごいです。あそこだけで、2万5000人も入ってますからね。
池田 どんなことがあってもスタンドを埋めるんだと。圧倒的な熱狂を作るのがドルトムントのブランドです。それをハマスタでも作ろう、ということで取り組んで、最後の2年くらいは満員にすることができました。
香川 じゃあ、今もベイスターズの試合は満員なんですか?
池田 ほぼ満員です。
岩本 池田さんは、横浜スタジアムを満員にするプロジェクトをずっとやっていて、多くの人が「無理だろう」と思っていたわけですが、本当に満員にしました。
香川 僕も実は野球が好きなんですけど、ベイスターズはそんなにスタジアムに人が入っているイメージはなかったです。でも、最近はテレビで試合を見ていると、勝っているということもあると思うんですが、スタジアムにファンの方がかなり増えたなと感じてました。
池田 僕が社長になったときは、正直閑古鳥が鳴いていました。ガラガラの試合しかなかったです。年間の観客動員数は107万人くらい。それが社長最終年となった昨年には、ほとんどの試合で満員となり、年間の観客動員も194万人になりましたから、本当にうれしかったというか、継続的にやり続けてくれたスタッフには、本当に感謝しています。
香川 それは本当にすごいですね!
池田 それと、スタジアムが閑散としていた状況のときは、試合でも選手たちにかかるプレッシャーが少ないと思うんですよね、ミスしても大丈夫という意識にもつながってしまいかねないですし、それもあってか弱かったのが、お客さんが入り始めると成績もついてくる。結果的には、昨年は球団初のクライマックスシリーズ進出も果たせましたし、スタジアムが満員になるというのは本当に大切だなと、身を持って感じましたね。
香川 それは間違いなくありますよね。でも、逆に僕らの場合は、ホームの8万人の前でミスしたらそれはそれで大変ですよ(苦笑)。
池田 すごいプレッシャーですか?
香川 はい。まして僕の場合は、2年間ドルトムントでプレーして、そのときに2年連続でリーグ制覇をしたんです。そこから一度マンチェスター・ユナイテッドに行って、また戻ってきたわけですが、ファンは僕に対して“優勝している香川”というイメージしかないんです。だから、期待値だったり、求められるものはメディアも含めてですが、とても高まっていました。ドルトムントに帰ってきて3シーズン目になりますけど、この3年間は、ホームでのプレッシャーが本当にすごかったですし、ときにはそれをプレッシャーと感じることも正直、ありましたね。
岩本 バイエルンがいるブンデスリーガで他のクラブが連覇をするなんて、歴史上でもないわけですよね。それを加入初年度と2年目でいきなりやってのけちゃったから、間違いなくハードルは一気に高くなりました。そのかつて感じたことがないプレッシャーと戦いながらやっているドルトムントでのキャリアについて、今はどんな感覚を持っていますか?
香川 この2年間くらいはプレッシャーに負ける……ではないですけど、やっていても、ときにすごく恐れてしまっている自分がいました。ただ、この半年くらいは、プレッシャーはもちろんあるんですが、それを楽しめているというか、打ち克つ何かをこの半年でつかめた気がします。とはいえ、試合の前の日は全然眠れないんですが(笑)。
池田 それはベイスターズの選手たちも言っていました。試合前にベンチ裏でプレッシャーから嘔吐していたんです。僕もベイスターズをやめて1年くらいですが、次に何をやるか、すごく考えています。ここで変なことをやると、いわば“負け試合”になってしまうので。たまに変な選択をしそうになると、その状況に悩み過ぎて、家で嘔吐することもあります。人は本当に精神的につらくなると気持ち悪くなるものなんだそうです。
岩本 ベイスターズの主力選手たちであっても、そういったレベルのプレッシャーを感じているんですね。
池田 そうですね。ただ、おそらく、今はいないと思います。最初は嘔吐している選手に、「なに緊張してんの!?」と言って、よくスタッフから怒られていました(苦笑)。ただ、新人の選手とかも、だんだん夏になるとダメになってくる。「疲れてるんでしょ? 休めば?」と言うと、絶対に「大丈夫です」って言うんです。それでも「無理をしてやり続けても、シーズン通してロクなことがないよ」って言うと、少し選手の心が楽になる。プレッシャーから解放されるときも出てくる。8万人の前でプレーするとか、すごいプレッシャーなんだと思いますが、楽になる心のコントロールの仕方を覚えると、逆に楽しくなってくることもあるんじゃないですか?
