ひとつ前のお話はこちら©カネシゲタカシ

「ベイスたん、その後の具合はどうだい?
しっかりベイスターズを応援しているかい?」

「してるやよ!してるやよ!
マリンせんせい、あのときは、
おせわになったやよ!(ぺこり)」

「うんうん、感心だね。あ、それはそうと…。
聞いた話によると、おほしさまがすこし
足りないんだって?」

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「すごく、かっこいい、マークやよ!
ベイスたん、ダブリュのマーク、すきー!!」

「気に入ってくれて、うれしいな。
その「W」は横浜大洋ホエールズの…
うん、まあ説明は今度でいいや。

とにかく、この間中村ノリ選手がベイスたんに
“うしさんのマークのおほしさま”をあげただろ?
あれと同じことさ」

「あやや~、よくわからへんやよ!でも、でも…」

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まだ幼いベイスたんは、このマークの意味を知りません。
それでもマリン先生のあふれるやさしさは
しっかりと伝わっているようでした。

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そうです、以前ベイスたんのところに
厳しい取り立てにやってきたこともある、
ちょっとこわ~い車屋のおじさんです。

「ベイスたん、おほしさま、ぜんぶはろたやよ!
なにしに、きたやよ!(ぷるぷるもちもちっ)」

「ふん、きょうは取り立てじゃねーよ。その逆だよ。」

え、どういうこと?

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その注文書には、やっぱり大人の字で
「黒い車」と書かれていました。

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車屋さんは不機嫌そうに、
それでいて少し嬉しそうにその場を去りました。
怖そうにみえたおじさんは、
こっそりベイスたんのことを応援してくれていたのです。

「あやや~、おほしさま、くれたやよ!
ベイスたん、くるまやさん、すきー!!」


さっきまで、12個も足りなかったおほしさま。
気がつけば尾花店長と、マリン先生と、車屋のおじさんが
ぜんぶぜんぶ、払ってくれました。

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「うわーい!うわーい!
しょうしんしょうめい、いけるやよ!!
うれしいやよ!たのしいやよ!
ベイスたん、みんなのこと、すきーー!!」

おめでとう、本当におめでとう!
ベイスたんの、ベイスターズを愛する気持ちが、
たくさんの人のこころを動かしたのです。

よかったね、ベイスたん!


※  ※  ※


さあ、そんなみんなの気持ちを乗せて、
いよいよ、船は出港します。

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「おばなてんちょう、さようなら!
マリンせんせい、さようなら!
くるまやの、ちょっとこわいひと、さようなら!
ベイスたん、きっと、おみやげかってくるやよ!」

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ベイスたんたちを乗せた「ゴーゴーヨコハマ号」は
ついに銀河系のはて、『惑星ベイスター』を飛び出しました。

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「なかむらノリせんしゅも、ラミちゃんせんしゅも、
ばんちょうとうしゅも、たかさきとうしゅも、
あらなみせんしゅも、つつごうせんしゅも、
そしてそして、キヨシかんとくも…!

みんなみんな、まっててね!
かならず、いくから、まっててね!」

艦内に元気いっぱいのアゴ割れ船長の声が響きます。

「おもかじいっぱ~い!
宇宙航路1998!
横浜スタジアムへ向けて全速前進!!」

ひとつ後のお話はこちら

カネシゲ タカシ

漫画家・コラムニスト。1975年生まれ、大阪府出身。 「週刊少年ジャンプ」にてデビュー。 現在は「週刊アサヒ芸能」や「スポーツナビ」に連載を持つほか、テレビ・ラジオ・トークイベントに出演するなど活動範囲を拡大中。 著書・共著に『みんなのプロ野球川柳』、『みんなの あるあるプロ野球』(ともに講談社)、『ベイスたんやよ!』(KADOKAWA)、『野球大喜利 ザ・レジェンド』(徳間書店)などがある。 元よしもと芸人。