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早熟の子を「神童」と呼ぶ愚行、いつまで続くのか? 小俣よしのぶ(後編)

前回の記事で、日本のタレント発掘ブームの問題点を的確に指摘し、改善点を指摘してくれた選抜育成システム研究家の小俣よしのぶ氏。今回は、今夏注目されながら惜しくも甲子園出場を逃した清宮幸太郎選手、天才サッカー少年と謳われる久保建英選手を題材に、日本のスポーツ選手育成の問題を取り上げていく。(取材・文:出川啓太)

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コメント(18)

  • 139
    カネシゲ タカシ

    漫画家・コラムニスト 2017/08/14 17:38

    清宮くんは「神童」ではなく「早熟」であるという科学的な考察。この指摘は鋭い。

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  • 134
    池田純

    プロ経営者 2017/08/14 12:55

    システム化、体系化できそうですね。

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  • 80
    フモフモ編集長

    プロフェッショナル・スポーツ・ブロガー 2017/08/15 03:37

    事実誤認と決めつけで自分の主張を補強しているのはいかがなものか?

    ①総合的な運動能力を重視すべきか?
    世界のトップ選手には、幼稚園年代からその競技に打ち込んでいる事例が数多く見られる。親がその競技の選手で、子に遺伝的な資質が受け継がれ、かつ幼年代からキャリアを積んだ選手がいるとして、それに「総合的な運動能力」の持ち主が高校年代からの育成で追いつけるだろうか?中学・高校年代で人間の可能性を見切ることには反対だが、最終的には「早期選抜型」がトップに立つだろう(早期選抜型の育成で、さまざまな動きを訓練に取り入れることは可能なのだし)。この記事で好事例として挙げられている松山英樹も4歳からゴルフをはじめ、中学はゴルフのために明徳義塾を選んだそうだ。

    ②トップ選手が25歳で一軍定着?
    若年代での将来性の見切りをやめさせたい、という筆者の想いが「22~23歳が選抜の最終段階、25歳で一軍定着」と言わせているのだろうが、これでは遅いだろう。19~20歳で選抜の俎上に乗っていなければスカウトの目には止まらないし、スカウトにアピールする大学年代での実績も積めない。22~23歳は言わずもがなで「即戦力」の年齢だ。例で挙げられている中田翔は高卒4年目に143試合出場とレギュラーを獲ってオールスターに出場、大谷翔平は高卒2年目からローテーションの一角を担い、高卒3年目には最多勝・最高勝率・最優秀防御率で投手三冠を達成している。「5年くらいでやっと一軍に定着」というのは何を見て言っているのだろうか?25歳は世界のトップで競うべき年齢である。

    ③清宮幸太郎を早熟とする決めつけ
    「清宮選手は高校生の段階で、いまのパフォーマンスだと並だと言えるでしょう。同じ高校生に三振して甲子園を逃しているわけですから」というのは何を言いたいのだろうか。高校通算本塁打で史上最多になった選手に、これ以上どうせよというのか。リトルリーグでスゴかったから清宮が話題なのではなく、リトルでもスゴかった清宮が順調に高校でもスゴいから話題なのだろう。この言い方だと久保建英がU-17W杯でさしたる活躍をできなかったら「同じU-17の選手相手に活躍できなかった並の選手」ということになるが、そこの公平性が書き手にあるのだろうか?「バルセロナにいたからきっとスゴい選手だろう」という逆の決めつけで評価をしていないか?ちなみに、清宮が今夏の甲子園を逃がした西東京大会で、清宮は決勝までの6試合を戦い、三振は「ひとつも」していない(4本塁打、打率5割)。筆者はどの大会を見たのだろうか?夢?幻?

    ④石川遼や錦織圭に対する印象論
    若いときに話題になったら何でもかんでも早熟・早期選抜と言いたいようだが、「対照的」な例として挙げられている松山英樹も前述の通り「早期選抜型」であり、大学一年生の19歳でマスターズ予選を通過しているのであるから「早熟」であろう。石川遼が賞金王を史上最年少の18歳で獲ったのと、さして変わらない。報道量と選手の実情をゴッチャにしているのではないか。また、清宮幸太郎には「プロに行かないで子ども相手に無双している!伸び悩み」と言い、16歳でプロ宣言した石川遼には「早熟!伸び悩み!」と言うのは、都合のいい部分だけを切り取った整合性のない主張に見える。

    また、錦織圭がケガがちなことについて「成長期に相当の練習量やフィジカルトレーニングを積んでいるから」としているが、錦織は13歳からアメリカの名門IMGアカデミーで練習をしているわけで、そこでの練習が今のケガにつながっているのであれば、ほかの出身選手もみな壊れているはずだ。錦織圭がケガがちなのは、フィジカル勝負となっている現代テニスにおいて、トップ選手の中でも小柄な体躯で奮闘しているからだろう。ランキング上位を見れば170センチ台は錦織くらいで、180センチ後半から190センチ台が主流だ。同じ170センチ台のダビド・フェレールがケガをしにくい理由でもあれば、ぜひ参考にしたいが…。

    ⑤東ドイツやキューバの育成を持ち上げることの妥当性
    前編にあたる記事でも筆者は東ドイツを例にあげて、少ない競技人口でも適切な育成を行なえばスゴイ結果が!と持ち上げていたが、ベルリンの壁崩壊後のドイツならともかく東ドイツの例を挙げられても「ドーピングでしょ(バレてないだけ)」としか思えない。むしろ、「東ドイツとキューバの育成」というパワーワードには闇しか感じない。「人口や環境のわりに北朝鮮は活躍選手をたくさん輩出しているよね!」と言うのと何が違うのだろうか。


    このように各論においては疑問もありますが、「子どもひとりひとりの状況を見て、それに見合った方法で成長をうながすべき」「子どものうちに将来性を見限るようなことはやめるべき」という点ではまったくそのとおりなので、総論については賛成です。


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