香川 まさに、そういう感覚になりますね。
岩本 そういったプレッシャーの中で戦うというのは、他の人には想像できないレベルだと思います。先ほど、試合の前には眠れないと言っていましたが、それ以外にもいろいろと考えたりすることはあるんですか?
香川 うーん……そこまでは考えないようにしてますね。ネガティブにはなりたくないですし、できる限りポジティブなイメージを持つようにしています。“トゥー・マッチ”にならないレベルでイメージしますね。
岩本 そういうときは、どこに気持ちを持っていくんですか? やっぱり、毎日の練習ですかね?
香川 もちろん、そこは全力で取り組みます。特にここ2、3年は、より練習を大切にするようになりました。今年もケガとかも含めて半年くらいは出られない時期がありました。特に、シーズン前半戦はなかなか試合に出られない時期が続きましたが、練習では調子が良かったんです。それが唯一の救いでした。試合に出ていないと、どうしても自信がなくなるものですが、練習でのパフォーマンスが良いと自分で感じることができていたので、「このチームの練習で良いプレーをできているんだったら、ピッチに立ったときも絶対にやれる」という感覚が、常々ありました。その感覚を持ち続けられたことが、後半戦にポジティブな形で出たと思います。
香川真司の考えるセカンドキャリア
©荒川祐史岩本 ドルトムントには若くて良い選手がたくさんいます。他のチームだと、一人いればすごい、となるレベルの選手がゴロゴロいます。そんな選手たちとポジション争いをするのは、改めてすごいことだと思うんですが、実際に一緒にやっている香川選手からしても、彼らはすごい選手だと感じるものですか?
香川 はい、もちろん感じますよ。ポテンシャルからして間違いないですからね。「若いっていいなー」って思うこともあります(笑)。しかも、若いのにメンタリティもすごいんですよ、海外の若い選手たちは。監督やコーチ、ベテランの選手たちに何を言われても気にしませんからね。日本だったら上下関係がはっきりしているので、自然とすごく気にすることになってしまうんですけど、ヨーロッパだとミスしても何も慌てないし、プレッシャーを感じるような素振りもない。自分のプレーをそのまま好きなだけやる、あのメンタリティすごいですね。
岩本 香川選手を見ていると、そういうところも乗り越えてやってきているように見えます。同時に、そういう選手たちと試合に出ると、すごく心強い味方になりますよね。
香川 そうですね。実際、昨シーズンを通して、彼らが成長したことで、チームとしてもかなりレベルアップしたと感じています。
池田 その中に入ってやっていて、「おれも同じ人種」という感覚というか、「日本人とか何人とか関係ないよ、おれもアイツらと同じ人種なんだよ」というような感覚は持っているんですか?
香川 自然と持つようになりましたね。実際、そうやってアピールしていかないと試合に出られませんから。どちらかというと、自分は日本人の中でもおとなしいタイプだったので、これまではあまり感情を表に出すことがなかったのですが、ここに来てもっと感情を出していかないといけないということは感じています。感情を出すことで、また違った自信を得られるので、最近はこれまで以上に感情を表に出すことを意識してますね。味方がミスをしたときに、あえてオーバー気味に怒ったりもしてます。日本だと、ミスした選手に対して、どうしても「ドンマイ」という雰囲気になってしまいますけど、こっちでやっていると、相手に怒りを表現することで、強く要求することも大事なんだと感じますね。
池田 彼らの中では、どう勝つかじゃないですか。僕は20歳のとき、オーストラリアに1年間行ったのですが、最初はすごくいじめられた。日本人だし、英語が話せなかったし。「彼らに勝つためにはどうしよう」と思ったときに、マインドが変わりました。今も経営者としてはまだ若いため、やられることもありますけど、全く気にしなくなりました。日本のプレッシャーなんて、海外のそれと比べたら甘いじゃないですか? だから、全然気にしなくなりましたね。オーストラリアとか、海外に行っても「向こうのやつとは何が違うんだ?同じじゃないか!」と根底に思っていれば、自分のほうがメンタルが弱いなんて前提がないはずなんです。海外に行っても普通に外国人とも臆せずにやり合えます。そのメンタルになった日本人って、世界で勝つじゃないですか。たぶん中田ヒデ(中田英寿)とかもそうだと思います。
岩本 香川選手は先日、中田ヒデさんと会ったそうですが、サッカーの話もしたのですか?
香川 はい、プレーの話をしましたね。ヒデさんは「プレー中はとにかく考えてプレーした」と言ってました。細かいプレー一つに対しても、たとえば試合中に相手と一対一になってドリブルで仕掛けるとき、「自分の目を見てきた相手は一流じゃない」ということを言っていて、そういうところまで見て、そこまで考えてやっていたんだなと感じました。僕は、どちらかというと感覚でプレーをするタイプなので、参考になりましたね。
岩本 以前にインタビューしたときも、「身体能力や技術では負けていたから、勝つためにはいかに考えてプレーするかしかなかった」と話していました。
香川 周りの人よりも考えてやっていたということは、話をしていてもとても感じましたね。
岩本 感覚もあって上手くて、その上でさらに考えてプレーできたら最高ですよね。
香川 そうですね。もちろん考えることは大事ですが、本能的にやっているときのほうが、相手もつかみづらい部分もあると思うので、そのバランスが大事かなと思います。
池田 海外に行っているこの世代の日本人選手の中で、日本人選手の枠を超えるような雰囲気や空気が伝わってくるような選手に、もう少しでいけそうな気がするので、ぜひいってほしいと思います。
岩本 まさにその話なのですが、日本人でトップ・オブ・トップでプレーし続けてるのは香川選手だけなんです。マンチェスター・ユナイテッドに在籍したときも、当時のチームは本当のトップのトップでした。ドルトムントも、良いとき、悪いときがありますが、本当にトップにいる数チームのうちの一つです。だから、きっと他の人と違うものが見えていると思うんです。
池田 トップレベルでプレーしている空気が伝わってくるような選手になってほしい。そうやって世界で戦っている他の競技の選手とのつながりってあるんですか?
香川 他の競技のアスリートとの交流はあまりないですね。
池田 この前、ダルビッシュ選手とアメリカで会ってきたんですけど、彼はメンタルがすごいですよ。日本人離れしているし、やっぱり成功するメンタルを持っていると思います。日本に戻ってくる気配なんて感じさせないんですよね。本人は口では「戻って来たい」と言っているんですけど、世界が自分のフィールドだってすごくよくわかっているんです。あの感じが……。
香川 どういう感じなんですか? 僕もテレビとかでたまに見るくらいなので。どちらかというと若い頃のやんちゃなイメージが強いので(笑)。
池田 やんちゃは、やんちゃですよ。彼は「池田さん、僕、将来GMになりたいんですよ」って言ってきたんです。「日本のGM?」と聞くと、「いいえ、海外のGMです」と答えるんです。やっぱり選手のこともよくわかっていて、自分のこともよく見てくれている海外のGMの存在を知っているから、「どうやったらなれるんですか?」って聞くから、「まずマネジメントを覚えないとダメじゃない?」って言ったら、「僕、大学に行こうと思ってるんですよ」って言う。でも、「すごくお金を持っているんだから、GMにならないで球団を買えばいいじゃない」って言ったら、「ああ、たしかに!!」と。そういう人間が球団を所有してくれて、メジャーで球団を持ってくれたら、野球はすごく変わると思う。最終的に、野球人としてどうなっていきたいという今はまだぼんやりとしているんですけど、そのうち具体化させてしまうだろうなと思わせるほどに、イメージの源泉みたいなものが彼のハートというか思考回路にすごくあって、その中で今はピッチャーで、こういうポジションになりたいし、こういうことも学びたい。日本から学ぶものより、世界から学ぶもののほうがすごいと言っていて。
香川 ダルビッシュ選手は現役引退後のプランもすごく明確なんですか?
岩本 多分、たくさん考えていて、これもやりたい、あれもやりたいという感じだと思います。
香川 いいですね。僕も、この2、3年は考えるようになったんですけど……。(本田)圭佑くんとか、佑都(長友佑都)とかも、そういうのがすごく好きで、僕も考えるときがあるんですけど、何がやりたいかと言われると、僕はずっと現役でやり続けたい。それこそカズさん(三浦知良)みたいに。できるだけ長く海外でやりたいですね。だから、セカンドキャリアに関しては、正直、まだ明確なものは考えていないです。
池田 それでいいんだと思いますよ。「セカンドキャリアを考えると、プロとしてダメになる」と言う人もいますし、セカンドキャリアを考えているからこそ、今一生懸命やれる選手もいます。カズさんみたいに、ずっと選手でいたいという人もいる。「意思」が大切ですよね。その周りに肉がついてくる。野球でも三浦大輔のように「選手として長くやりたい」と思っていて、40歳を超えるまで続けられることができてそして選手生活の晩年、ここ数年間の間に「監督」という目線も含めて、僕とも将来的なキャリアに向けていろいろな相談をしてきました。いま、ずっと選手でやりたいと思っているなら、今は「選手でやり続けるためにはどうすればいいか」ということを徹底的に考えるのがいいと思います。
岩本 もっと突き詰めて、極めていけばいいってことですね。
香川 僕は、監督とかやりたくないんです。解説業とかも。
池田 自分の中で、どこが一番、自分の力として自信があるんですか?
香川 自分の力として、自信がある? やっぱり、僕にはサッカーしかないですからね。
池田 監督をやりたくない理由は?
香川 僕はコミュニケーション能力が高くないというか、言葉にするのが苦手なタイプなんですよね。
岩本 ただ、育成的なことはやりたいって以前に言ってましたよね?
香川 子供は好きなので。ただ、好きだという感情から、子供たちに対してはやりたいなって思います。あとはサッカー文化をもっともっと日本に根付かせたいですね。
長く現役であり続けるためには、何が大切なのか
©荒川祐史池田 自分が選手として長くやっていくために、どういうことが大切になると思いますか?
香川 コンディショニングは特に大事になってくると思っています。まだ30歳を超えていないからわからないんですけど。ゴンさん(中山雅史氏)ヒデさんに「どのくらいで身体に年を感じました?」って聞いたら、「だいたい32、33歳くらい」って言っていたので、その辺にくるのかなと。
岩本 そう考えると、カズさんや中澤(佑二)選手たちも、年齢を感じてからのキャリアが相当長いですよね。感じてからも、ずっと試合に出ています。
香川 そうですよね。その時になってからやるのではなくて、今、何ができるか。トレーニング一つから、しっかり意識してやらないといけないと思っています。
池田 そういうときも、世界で、今のレベルでやりたいんですよね?
香川 やりたいです。僕は、できれば35歳まではヨーロッパの第一線でプレーしたい。35歳までヨーロッパのトップリーグでやっている人は稀なので、そこまではいきたいですね。
岩本 35歳までヨーロッパのトップレベルでプレーする。それは頼もしいですね。
池田 どうしても人間の体って28歳くらいから、落ちていくじゃないですか。野球選手でも、視力が落ちてくる。40歳を超えて現役でやっていた三浦大輔がよく言っていたんですけど、「自分の身体はずっと衰えていくから、それを超えるくらい自分の身体を作らないとダメだ」と。28歳くらいのときのことが、32歳くらいのときにきますからね。
香川 たしかに、33、34歳でトップレベルでやれる肉体を、今からもっと徹底的に、具体的にイメージしていく必要があるかもしれませんよね。やっぱりこの年齢だと、まだまだいける! 35歳までケガもしないでこのままいけるよ、と思ってしまうんです。でも、実際に32歳、33歳になって「ああ、やっぱり衰えが来るんだな」と感じてからでは遅い。だから、今から始めていかなきゃいけないことだなと思ってます。
岩本 選手だけでいく、という中でも、香川選手にはいろいとやってほしいと個人的には思ってます。知名度という意味でも、香川選手はツイッターのフォロワー数が130万人を超えていて、日本のサッカー選手の中で、ずば抜けています。これはすごいことですし、最近、オフのたびにいろいろとやっていますが、ぜひともそのポジションを活かして、日本のサッカー文化を高めるようなことも、一割くらいでいいので考えてほしいなと。
池田 でも、そこはあんまり得意じゃないんですよね?
香川 そうですね。僕はどちらかというと得意じゃないです(苦笑)。
池田 それより、僕は話を聞いていて、ここから35歳を見据えて、どうやって身体を作っていくんだろうな、というところに興味を持ちました。
岩本 アスリートとしての香川真司、ということですね?
池田 はい。それが一番好きなことだろうし、興味があるのだろうし、意思があるんだろうし、イメージを強く持てるんだろうし、一番力を注げるものだと思います。そういったところに、周りも惹かれていくんでしょうね。それをマネジメントの人が発信してくれればいいと思うんですよね。だって、本当にアスリートというのは、28歳くらいから30歳前半でガッと衰え出す。野球も、特にそう。そこから先にいける人は、本当に体を作ったり、心の状態とか、食べ物とか、すごく気をつけながら長い年月やっていくために心がけている。
香川 やっぱりそういうところになるんですかね? 野球選手も食事だったり、トレーニングだったり。
池田 そうだと思いますよ。野球選手は、ハムストリングを負傷してしまって一気にパフォーマンスが落ちてしまったりする選手もいます。打てなくなっている選手とか、あとは盗塁もできなくなる。足が衰えると、特に日本の野球では野球選手としても衰えてしまう。日本人は身体も大きくないですからね。ハムストリングを負傷すると、かなりキツいんです。30歳近くだと尚更でしょうね。
岩本 トレーニングの強度も落ちるし、ということでしょうね。ハムストリングをやると、かなり強度が落ちそうですよね。
池田 落ちますね。しかも30歳近辺になると20代前半とは違って治癒力も衰えますし、完璧には戻りませんから。グッと力を入れる最後の最後の一瞬の力が入らなくなったり、プロのレベルでの微妙な差異に影響してくることが多いようです。
岩本 さらにサッカー選手と違って、野球選手はハムストリングが完全に治っていなくても試合に出ますからね。
池田 そうなんです。毎日のように試合がありますから。
岩本 香川選手にとっては、カズさんもそうだし、中村俊輔選手や中澤選手もそうですが、そういう代表の先輩たちが、とにかくみんな、すごくケアをしているのは参考になりますよね。
香川 そうですね。みんなとにかくケアを徹底してますから。特に佑二さん(中澤佑二)は、夜10時に寝て、朝6時か7時に起きるそうです。それを毎日、徹底していると言っていましたからね。
平常心であり続けるためには、全員をイモだと思え。香川真司×池田純(後編)
これまでドルトムント、マンチェスター・ユナイテッドと世界のトップクラブでプレーしてきた香川真司選手、横浜DeNAベイスターズ社長時代に実現不可能と言われた収支黒字化を現実にした池田純氏。スポーツシーンのトップランナーである2人の対談が今回実現した。後編では、平常心を保つためのポイント、結婚観、そして間近に迫ったW杯最終予選について話し合った。
平常心であり続けるためには、全員をイモだと思え。香川真司×池田純(後編)